北風に身を細め行く深き夜 沙会
澄み渡る大気の中に冬の星
初社彫師伊八の波しぶき 薪
線量汚染の放置茶畑北風吹けり
平成の御世の終わりの星冴ゆる 佳津
雲間より日の射す海や雪時雨
虎落笛病んだ心に棘を刺し 海人
風冴ゆる子を抱く母の大き胸
宝船吉祥天女の麗しき さくら
初詣時代遅れで生くもよし
初句会蜜柑金柑緊張感 裕
犬が呼ぶ散歩しようか枯木立
羽根付きも凧も最近見ないわね 貴美
お正月苺頬張るしあわせを
冬ざれの河原の小鳥群れなして イヨ
鳴く風の窓打つ音や春隣
微笑みの着物を競う初稽古 鞠
初稽古競う着物の微笑まし
初夢は人口知能による平和 炎火
廃材が華となりけりどんど焼
言祝やもてなし過すひと日なり 洋子
茶の花やグレイヘヤーに迷う日々
赤信号ダウンコートの背比べ 美部
冬うららシャラポワの声で目がさめる
初烏切り絵となりて舞い騒ぐ 豊春
マスクして化粧重ねてランニング
松過ぎを待ちて逝きたる友ひとり 歩智
松過ぎて動きたくないわたし達
幸せのひとつ冬日のぬくさかな 稱子
畳紙に母の筆文字初茶の湯
黄昏に庭の照明黄水仙 余白
公園に手袋片手落とし物
初詣ここも太古は海の底 雲水
権現を諸手に抱き山眠る