一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

2072  蕩々と植田滾々と畔の水  キヌ

2019年06月29日 | 

(とうとうとうえた こんこんとあぜのみず) 

 作者から伺ったところによると、この句は、旅をした長野県松本付近の句だという。青々と、そして広大な田植えの終わった田園風景。梅雨時だったこともあり、畔を流れる清冽な水が思い浮かぶ。きっと、立山連峰や穂高連峰の山々が、間近に見えたことでしょう。

 「とうとう」には7種類の文字と意味の違いがありました。

蕩々―はてしなく広いさま。心のやすらかでゆったりしているさま。

滔々―水がとどまることなく流れるさま。次から次へとよどみなく話すさま

丁々―斧で木を切る音や杭を打つ音の響きわたるさま

到頭―物事が最終的にそうなるさま。ついに。結局

洞々―穴などがぽっかりとあくさま。また、黒々と奥深いさま。

幢々―炎などが揺れ動くさま

鼕々―鼓や太鼓の鳴り響くさま 

 「こんこん」には4種類の文字と意味の違いがありました。

滾々―水がさかんに流れるさま。又、尽きることなく涌くさま。

懇々―心を込めて丁寧に説くさま。

昏々―暗くて物の区別がつかないさま

献々―杯を何度も重ねること

シモツケ(下野)

 

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2071  河骨の鉢の目高となる定め

2019年06月26日 | 

 河骨の鉢の金魚が、どういうわけか立て続けに鉢から飛び降り自殺してしまった。2匹になってしまったので、ホームセンターで5匹買って入れた。ところが、どういうわけか、ヒレが白くなる病気になり、全部死んでしまった。

 仕方なく、金魚は止めてヒメダカ(緋目高)を、同じホームセンターで10匹買って入れた。今度はどうやら元気に暮らしている。

ビヨウヤナギ(未央柳、美容柳)

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2070  穴窯も積まれし薪も梅雨に入る

2019年06月24日 | 

  6月7日、平年より1日早く、東海・関東・甲信地方が梅雨入りした。それまでの暑さが嘘のように涼しい日が続いている。梅雨入りから2週間余り経っているが、北九州は未だに梅雨入りしていないらしい。

 さて、東北地方から次第に南下を始めている新潟・秋田地方の地震、茨木から千葉の地震などが不気味だ。というのも、東京直下型地震、東南海地震などがいつ起こっても不思議ではない、と言われているからだ。

シモツケ(下野)

 

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2069  今日一日明日を見据へて新樹晴  泰子

2019年06月09日 | 

 

 この句の作者も、俳句の美女軍団BMJの会員。さて人は、明日のために今日を生きる、という考えはよくあることだ。例えば、明日の仕事のために、今日はゆっくり過ごして疲れを取っておこう、などと。

 この句の、今日が終わって「明日」になったら、やはり今日になっている。作者は、そんな風に毎日毎日、「明日を見据えて」今日を生きているのであろうか。そうだとすると、作者は頑張り屋さんだと思うが、疲れてしまわないだろうかと、私は心配してしまう。

ハナショウブ(花菖蒲)

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2068  ひとりには一人の音す星月夜  未翔

2019年06月08日 | 

  この句の作者も、俳句の美女軍団BMJの会員。さて、この句、孤独、内省的、哲学的と言えるかもしれない。

  作者の立ち位置は、「星月夜」によって屋外かもしれないが、「一人の音す」によってたぶん室内ではないだろうか、と想像される。具体的にどんな音か、幅が広すぎて難しいが、無理して巡らせば、自分が出している音、例えば台所で野菜を切る音、水の音、又洗濯物をたたむ音などが浮かぶ。つまり「独り」を使っていないので、意外と安心、安楽な作者のこころが浮かんでくる。

ムラサキシキブ(紫式部)

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2067  夏場所や櫓太鼓のきざむ空  麻奈美

2019年06月07日 | 

(なつばしょや やぐらだいこの きざむそら)

  この句の作者も、やはり俳句の美女軍団BMJ会員。相撲の世界と言えば、17年も続いた日本人横綱の不在、モンゴル人横綱朝青龍、日馬富士の暴力問題、親方を引退した貴乃花問題、稀勢の里問題、最近のトランプの相撲観戦など、大いに世の中を騒がせている。

  現実の相撲界は政界同様、私にはかなり淀んでいるように見える。人間界同様と言うべきか。しかしこの句から、五月の両国国技館の、櫓太鼓の鮮明で爽やかな音色が天まで届き、汚れたこの世の芥を払拭している、という作者の感覚が希望として伝わって来るような気がする。

キョウカノコ(京鹿の子)

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2066  大道芸たたむ間もなく夏の雨 飛露

2019年06月06日 | 

この句の作者も、やはり俳句の美女軍団BMJ会員。この句の季語、夏の雨は、俄雨(にわかあめ)、驟雨(しゅうう)、夕立のことだろう。では何故、驟雨、夕立を使わなかったのか。それは、「たたむ間もなく」で俄雨であることが分かるのだから、これらの季語を使うと意味が重なってしまう。だから、夏の雨で良いのである。

ホタルブクロ(蛍袋)

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2065  空蝉の聴き入ってゐる蝉時雨  茱萸

2019年06月04日 | 

 この句の作者は、やはり俳句の美女軍団BMJ会員。目に留まった木に縋っている蝉の抜け殻。折しも公園は蝉時雨であった。空蝉が蝉時雨に聞き入っている、という表現になっている。

 ここで、私が気になったのは、「空蝉の」を「空蝉や」に変えたらどうだろうか、ということ。

空蝉や聴き入っている蝉時雨

蝉時雨聴き入っている空の蝉

蝉時雨聴き入っている蝉の殻

色々変えてみたが、結局合点し原句に戻ったのでありました。

ムラサキカタバミ(紫酢漿草)要注意外来植物に指定されているそうです

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2064  夏至暮るる気長に待つといふ返事  繰子

2019年06月03日 | 

  東京から、俳句の「美女軍団BMJ」7名がやって来た。俳句、植物、野菜作り、陶芸の話などをして大いに盛り上がった。最後に、彼女達に自作の一番好きな夏の俳句を書いて貰った。

 さてこの句、結婚を申し込まれた作者が、はっきり返事せずお茶を濁しているのだが、相手の男性は、諦めておらず「気長に待つ」という。さすが、美女軍団の団長である。

 「夏至暮るる」は、「夏至の暮、夏の暮」でも良いと思うが、「夏至暮るる」という季語の斡旋で、男に「いくら待っても良い返事が来ないわよ」と暗示しているのだ。実に可哀想な男。

コウホネ(河骨)

 

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2063  汗一斗田植え上がりの冷一合  裕

2019年06月02日 | 

 農業者の高齢化が進み、それと共に機械化も進んでいる。近い将来、無人化、AI化さえ夢ではないだろう。田植えも然り、今時手植えはほとんどないようだ。

 さて、汗一斗(18ℓ)は、大げさでも何でもない。これは田植え人の多さと仕事の大変さを端的に表現している。そして、冷一合は、一人のコップ酒の量であろう。一斗と一合、実に上手く表現したものだ。

スイレン(睡蓮)

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