一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

1897   諦めの時間賜る木守柿    薪 

2017年12月26日 | 

「諦める」とは、明らかにすること。どんなに悲しいことでも、腹立たしいことでも、事実ならば事実として受容することである。諦観とは、物事の本質を見極めることであり、悟ることである。

冬銀河地球は塵の一つなり    海人

「盤石劫(ばんじゃくこう)」という言葉がある。本州くらいの大きな石を、百年に一度柔らかい布でこすって無くなるまでの時間が一劫。それが百千万憶劫あるという宇宙から見れば、地球なんて塵のごとし、正に人間の命なんて実に儚い。

寒卵割って朝から頑張るぞ    清海

だからこそ、今日の決して帰って来ない時間を、そして命を大事にしたいものである。今月、句友狭心さんが逝ってしまった。倒れてからわずか一ト月であった。ほとんど苦しまなかったようだし、羨ましいような良い死に方だった。悲しいし淋しいが、笑って送り出そうと思う。

   狭心さん

憎めなき粋に洒脱に氏の逝けり   稱子

冬夕焼悟空となりて天を駆く       雲水

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1896   第256回  12月 岩戸句会

2017年12月25日 | 岩戸句会

諦めの時間賜る木守柿       薪 

やわらかき羽音掠める冬ベンチ

  

寒卵割って朝から頑張るぞ     清海

水仙の香りも強し仏様

 

冬銀河地球は塵のひとつなり    海人

この灰は我家の歴史古火鉢

 

口重き医師の話も年の暮      沙会

鼻水が言葉の先の出会いかな

 

似顔絵の若さ横目に年歩む     佳津 

厨辺にはんなり待てる柚子のあり

 

マネキンの赤い手袋虚空指す    炎火

湖に真っ逆さまの冬の山

 

虎落笛袖を伸してバイク人     美部

ストーブの前で軍手が湯気あげる

 

枇杷の花いよよ幻想多き母     洋子

花八つ手両手で包むマグカップ

 

糠と塩勘が頼りの大根漬け     豊春

唄尽きぬ老人会の冬日向

 

古暦通院メモの増えており     さくら

数え日や主夫能力に期待寄せ

 

十二月二十三日何の日に?     貴美

なぜだろう富士を見てるといやされる 〃

 

十二月どっと広告多くなる     鞠

極月の師走の喧騒月冴る

 

枯れ葉去り天窓空いて顔さむし   余白

前屈み急ぎ歩きの年の暮れ

 

玻璃磨く一片の雲冬の空      稱子

手をつなぐ時手袋をはずしけり

 

人生の残り火数え柚子湯かな    雲水

風邪引いて五日続きの生姜酒

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1895   降る雪や炉端熱燗きりたんぽ

2017年12月23日 | 

 (ふるゆきや ろばたあつかん きりたんぽ)

 秋田出身のテニス仲間が、きりたんぽをやるから一杯やろうと誘ってくれた。きりたんぽは、実際に御飯を炊いて、竹に巻き付けて手作りするという。見られなかったのが残念。

 鶏肉でだしを取り、芹、牛蒡、人参、葱、舞茸、白滝、そしてきりたんぽ。豆腐や厚揚げは、どういう訳か入れないとか、残念。芹と舞茸は絶対入れなきゃならないそうです。うーん、なるほど秋田だべ

 友人は、「ガキの頃、炉端で食べたお袋のきりたんぽの味が忘れられねえから、どんなことがあっても、年に一度はやらねーとなあ」そいつぁ、ごもっともです。

 ところでこの句、季語が4つもあるけど、絶対一っつも外せねえ

今年はユズが豊作です

 

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1894   目高鉢落葉の蓋を開けにけり

2017年12月22日 | 

(めだかばち おちばのふたを あけにけり)

 回りを木々に囲まれている我が家は、落葉が実に多い。先日の大風では、目高鉢、金魚鉢が、すっかり落葉に覆われてしまっていた。堆肥箱も一杯になってしまい、落葉の始末に困っている。

 この二三日ようやく寒波が去ったらしく、氷も張らず風もなく暖かい。といっても、朝の外気温は4度。周囲の林の木の葉の九割は、既に落ちて裸木となった。小楢は落ちずに頑張っている。日差しが木洩れて明るくなったのが、なんといっても嬉しい。

 昨日、植木屋が2トンほどの桜の木を持ってきたので、再びチェンソーで薪を切っている。体を動かすのは気分が良い、少し動くと汗ばむほどだ。

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1893   半白の遺髪を渡す寒さかな   章

2017年12月21日 | 

(はんぱくの いはつをわたす さむさかな)

 昭和23年12月23日、陸軍中将武藤章は、東条英機らA級戦犯六人と共に、絞首刑台にのぼった。武藤章は死刑になる前、遺書と共に掲句の他数句を作ったという。「半白」とは、白髪交じりの頭髪のことで、遺髪と重なっているためであろうか。上五の「半白」を「窓越し」に修正したという。直さない方が良かった、と私は思うが。

窓越しに遺髪を渡す寒さかな   章

  尚、海外で日本兵を拘束し、戦犯の裁判をおこなった国は、アメリカ、イギリス、オーストラリア、オランダ、フランス、フィリピン、中国で、死刑になった軍人は計934人であったという。

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1892   人の世の網戸に縋る枯蟷螂

2017年12月20日 | 

(ひとのよの あみどにすがる かれとうろう) 

「枯蟷螂」とは、冬になっても生きている、又は死んでいるカマキリのことをいう。そこで、冬になってもまだ生きている虫たちを、俳人たちはどのように呼んできたのか、歳時記で調べてみた。

「冬の虫、冬の蝶、冬の蜂、冬の蝿、冬の虻、冬の蝗(いなご)、冬の蚊、冬の蚤、凍蝶(いてちょう)、凍蜂、凍蝿、凍虻、寒蝿」などと呼ぶ。

  虫に「冬・凍・寒」のどれを付けても季語として、たぶん通用する。しかし、「枯」を付けるのは、「枯蟷螂」だけである。そこで、何故カマキリだけに「枯」を付けたのか、調べてみた。

 夏に緑のカマキリを見たものが、冬に褐色のカマキリを見て、カマキリが「枯れた」と勘違いしたのだという。つまり、カマキリは、生まれてから死ぬまで色が変わらないのだ。

  カマキリには、生まれた時から褐色の「コカマキリ」「ハラビロカマキリ」「ウスバカマキリ」がある。又、一番数の多いオオカマキリとチョウセンカマキリは、生まれた時から全身緑色のものと、上面だけが淡褐色の、2種類の色違いが存在する。

ところで、よく似たナナフシは、緑から褐色に変わるそうだから、ややこしいですね。

ヤマガラ(山雀)

 

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1891   人生の残り火よなよな数えけり

2017年12月18日 | 

 10年前、カナダのバンクーバーからウィスラーへ行く途中の、ビール工場のレストランで飲んだビールが、実に旨くて印象に残った。

 そして一ケ月前、新宿の800degreesというピザレストランで飲んだビールがよく似ていて旨かった。そしてつい最近、軽井沢の「よなよな」という地ビールが、同じビールの味がした。これは、ペールエールという種類のビールなのだ。そこで、ビールの製造方法、種類を調べてみた。

 ビールには、歴史的に古い上面発酵のエールと、新しい下面発酵のラガーの2種類がある。日本の大手メーカーのビールのほとんどが、ラガー系ピルスナーらしい。だから、日本のビールはよく似ていて個性がなく、つまらないのだ。

 ところが、ラガーが世界的に普及した今でも、イギリスやベルギーではエールが好まれているらしい。のどごしが良くすっきりなラガーに対して、エールは香りが高く苦み走って芳醇で濃厚で飲み応えがあるのだ。

だから、イギリスかベルギー、チェコに移住しようと、真剣に考え始めているこの頃である。

スイセン(水仙)

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1890    初雪や赤飯葛餅キムチ提げ

2017年12月17日 | 

 俳句仲間の友人夫婦が、湯河原で赤飯を買ってやって来た。奥様が、和菓子店の御主人に「お宅の赤飯は、湯河原一美味しいわ」と言ったところ、「日本一と言って下さい」と御主人。知人の奥様は、「それなら、いっそのこと世界一美味しい、にしましょう」

 ついでにキビ餅も買って、昼食と相成った。更に、キュウリキムチまでも置いて行った。そして帰り際に、なんと雪が舞い下りて来たのだった。今年の初雪だった。すぐ止んでしまったが。以前作った句を思い出した。

初雪は三時に着いてすぐ発てり

目白

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1889   彩りを尽くして木の葉時雨かな

2017年12月16日 | 

 紅葉も終わり、本格的な落葉期に入った。毎日降る落葉の量がすごい。先日、東京、横浜方面の景色を遮っていた桜や小楢を切り、視界を少し広げた。標高が高く風が強いここの木々は、防風林の役目をしているので、沢山切るわけにはいかない。

  二度目の寒波がやって来て、四日前には初氷。その後三日続けて氷が張った。今年は、ラニーニャ現象で西太平洋の赤道付近の海水が高温だという。すると、今年の日本の冬は寒くなるらしい。日本海地方ではドカ雪が降って、人々を驚かせている。関東は空っ風が吹き、晴天が続いている。

エナガ達の水浴び

捨てられた子猫が生き残り、時々やって来る。小鳥を狙うから、可愛がるわけにはいかない。

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1888   梅雨空に『九条守れ』の女性デモ

2017年12月07日 | 

 2015年6月、東京・銀座で、集団的自衛権に反対するデモが行われた。それを見た女性が掲句を詠み、さいたま市の三橋公民館で所属する俳句教室で発表した。ところがこの俳句を、三橋公民館が公民館だよりに載せるのを拒んだのだ。

この民主主義、言論の自由が保障されているはずの日本で、である。この句は、デモのあった事実を率直に述べただけの客観的俳句であって、作者の政治的主張やイデオロギー、つまりデモに賛成とも反対とも言ってはいない。

 まあ、仮に政治色があるとして、日本人として憲法を守ることは当たり前の正論であって、こんなことをいちいちやり玉に挙げられたら、人間や社会の現実を俳句に読むことはできなくなってしまう。戦前の言論弾圧を思い起こさせるではないか。というのも、戦前「新興俳句弾圧事件」があり、戦争を風刺した多くの俳人が逮捕され、投獄された歴史があるからだ。これと同様、さいたま市の一公民館の責任者が、安倍晋三首相の改憲を忖度し、言葉狩りのようなことをするのは、戦争への道を進んでいるようで、実に恐ろしいことなのだ。

 さいたま地裁は、2017年10月13日俳句不掲載の違法性を認め、作者の女性に慰謝料を支払うよう、市に命じた。ところが、さいたま市は不服のため控訴、高裁で争うことになったという。バカバカしくて話にならない。

 万一、テレビ局や新聞社が、『九条守れ』の女性デモがあったことを報道したら、国から懲罰されたり放送禁止になるとしたら、日本人として一大事だ。

センリョウ(千両)

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1887   人波に熊手漂い鯛踊る   歩智

2017年12月05日 | 

 酉の市は、日本各地の鷲神社(大鳥神社、大鷲神社、鷲神社=おおとりじんじゃ)の年中行事で、11月の酉の日に市がたつことから「酉の市」といい、「大酉祭」「お酉様」とも呼ばれている。縁起熊手が名物で、新年の開運招福、商売繁盛を願うお祭りとして親しまれている。

 この句の熊手や飾りの鯛は、季語ではないが、「酉の市」のことと推察して良いだろう。今年の酉の市は、一の酉が11月6日、二の酉が11月18日、三の酉が11月30日だった。

水仙が咲き出した

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1886   片隅に暮らす気安さ石蕗の花    佳津

2017年12月03日 | 

(かたすみに くらすきやすさ つわのはな) 

片隅とは、どんな所でしょうか。例え、都会の真ん中に住んでいても、例え立派な家に住んでいても、社会の片隅である、という感覚はあるかもしれない。家族がいても、離れて暮らす一人住まいなら「片隅」感はあるだろう。

 しかし、この句「気安さ」と言っているのだから、家族とはスープの冷めないような距離にいて、何かあってもすぐ跳んできてくれる安心感があるのかもしれない。きっと、そうに違いない。

近所の家で見つけた、スズメバチの巣の抜け殻です

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1885   寒波来る雪や氷は次の便

2017年12月02日 | 

 シベリアから高気圧が来て去ると、日本海と太平洋に二つ玉低気圧が出来て・・・これを繰り返すのが初冬の気象である。関東でも強風が吹いたり大雨が降ったり、荒れた天気になり、時には雪が降ることもある。

去年は、54年振りに11月に初雪が降ったので、今年も期待したが、さすがにそうわけにはいかなかった。次の便に期待することにしよう。

唯今我が家は紅葉真っ盛り

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1884   スーパーに溢るる孤独蜜柑買う   洋子

2017年12月01日 | 

日本は、世界でも類を見ない超高齢社会だ。歴史的にみると

   高齢化社会・・・1970年に、65歳以上の高齢者が7%を超えた。

  高齢社会・・・・1995年に、高齢者の割合が14%を超えた。

  超高齢社会・・・2007年に、高齢者が21%を超えた。

そして

2015年、高齢者は26.7%に、つまり「4人に1人が高齢者」、そして80歳以上の高齢者が1000万人を超えた。更に、100才以上は65,000人を越えた。

2035年には、高齢者の割合が33.4%となり、「3人に1人が高齢者」となる予測。 

いづれにしても、近辺の大型スーパーで、午前中買い物をしているのは、老人が実に多い。勿論、私もその一人だが・・・・・

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