(しんしゅうや たいしんとだけ ははのふみ)
冬がそこまで来ている晩秋の頃、外では木枯が吹き枯葉が舞っている。既に家族も寝入ったのであろう。ようやく一人の時間が訪れた。久し振りに押し入れから文箱を出し、蓋を開ける。亡き母の歳に近づいた作者。結婚したての作者に宛てた亡き母の手紙を開く。唯々娘の幸せを願う母の手紙を読む。何度も何度も読んだのであろう。涙の染みがあるかもしれない。
そこには、「耐心」としか書かれていない。
「耐心」を広辞苑で調べると、載っていない。つまり、あくまで中国語のようである。辛抱強さ、根気良さをいうらしい。よく私達が使う「忍耐」に意味が近いと思うが、「耐心」の方がはるかに優れた言葉だ。
日本に「耐心」という言葉が定着しなかった理由を問いたい。
キチジョウソウ(吉祥草)、キチジョウラン(吉祥蘭)、カンノウソウ(観音草)とも