一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

936 改札機タッチ軽やか夏帽子   さくら

2013年05月31日 | 

 自動改札機が使われ出して大分経つが、最新式はSuicaなどのICチップを埋め込んだICカード乗車券をかざすだけで通過できるようになった。

 機械化のお陰で人件費を削減し、国鉄時代の赤字が民営化によって黒字化した反面、人々の働く場所が減り特に若者の失業者が増えているのは、JRのみならず全ての産業に言える。

 さて、この句のおしゃれな夏帽子さん、どこへお出かけですか。海ですか、山ですか、それとも海外ですか。

ヒメツルニチニチソウ(姫蔓日々草)

キョウチクトウ科ツルニチニチソウ属の耐寒性・ツル性常緑低木

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935 第201回 岩戸句会五月

2013年05月30日 | 

薫風やなぜか昔の傷うずく    正太

昼下り文豪墓碑に蟻遊ぶ

 

擂粉木をしっとり握る立夏かな  洋子

雨含み雨の色して藤香る

 

薫風に顔しかめたる男来る    遊石

ガラスビン昔母いて野バラ生け

 

まどい来つ泥田を探る玄鳥    侠心

緑陰やみどり児笑みて瞳の青し

 

薫風や茶会帰りの赤き爪     豊春

薫風を纏う和服に席譲る  

 

前を行く背負籠の中の大筍    歩智

朝焼や逸話を抱えポチが逝く

  

磯宿へ一すじの道月見草     章子

晩年といえど明日あり聖五月

  

わが娘いつも辛辣桐の花           稱子

病む人へ折る千羽鶴聖五月

 

忘れないで五月のバラと僕のこと 雲水 

夕月はリラに抱かれて昇りけり

  

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934  擂粉木をしっとり握る立夏かな   洋子

2013年05月27日 | 

(すりこぎを しっとりにぎる りっかかな)

 擂粉木を握ったら、しっとり湿り気があった。唯それだけのことだが、それが立夏となると「えっ」と立ち止まらざるを得ない。

 つまり、しっとりするはずのない時期に、しっとりしている意外性に驚いているから、「立夏かな」なのであろう。

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933  薫風やなぜか昔の傷うずく   正太

2013年05月26日 | 

 若かりし頃の病気や怪我、失敗や失恋など、人には言えない心身の古傷は、どんな人でも10やそこらは持ち合わせているに違いない。

「薫風」という心地よい季語に、そういう「昔の傷」という反対照的な、不似合いなものを取り合わせるのは、なかなかのものだ。「なぜか」と、とぼけているのも薫風故に他ならない。

ウツギ(空木)

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932  薫風となりて禅僧来たりけり

2013年05月25日 | 

 サラリーマンを定年退職した友人が、突然訪ねてきた。学生時代から一貫して在家禅を続けていた彼は、これからは、禅一筋でやって行く、という。

 私は、「坊主はお断りだが、寺男ならやってもいい」と答えておいた。するとすかさず、「慧能のように、寺男のような立場から、高い境涯に達する人もいるからね」と、どこまでも私を禅に誘うつもりのようである。

ジャスミン(モクセイ科ソケイ属)

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931  新緑を嬲っておりぬ窯煙

2013年05月24日 | 

(しんりょくを なぶっておりぬ かまけむり)

  昨日から、85回目の穴窯の窯焚き。24時間過ぎて、只今最高温度に近い1260度。

 この句の「なぶる」の漢字「嬲る」。男たちが女性をもてあそぶこと、それがもろに字となっていて驚きである。

 窯焚きが終わった時、実際回りの新緑が煤けているから、「嬲る」がぴったりだと思う。

 

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930  客去って板場賑やか立浪草  勝男

2013年05月22日 | 

 「3番テーブルのお造り、上がりました」などと元気のいい声が、客席まで筒抜けの店がある一方、静けさが自慢の店もあるだろう。

 客からみても、大声で騒げる気楽な店もあれば、小声でなければ話せないような堅苦しい店もあるだろう。

 いづれにしても客が去れば、今まで静かに粛々と仕事をしていた調理場も、食器を洗う音や話し声を気にすることはない。この句の「賑やか」には、良い料理を出すだろうことや働きやすい楽しい職場であろうことも容易に想像される。

タツナミソウ(立浪草)

 

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929  夕月はリラに抱かれて昇りけり  

2013年05月21日 | 

 ライラック(Lilac)、はモクセイ科ハシドイ属の落葉樹。フランス語ではリラ。和名はムラサキハシドイ(紫丁香花)。

 冷涼な地によく育つので、北海道などに多いようである。二十歳の頃、6月の北海道に40日ほど行ったことがあるが、花に興味がなかったせいかリラは全く記憶にない。三猿の「見て見ざる」だったのだ。

 興味がない、関心がない、というのは、実に困ったものである。

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928  延々と咲く母の日の胡蝶蘭  晴子

2013年05月18日 | 

 6年前にいただいた胡蝶蘭。今年も3輪咲いている。「よく咲いていますね」と感心する人がいるということは、結構育てるのが難しいのかもしれない。

以前、直射日光の当たる屋外に置いておいたら、葉が焼けて穴が開いてしまった。それからは室内の朝日が少し当たるだけの窓辺に置いている。たまに水をやる程度で、肥料は一切やっていない。

 インターネットで育て方を見たら、今から秋までは来年の花芽を付ける成長期らしく、多少の肥料はやった方が良いらしい。

 それにしても、延々と咲き続けるのは何故だろうか。

はてさて、いずれアヤメかカキツバタ

はたまたショウブかアイリスか

 

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927  弔いに犬も加わり藤の花

2013年05月16日 | 

 血統書つきのブランド犬は、人間の好みによって作られている。例えば、足を極端に短くしたり、毛を短くしたり、反対に長くしたり、などである。その特徴をより強調させるために、数十年、数百年に亘り交配を繰り返し、今のブランド犬が出来上がった。ブランド犬は、近親交配が多く病気に罹りやすい。

大きな動物病院では、CTなども完備しており検査も治療も人間と変わらない。保険がきかないから、高等医療の手術や薬代も馬鹿にならない。そうしてまで、ブランド犬を飼う気持ちが私には理解できない。

 我が家の犬は、一匹は元野良犬、もう一匹は野良犬の子供であり、共に雑種であるが、頭も良いし健康である。

本日忍び音(ホトトギスの初鳴き)あり

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926  方丈を吹きぬくる風楷若葉   春郎

2013年05月14日 | 

(ほうじょうを ふきぬくるかぜ かいわかば)

 今から2500年前、儒学の祖、孔子(紀元前552~479年)は、多くの子弟に見守られながら世を去り、山東省曲阜の泗水のほとりに埋葬された。門人たちは3年間の喪に服した後、墓所のまわりに中国全土から集めた美しい木々を植えたのが今も残る70万坪(200ha)の孔林。

 孔子十哲の弟子の中で、最も師を尊敬してやまなかった子貢は、さらに3年、小さな庵にとどまって塚をつくり、楷の木を植えてその地を離れた。

 この楷の木が世代を超えて受け継がれ、育った大樹は「子貢手植えの楷」として今も孔子の墓所に、強く美しい姿をとどめている。その墓所の回りには、孔子を慕う弟子や魯の国の人々が集まりはじめ、やがて住み着いた者の家が百余りあったので「孔里」と名づけられた。

 孔子は300年後の漢代中期以後、国家的崇拝の対象となり、次第に墓域も拡大され、孔里は現在、「孔林」という広大な国家的遺跡であり、世界文化遺産にも登録されている。

尚、掲句には、「足利学校」という前書きがある。

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925   杉あらば杉の高さに藤の花   力

2013年05月13日 | 

  自然界に蔓性植物は沢山あるだろうが、私の知る限り、藤は大きさや太さ、成長力は相当なものだ。この句のように、藤は自立できないが、親木に絡めばどこまでも成長できる。

 しかし、我が家の藤のように、絡んだ水木がひ弱で枯れて折れれば、共倒れになってしまう。それに親木の水木が枯れたのは、藤が執拗に絡みつき締めつけたからに他ならない。 

 人間社会にも、藤のような我が子に絡まれ、身動きが取れず、共倒れになりそうな親もきっと沢山いるに違いない。

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924   風呂敷に包んで帰る青嵐   哲子

2013年05月12日 | 

 この句を文法的に解釈すれば、「青嵐さんが、風呂敷に何かを包んで帰る」となるが、そんなことあるはずがない。とすると、風呂敷に包まれたものは何だか分からないが、「青嵐の中、何かを風呂敷に包んで帰る」・・・・・唯それだけのことで、全く訳が分からないし面白くない。

 実はそのトリックのような、ナゾナゾのような、このナンセンスが面白いのだ。えっ、風呂敷に包まれたのは、青嵐だって・・・・。青嵐は、気体でも個体でも、まして液体でもないのに、どうやって風呂敷に包んだんだ。謎は深まるばかり・・・・・・

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923  生き生きと車兵騎兵俑風薫る   次郎

2013年05月11日 | 

(いきいきと しゃへいきへいよう かぜかおる) 

 秦の始皇帝(紀元前259~210年)は、13才で即位し49才まで皇帝として君臨した。始皇帝は、千年も生きると言われる蓬莱山の仙人を探させたり、多くの近臣を疑って惨殺したり大変な暴君でもあった。

世界文化遺産の始皇帝陵から発掘された兵馬俑には、数千点の等身大の人馬や戦車などが収められているそうである。「俑」とは、墓に副葬する人や鳥獣を土や金属でかたどった人形をいう。

 それにしても、現在の中国の漢字の省略には驚く。「車」は「车」で、「馬」は「马」であり、共に新聞等に用いられる公式用語なのだ。

将来、中国の漢字が読めない時代が来て、漢字を守っているのは日本だけだったり・・・・・なんてこともあるかもしれない。

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922  行く春の風半島の仏にも  しずか

2013年05月09日 | 

 仏の半島と言えば、やはり豊後国東半島の磨崖仏を思い出す。40年も前のことで、記憶は定かではないが、静かな木々に囲まれた寺の仏像や磨崖仏。一つの地域にこんなに沢山の仏像があるなんて、と大いに驚いたことは記憶している。

 勇気がなくて、又縁もなくて、青年時代からの私の仏道修行は、とうとう夢に終わった。飛びこめなかった最大の理由は、私のような脆弱な人間には、厳しい修行に耐えられないのではないか、という恐れだったかもしれない。

 飛びこんでしまえば、どうにでもなったものを・・・・と、今思えば実に残念ではある。

ボタン(牡丹)  ボタン科ボタン属の落葉小低木

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