一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

2212  人はみな心にそっと勿忘草  鯨児

2021年06月14日 | 

(ひとはみな こころにそっと わすれなぐさ)

「勿忘草」の花言葉は、「私を忘れないで」と「真実の友情」だそうです。では、作者の言いたいことは何だろう。花言葉から想像してみよう。

➀人はみな心にそっと、「私のことを忘れないで欲しい」という願望を持っている。

➁人はみな心にそっと、「忘れられない記憶・思い出」を持っている

③人はみな心にそっと、「真実の友情」を求めている。

三つ全部と言いたいところですが、それでは欲が深すぎるので、一番はどれか選ぼうと思う。あなたなら、どれを選びますか?

アヤメ(菖蒲)

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2211  過ぎたるは・・・・・香水      炎火 

2021年06月12日 | 

(すぎたるは てんてんてんてん てんこうすい)

 

ふむふむ、「・・・・・」をどう読むか? つまり作者は、私達にどう読むか、を丸投げした。「さあ、考えてみよ」と言っているのだ。

当然、「過ぎたるは、猶及ばざるがごとし」の「猶及ばざるがごとし」が中七に収まらないので、作者は「・・・・・」に省略した訳だ。なかなかの工夫で脱帽である。しかし、句としては、ことわざを丸投げしただけで、良い句とは言えない。

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2210  のほほんとおいら自由とカタツムリ   凛

2021年06月06日 | 

 気象庁によると、本日6月6日時点で、東海地方以西は梅雨入りしたが、関東以北は梅雨入りしていない。私の俳句やテニスの仲間は、関東の湯河原と中部の熱海の住人がほぼ半々である。

 「あなたたち、まだ梅雨入りしていないの。遅いねえ」「君たちもう梅雨入りしたの。気が早いねえ」などが最近の挨拶である。

 ところで、2010年までの過去30年間の平均梅雨入りは、東海、関東甲信共に、6月8日。そして、暦上の梅雨入りは、6月11日。現在の「入梅」は、太陽の黄経が80度に達した日ですが、以前は立春から数えて135日目とされていて、さらに古い暦では、「二十四節気の1つである芒種(ぼうしゅ)の後、最初の壬(みずのえ)の日」が入梅とされていた。

 さて、カタツムリは、生物学的に分類すると、軟体動物門→腹足鋼→有肺目→陸生貝類の巻貝であり、その貝殻が退化したのがナメクジだそうです。尻尾が退化して猿から人間になったのだから、カタツムリよりもナメクジの方が進化しているのかもしれないですね。

 この句、作者は自由を謳歌するカタツムリになりきっていますね。ところで「おいら」と言わせていますが、カタツムリもナメクジも、雄や雌の性別がない雌雄同体です。6~8月の繁殖期には、個体同士でそれぞれの精子を交換し合い、受精、産卵するそうです。面白いですね。

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2209  第298回 岩戸句会 五月

2021年06月05日 | 

新緑や名も無き家事に暮れにけり   洋子       

サスペンス終わりひと息新茶くむ 

 

嫁ぐ朝ふと香水が他人めく      さくら

交番をそっと覗く子新入生       〃

 

のほほんとおいら自由とカタツムリ   凛

囀れる楠の大樹はご神木        〃

 

過ぎたるは・・・・・香水      炎火 

香水やB・G・ⅯにⅯ・J・Q

 

母の日や大きな荷物靴の音      イヨ

蕗刈らば香り解けて風渡る       〃

 

メンチカツからりと揚げて梅雨に入る  裕

立ち上がる湯気をつかみて菖蒲の香   〃

 

夏めく日海上走る風の色       沙会

香水と二人連れなる夜の街      〃

 

それぞれの勝気を秘めてアマリリス  薪 

ウクレレの音少し変梅雨月蝕     

 

ただよいし田舎の香水今どこに    鯨児

人はみな心にそっと勿忘草      〃

 

空が青一気に燃えてつつじかな    光子

畦切って一面眩し水眩し       〃

 

行く春やワクチン予約漸くに     パピ

長生きは「病院をはしご」風薫る

 

五月闇裂いて雲間の月明り      貴美

公園で梅雨の晴れ間に太極拳     〃

 

夏薊ニッチの小瓶へ納まりし     豊春

富士麓山荘覆う朴の花        〃

    

動くものみな緑なり箱根山      歩智

おさがりの法被をまといて踊りだす  〃

  

遠くから巣立ち見守る夏つばめ    鞠

亡き人のなつかしい香水       〃

 

脚長き宅配青年疾走す        稱子

母の日や何とか達者ありがとう    〃

  

重き本人間臨終図鑑梅雨       余白

八重に咲くドクダミ草のいじらしさ  〃

 

日の出海龍が薫風乗せ映す      黄玉

仲間達緑陰の中夢語り        〃

      

ああそうかあカラスの返事梅雨晴間  雲水

京粽君の代わりに食べに来たよ    〃

カサブランカ

 

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2208  新緑や名もなき家事に暮れにけり  洋子  

2021年06月03日 | 

 「名もなき仕事」「名もなき家事」という言葉がある。職場や家庭で誰かがやらなければならないけれども、つまらなくてくだらない、取るに足らない仕事のことである。

 昔読んだ、カミュの「シシフォスの神話」か「星のギリシャ神話」の中に、悪行を重ねた神様(それでもやっぱり神様、というのが面白い)がゼウスの勘気に触れ、罰を受ける話がある。

 悪たれの神シシフォス(シーシュポス)は、大きな石を高い山の頂上まで押し上げるが、上げ終えた途端に大石は麓まで転げ落ちる。そして、その大石を再び山頂に上げて・・・・を永遠に続ける罰なのだ。神様は死なないのだから、正に永遠にである。

 しかしよく考えてみると、この罰は神話の中だけの話ではなく、私達人間の活動とよく似ている。例えば、お母さんが夫や子供のために毎日食事を作るが、あっという間に器だけが残り、洗って片付けねばならない炊事。洗濯、掃除などその繰り返しである「名もなき家事」。お父さんが会社に行って働くのも、どんな職業でも生きている限り、同じことの繰り返しなのである「名もなき仕事」しかし、人間は、いつか死ぬのだから、いつか止める時が来るのが、救いだ。

ホタルブクロ(蛍袋)

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2207  嫁ぐ朝ふと香水が他人めく  さくら  

2021年06月02日 | 

 今月の兼題「香水」の俳句には、大きく分けて二つのタイプがあった。日本人は欧米人と比較して、体臭が強くなく、毎日風呂に浸かり、とても清潔好きであるから、体臭を打ち消す香水を余り必要としない。つまり、香水に対して否定的な句。例えば掲句以外にも

過ぎたるは異臭となれる香水かな 光子

すれ違ふかの香水にまわれ右   凛

香水はいらぬ自然な妻がいい   裕

 

一方、肯定的な句もある。

香水と二人連れなる夜の街    沙会

香水に力得て言ふI love you   沙会

亡き人のなつかしい香水     鞠

 

  さて掲句。香水をつけたのが自分なら、嫁ぐという特別な日に、特別な香水をつけて自分が自分でないように感じたのだ。勿論、身内の誰かのことかもしれない。

 

 又、そのどちらにも当てはまらない句もある。

舶来の香水瓶のレトロ感      さくら

毒という香水に酔いしあの時代   鯨児

香水や妻の遺せし十五年      雲水

 

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