一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

571  遠き日を友と分かちて花の宴   鼓夢

2012年04月30日 | 

 (とおきひを ともとわかちて はなのえん)

 子供の頃からの同級生や同窓生など、しょっちゅう会っている悪友に会えば、必ず出て来るのが昔話。

 子供の頃から数えたら、数十年分の思い出話があるわけで、今日はその中の例えば70年代の話だけでも宴席は盛り上がるだろう。世の中には、そんな風に地域に密着して幸せに生きてきた人も沢山いるのだ。

 しかし長生きしたために、同級生たちが次々と死んでしまい、とうとうこの世から一人もいなくなってしまった、という淋しい話を聞いたことがある。

 つまり、昔を語らう友がいるのは、まだまだ若い証拠なのである。

友人にいただいた花ですが、名前を忘れてしまいました。

知らないうちに、あちこちに増えていますから、丈夫です

 シラユキゲシ(白雪芥子) ケシ科エオメコン属でした

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

570  うららかや五百羅漢に祖母のかを  歩智

2012年04月29日 | 

 羅漢とは阿羅漢のことで、お釈迦様の尊称の一つであり、お釈迦様の弟子、悟りを開いた人、衆生を済度する人などとも言われている。

 日本人は、お地蔵様ほどではないが、五百羅漢が大好きだ。この近くでは、小田原に曹洞宗天桂山玉宝寺の五百羅漢があり、『五百羅漢さん』と呼ばれ親しまれている。

確かに、ひとりひとりを眺めてゆけば、あの世へ行ってしまったじいちゃんやばあちゃんに出会うだろう。

ヤシャブシ(夜叉五倍子)  カバノキ科ハンノキ属

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

569  同じ土手同じあなたと杉菜摘む

2012年04月28日 | 

 今年も杉菜を摘む季節になったか。桜が散り淋しさもあるが、これからは野草を摘まねばならないし、益々忙しくなる。夏の草取りを想像すると、ぞっとするよ。

 最近、ある有名なタレントの別荘と噂されている大きな建物が、近くの山中に工事中で、いつもの杉菜が採れなくなりそうだ。杉菜なんかどこにでもあるが、一度に大量に採れるところはそうあるものではない。貴重な杉菜場は、どうなるのだろう。

サンショウ(山椒) ミカン科サンショウ属

あなたは、ミカン科ですか?どうして?

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

568  春耕や正午指したる腹時計

2012年04月27日 | 

(しゅんこうや しょうごさしたる はらどけい) 

 人間には体内時計があって、海外旅行などでこれが狂い、時差ボケの症状が現れるそうである。更に最近研究が進んで、体内時計は細胞のひとつひとつにもあることが分かってきたそうである。これを有効に使うと、例えば癌の治療薬の効果が劇的に上がり、副作用も減るそうである。

 いづれにしても、私達生き物の体は、太陽と月の影響を強く受けていることは間違いなさそうである。というより、支配されている、と言っても過言ではないだろう。

シャガ(射干、著莪、胡蝶花) アヤメ科アヤメ属

英名 Iris japonica(アイリス ジャポニカ)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

567  桃の丘大方を捨て描き始む

2012年04月26日 | 

(もものおか おおかたをすて かきはじむ) 

 絵も写真もそうだろうが、全体の見えている中からある一部を切り取る、その切り取り方が作者の考え方や感性を示すことになるのだろう。

 俳句にしたって同じことだが、視覚以外の聴覚、味覚、臭覚など五感の全ての中から、更に思考や空想まで含まれる中から作句するのだから、捨てるものの方がはるかに多い。

 いづれにしても私達には、知っていることなんて微々たるもので、知らないことが無限大にあるのだ。しかし、どうやら人間は、自分は何でも知っていると思い込みたがる動物のようだ。

あおき(青木)の花、ミズキ科アオキ属

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

566 町民は市民となりて花見かな

2012年04月25日 | 

 なんか知らんが、例えば今までの銀行がなくなり、名前がUFJだのみずほなどに変わった。近くの町も伊豆市や伊豆の国市などという訳の分からない市になった。昔の話だが例えば全国に、桜が丘や紅葉丘などというカッコいい名前が無節操に付けられた。

村が町になり、町が市になる。行政改革は確かに必要だが、歴史的地名を平気で捨てる権力者は阿保だ。

 そんなうわべのことにお祭り騒ぎをして、国並みに地方債を発行し、借金まみれにしている地方議員達も、間違いなく亡国の徒であろう。

 そんなことを知ってか知らずか、能天気に花見をしている。こんな平和が長く続くはずがないのに。

ヤマブキ(バラ科ヤマブキ属)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

565  笊に干す蓬に陽の香加わりぬ

2012年04月24日 | 

(ざるにほす よもぎにひのか くわわりぬ)

 陽の匂いと言えば、干したばかりの布団や洗濯物の匂い。そして、これからの季節に採取するお茶にするための野草たちの乾いた匂い。

 実際、陽に匂いがある訳ではないから、干すことによって、匂いが変化するのだ。乾いた匂いは、清潔な感じがして、私達を幸せにしてくれる、実に有難い匂いである。

葱坊主・ネギ(ネギ科ネギ属)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

564  眺望の町を隠して芽吹くかな

2012年04月23日 | 

(ちょうぼうの まちをかくして めぶくかな)

 山桜が終わると同時に、新緑の芽吹きが始まる。山桜は、花と葉が同時に出るので「でっぱ」と言うそうである。「出っ葉」とでも書くのだろうか。

 冬の間、標高400メートルの我が家から見えていた湯河原の眺望も夜景も、これからの芽吹きによって視界が遮られ、しばらくはさようならである。

 この山桜は、防風林の役目をしてくれていて、台風の強風から家を守っている。木々が根こそぎ倒れる台風が、数年に一回は必ずやって来るのだ。伐ってはならない貴重な木々である。

タンポポ(キク科トンポポ属)

タンポポが何科だろうか、などと考えたこともなかったが、知ってみると面白い。

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

563  盃に落花一片飲み干しぬ

2012年04月22日 | 

 (さかづきに らっかいっぺん のみほしぬ)

 友人の庭の散り始めた桜の下で花見の宴があった。ぐい飲みに日本酒を注いで、テーブルに置き、花びらが入った人から順に飲んでもよい、ということになった。

 早い人は1分も経たずに入ったが、遅い人は5分経っても入らない。それではなかなか飲めないし待ちきれないので、早々にこのルールは破られてしまった。

 面白い趣向だったが、酒飲みにとって据え膳のまま待たされるのは、我慢ならないようである。

シバザクラ(芝桜) ハナシノブ科

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

562  催促の羽搏き窓に春の鳥

2012年04月21日 | 

 (さいそくの はばたきまどに はるのとり

 先日、「動物はどこまで賢いか」というのを、NHKの番組でやっていた。犬は、千種類もの物の名前を覚えるそうである。又、オームは、単にオーム返しに物真似をしているのではなく、ちゃんと言葉の意味を理解して喋っているそうである。

 だから、山雀や四十雀が私の部屋の窓ガラスに来て、しばしば音を立てて羽ばたくので、餌台を覗くと必ず餌がない。つまり、餌を催促しているに間違いないのである。

 野鳥の知能は、きっと犬やオーム、イルカ並みであろう。犬畜生などと馬鹿にしてはならないのだ。それに比べて、昨今の政治家などの方が、余程お馬鹿さんに見えてならない。

ノビル(野蒜) ユリ科ネギ属

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

561  出迎えの主人老犬花吹雪

2012年04月20日 | 

(でむかえの しゅじんろうけん はなふぶき) 

 昨年、さくら市のギネスに認定されていた老犬プースケが亡くなった。26才9ヶ月だったそうである。私の友人の犬は、20才でも長寿の表彰を受けたそうだから、プースケが如何に長寿だったかが分かる。

 こんな長寿の犬は実に稀で、人間の100才が犬の20才位が妥当だろう。我が家のモモも14才でピンピンしていて野山を駆け回ってはいるが、この先せいぜい5,6年と思うと胸が痛む。

ワラビ  コバノイシカグマ科 ワラビ属

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

560  てんぷらの蕨の味に驚きぬ

2012年04月19日 | 

(てんぷらの わらびのあじに おどろきぬ) 

 数年前、姉夫婦が友人夫婦と泊りにやってきた。泊った次の日の昼、乾麺の蕎麦を茹でて(昔は手打ち蕎麦を打ったが、今は面倒くさくなってしまった)、テラスで野草のてんぷらをすることになった。

 庭でとれる山菜は、タラノメ(楤の芽)、ヨモギ(蓬)、ハコベ(繁縷)フキ(蕗)、スギナ(杉菜)、ハナイカダ(花筏)、ヤブレガサ(破れ傘)、ヤブカンゾウ(薮萱草)、ワラビ(蕨)、ゼンマイ(薇)、ドクダミ(蕺)、アシタバ(明日葉)など。4,5人もいれば、大ザルに一杯ぐらいわけなく採れる。町の人には、それが新鮮らしく大喜びしてくれる。

 さて、その中にワラビも入っていた。5センチぐらいに刻んで、生のままかき揚げにしてみたところ、なんと驚いた。口の中でとろけるようなぬめりがあって、絶品だったのである。

 但し、フグの肝ほどではありませんが、ワラビにはアクがあって、そのまま大量に食べると中毒になるそうです。ご注意あれ。

ヤブレガサ(破れ傘) キク科ヤブレガサ属

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

559  春キャベツ切るや脳溢血の家系   炎火

2012年04月18日 | 

(はるキャベツきるや のういっけつのかけい) 

 夏の季語であるキャベツ(甘藍・玉菜・牡丹菜)を歳時記で調べると、戦前までは普通に甘藍(かんらん)と呼ばれていたそうである。しかし、江戸時代までの甘藍は、苦い葉牡丹のことで食べなかったようだ。

 私は、歳時記で知るまで「甘藍」を知らなかった。ほとんど使われない言葉を歳時記で見つけたからといって、安易に使うのはどうかと思う。私は、誰でも分る三音のキャベツで十分である、と思う。

 さてこの句、作者は春キャベツを真っ二つに切った。その断面が、MRIで撮ったヒトの脳の断層写真とよく似ていることを発見したのだ。そして、自分の体の中を、脳溢血の家系の血が流れていることに思いを寄せる。

 しかしご安心ください。キャベツの免疫力を高める能力は医薬品並みで、抗酸化作用も強力で、成人病予防にも絶大な効果があるそうです。特に巻きの緩い春キャベツが最も効果があるそうです。

 えっ、そんなこと知ってるって、だから切ってるって!!!失礼致しました。

ハコベ(繁縷)ナデシコ科ハコベ属

春の七草の一つ「ハコベ生えるまで肥運べ」という諺があるそうです

今時のハコベは、柔らかくて美味しい

「栄養でもキャベツなんかに負けない」とハコベが言っております

「是非ご賞味下さい」

 

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

558  今日よりも若き日はなし亀の鳴く  悦子

2012年04月17日 | 

  新聞を取らなくなって6年。理由は、①経費節減 ②1時間は費やしてしまう時間の節約 ③テレビやパソコンによる新聞購読価値の低下

 さて昨日、久し振りに朝日俳壇を見る。掲句は、稲畑汀子氏の第一句目。なるほど、ごもっともである。月に数千句は見るらしい俳句選者でも、当たり前のことを当たり前に言っている、こういう句を見たのが初めてかもしれないと思うと、作者の「気付き」は、コロンブスの卵に似て、すごいことなのかもしれない。

山は山桜と新緑が混ざり合って

春爛漫でございます

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

華岡青洲の妻に出演

2012年04月16日 | 催しのお知らせ

 友人の娘さん、瀬戸摩純さん、既に実力派の女優ですが、6月4日から「華岡青洲の妻」に出演します。

6月新派特別公演 「華岡青洲の妻」 有吉佐和子原作

6月4日初日~23日 三越劇場

華岡青洲・・・・・・三田村邦彦

於継・・・・・・・・・・水谷八重子

加恵・・・・・・・・・・波乃久里子

小陸・・・・・・・・・・瀬戸摩純

予約など詳細は、劇団新派公式サイト

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする