一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

1915  春霞沖行く船のエンジン音   海人

2018年02月28日 | 

(はるがすみ おきゆくふねの エンジンおん) 

  立春からひと月近く経った。寒さも峠を越え、梅が見ごろを迎えた。こうなると、大気の水分やPM2.5などの塵が増えて視界がぼやけるのが「霞」である。

 気象観測では、視界一キロ未満を「霧」、一キロ以上を「靄」というが、古来強い秋の「霧」に対して、やや弱いのが春の「霞」である。又、昼の「霞」に対して、同じ現象でも夜は「朧」である。

 さてこの句、沖ゆく船の見えるか見えないかの曖昧な視覚に対して、エンジン音だけが鮮明に聞こえている。この視覚と聴覚の食い違いが面白い。

白梅

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1914   陶雛の見つめる宇宙兜太死す

2018年02月27日 | 

(とうひなの みつめるうちゅう とうたしす) 

 現代俳句協会名誉会長・日本芸術院会員、文化功労者の俳人金子兜太氏が逝った。俳句界の「巨星墜つ」と言うべきか。有名な人で句集や著作も多いから、多くを語る必要はないだろう。

「梅咲いて庭中に青鮫が来ている」など難解な句も多い。兜太氏は私の師匠多留男先生と同年代で、戦争体験がその後の人生と俳句に大きな影響を与えていたのは間違いない。以下、代表句として知られている10句。

 曼珠沙華どれも腹出し秩父の子

水脈の果炎天の墓碑を置きて去る

銀行員等朝より蛍光す烏賊のごとく

彎曲し火傷し爆心地のマラソン

人体冷えて東北白い花盛り

霧の村石を投らば父母散らん

暗黒や関東平野に火事一つ

梅咲いて庭中に青鮫が来ている

おおかみに蛍が一つ付いていた

夏の山国母いてわれを与太という

唯今5分咲きの梅

 

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1913   鶯を空耳で聞く二月かな

2018年02月23日 | 

(うぐいすを そらみみできく にがつかな) 

 去年も同じことがあった。鶯の声を聞いたが、自信が持てない。気のせいか?空耳か?あれから一週間経ってしまった。

  あれから鶯は鳴かない。ということは、やはり空耳に違いない、間違いなさそうだ。無意識の期待感?かもしれない。

 ウグイスは、匂鳥(においどり)、歌よみ鳥(うたよみとり)、経よみ鳥(きょうよみどり)、春告鳥(はるつげどり)、黄粉鳥(きなこどり)、人来鳥(ひとくとり)花見鳥、などと呼ばれているそうです。古来、鶯の人気は絶大です。

こんな風に、梅の蕾が割れてきました

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1912   春寒や打てば打つほど曲がる釘

2018年02月19日 | 

(はるさむや うてばうつほど まがるくぎ) 

 直径5ミリほどの梅の蕾の先端(萼)が割れて、真っ白な2ミリほどの花弁(花びら)が少し見えてくる。そして蕾は膨らみ始め白色が広がり、ついには五弁の花びらとなって開く。

 そのように、もう咲いているものもあるし、まだ固い蕾のままのものもある。我が家の梅の早いもので、五分咲き、遅いもので一分咲き程。

廃業した材木屋さんからもらった材木で作った二代目のコンポスト

防腐剤を塗ったけれど、果たして何年持つだろうか?

 

 

 

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1911   掘り返す鶫の庭や春一番

2018年02月15日 | 

(ほりかえす つぐみのにわや はるいちばん) 

 たった二年余りで、材木で作った堆肥箱が腐ってがたついてきた。仕方ないので、新しく作り直すことにした。余りにも腐るのが早いので、今回は塗りたくない防腐剤を塗ることにした。最低五年くらいは持って欲しいから。

 前回と同じ大きさの、縦、横、高さ一メートル。薪置き場に、作業し易いように、足場パイプを高さ75センチにして組んだ。サンドペーパーで磨いてから、塗装し、乾燥してから組み立てる予定。

 さて、ようやく小鳥たちが囀り始めた。春一番らしきものも吹いた。杉花粉も飛び始めたという。姫踊り子草も咲き出した。梅は、まだせいぜい一分咲きだが。今朝の気温は8度。風がなければ随分暖かく感じたはずだ。いずれにしても、春の息吹はそこここに感じられる。

若芽が美味しいので成長が待ち遠しい、オオアラセイトウ(大紫羅欄花)写真は去年のもの

別名、ショカツサイ(諸葛菜)、ハナダイコン(花大根)、ムラサキハナナ(紫花菜)とも

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1910   立春の柚子を採ったり搾ったり

2018年02月11日 | 

 先日、友人から「すき焼きパーティー」のお誘いがあった。夕方、ビールと大根サラダを持参して伺った。席に着くと既に、空のすき焼き鍋が中央にあり、ラップをした牛肉、野菜、豆腐、糸蒟蒻などが大皿に盛られていた。準備万端のようであった。

 ところが、最初に台所から結構な量のトロ、鯵、鰯の刺身、芽かぶが盛られた大皿が運ばれてきた。勿論、大根サラダも出てきた。更に、ニンニクの芽の炒め物が出てきた。更に、どでかい銀座天龍の餃子が出てきて、私は驚いた。

 とてもじゃないが、すき焼きまでは腹が回らないから、同席した仲間も同意した上で、すき焼きは止めてもらうことにした。

 中止が決まった後、更にマツタケ御飯。茹でたトウモロコシ、漬物、塩昆布、大苺、そしてチョコレート・・・・・

 さて、パーティーには、鍋パーティー、寿司パーティー、ピザパーティーなど様々なパーティーがあるだろうが、メインの料理がとうとう出されなかったのは、生まれて初めての経験であった。

 そして、次の日再び呼ばれ、今度こそはと「すき焼きパーティー」が始まったことは、言うまでもない。めでたし、めでたし。

マンサク(金縷梅、満作)

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1909   朝四時の吾を産みたる寒さかな

2018年02月03日 | 

(あさよじの われをうみたる さむさかな) 

 一昨日の夜から朝にかけて、今年二度目の積雪だった、せいぜい3センチ程か。

 さて、1月の寒中に、私は生まれた。当時の気象条件や我が家の住宅事情を考えれば、朝4時の室内気温は、0℃以下にまず間違いない。暖房は、練炭の炬燵だけだったから。

 ところが、現在の我が家には、薪ストーブがあり、更に石油ファンヒーターが二台あり、電気炬燵があり、電気毛布まである。なんという贅沢、なんという浪費、なんという馬鹿な奴・・・・・両親に頭が上がらない。

フキノトウ(蕗の薹)

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1908   雪こんこ父に貰いし「山彦学校」   さくら

2018年02月02日 | 

(ゆきこんこ ちちにもらいし やまびこがっこう) 

『山彦学校』とは、山形県山元村の中学校教師だった無着成恭先生が、教え子の中学生たち43人の生活記録を学級文集にまとめて、1951年に青銅社から刊行したもの。

   正式名称は、『山びこ学校―山形県山元村中学校生徒の生活記録』本の冒頭に、児童文学作家の坪田譲治が推薦の辞を寄せた。映画や舞台でも取り上げられた。

 無着成恭先生は、ご高齢ではあるが現在もお元気で、昨年NHKの「心の時代」に出演しておられた。本も沢山出版されているので、是非お読みいただきたい。

尚、小学生だった作者が、お父さんから生まれて初めて与えられた本だったそうである。

紫陽花↑ 2018年2月2日、AM7時(積雪、意外と少なかったなあ)

↑花畑(雪見酒は出来そう)

↑雪割草など(ストーブの薪はたっぷりあって安心)

地面は、ほとんど積もらなかった。暖かいんだね。↑

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