一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

1680   躁と鬱リバーシブルの春コート   喜久

2016年04月30日 | 

 リバーシブルのコートとは、裏返しできるコートのこと。大概、寒色と暖色、派手と地味と対照的になっている。作者は、それを躁と鬱だ、と言っている。唯それだけのことだ。

 しかし、よく考えてみると、作者は今躁なのだろうか、それとも鬱なのだろうか、何も言っていない。躁ならば、作者は暖色や派手を選ぶだろうか、そうとは限らない。鬱ならば、寒色や地味を選ぶだろうか、そうとは限らない。鬱だからこそ、暖色の派手を選ぶかもしれないのだ。いづれにしても、どちらを選ぶかによって、作者の躁鬱の強さが分かるというものだ。

ミツマタ(三椏)

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1679   春耕やとぼけし蝦蟇は薄目開け

2016年04月28日 | 

(しゅんこうや とぼけしがまは うすめあけ)

  啓蟄から2か月近くも経った先日、畳4,5枚ほどの我が家の長細い家庭菜園。去年植えた小松菜と水菜を引き抜き、スコップで掘り起こしていたら、土の中から蝦蟇が出てきた。保護色だろうか、色が同じで土に紛れ、殺しかねないところだった。

 蝦蟇は、掘り起こした土の上にちょこんと正座していた。しばらくするとうっすらと細目を開けた。急に起こされて寝ぼけているのかもしれないが、私には、とぼけているように見えて、実に可笑しかった。

 水の少ないこんな峠にどうして住み着いているのか、不思議である。

ヤマブキ(山吹)

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1678   陸奥を思い出しつつ木の実植う

2016年04月24日 | 

(みちのくを おもいだしつつ このみうう)

 昨秋、盛岡城址公園でトチ(栃)の実を、花巻の宮沢賢治が名付けたという「イギリス海岸」の駐車場でクルミ(胡桃)の実を拾った。

 この春、それを植えたら栃の実だけが芽を出した。胡桃は、どうしたのだろうか。とにかく、もう少し様子を見ることにしよう。賢治が、私を見放すはずがないし、ましてや胡桃を見放すはずがない。単に、芽出しの時期が違うだけだろう。絶対そうに違いない。

スノードロップ、ガランサス、マツユキソウ(待雪草)とも

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1677   幼な梅を落として去りぬ春嵐

2016年04月20日 | 

 先日、強風が吹き荒れ、成熟前の小さな梅の実が落ちてしまった。これは、残った実のための間引きと考えるべきだろう。又、朴(ほお)の苞(ほう)も沢山落ちていて、これは朴の開花を促しているのだろう。

 ところで、今は種蒔きの好機で、どんな種だって喜んで芽を出す。昨年、陸奥で拾ってきた栃の実は、発芽率が良くてぐんぐん芽が伸びている。将来きっと大木になるだろうから、さて何処に移植すべきか・・・・・ところが、クルミは、さっぱり芽が出てこない・・・・・時差かな、それとも・・・・・

クサイチゴ(草苺)

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1676   花は葉に駒鳥ちゃん鶯ちゃん斑鳩ちゃん

2016年04月18日 | 

(はなははに こまちゃん うーちゃん いかるちゃん) 

 ウグイスは当然だが、コマドリ(駒鳥)がここ数日毎日鳴いているから、もしかするとここに居付いた可能性が出てきた。そして、今日イカルの初鳴きを聞く。姿は見えない。去年の11月

1605   冬が来たぞヤマちゃんメジちゃんエナガちゃん

という句を作ったが、今は晩春だから、秋とは違う鳥達が続々やって来ている。今日は初夏の気候のようで、桜はほとんど散ってしまったが、自然界は正に春爛漫である。人間界の恐怖と不安には、どこ吹く風である。

ゼンマイ(薇)

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1675   春雨と霧の奥より駒鳥の声

2016年04月14日 | 

(はるさめと きりのおくより こまのこえ)

  今朝生まれて初めて、コマドリ(駒鳥)の鳴き声を聞いた。残念ながら、雨と霧に隠れて姿は見ていない。

 駒鳥は、スズメほどの大きさで「ヒヒーン・カラカラ」と鳴くと言われ、鳴き方が馬(駒)に似ているので駒鳥と呼ばれ「日本三大鳴鳥」の一つと言われている。  冬は中国南部に生息し、夏になると日本に渡って来て子育てする、燕と同様の夏鳥である。

 駒鳥は、「一沢一駒」といわれ、渓流に近いところにいることが多く、亜高山帯の渓谷や針葉樹林、混交林に生息するらしいから、今朝の駒鳥は、渡りの途中で奥湯河原や箱根方面にでも行くのかもしれない。「ここで子育てをして欲しい」と願うのは、虫が良すぎるだろう。

ヒメオドリコソウ(姫踊り子草)

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1674   窯の庭咲けば抜かるる草苺

2016年04月12日 | 

 「草刈り」は俳句では夏の季語で、夏は蚊や蚋、運が悪いと蜂や百足に刺されるし、本当にやりたくない仕事。だから、春の今のうちに頑張ってやっておくと、後が楽。

 夏になるとしっかり根を張って抜けない草も、今なら簡単に引き抜ける。トゲがあって困る草苺や薔薇苺なんかも、今なら痛くなく引き抜ける。

タラノメ

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1673   裏山のホーホホケキョと鳴くお前

2016年04月07日 | 

 我が家の回りを縄張りにしているウグイスは、どういう訳か「ホの字」を増やして「ホーホホケキョ」と鳴く。3年前からだから、たぶん同じウグイスと思っていいだろう。

 お前さん、一生そう鳴くつもりかい、皆に笑われるぞ・・・・・そうか、私のように生まれつきのへそ曲りで、皆と同じことをするのが嫌なのかい・・・・・そうだよね、きっとそうに決まっている。鳥にへそ曲りがいたって、決して不思議ではない。

 さて、ひと月余りかかって昨日、ようやく10トンの松を割り終えたが、まだジョウビタキ、ツグミが鉄砲虫を探しに来ていた。「沢山お食べ」と言いたいところだが、もうテッポウムシはないよ。それにしても、そろそろ北へ帰る頃だよな。君たちがいなくなると、我が家が一変に淋しくなるよ。秋に来るのを待ってるよ。

ハナニラ(花韮

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1672   春燈や生きる証の便り書く   章子

2016年04月05日 | 

 誰が言ったか忘れたが、「長生きすればするほど、身内や友人知人が次々亡くなって、淋しくなる」と。確かにその通りで、喜んでばかりいられない。ましてや、体調が思わしくなかったり、足腰が弱ったりすれば、次は我が身と思わずにいられない。

 それでもお迎えの日が来るまで、体をいたわりなんとか生きねばならない。心配をしてくれる友人知人に感謝の手紙を書く時、単なる礼状としてではなく、「自分が今生きている、という証を書いている」という実感が湧いてくるのだ。

モクレン(木蓮)

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1671 第235回 三月 岩戸句会  

2016年04月04日 | 岩戸句会

春灯や生きる証の便り書く     章子     

野に遊ぶ幼子しかと犬を抱き

   

電柱の天辺に烏フクシマ忌      薪

アトピーの児の首細し花の冷え

 

一点を見つめしままの雛納め    洋子 

ケーキ焼く香りにはしゃぐ春休み

   

スカイツリーふはり持ち上ぐ春霞  稱子

さくらさくら咲くや妹の忌近づきぬ

 

月朧妻の微笑妖艶に        海人

雛仕舞う娘は既に嫁にいき 

 

花急かし小枝を揺する目白かな   鼓夢

うらうらと風の調べや野に遊ぶ

 

菜の花に象牙の箸の進みけり    炎火

シングルと見受けし素振り春の雨

 

山際を鳶掠めて花三分       豊春 

物の芽や生命たしかに野も山も

 

青い空しだれざくらにつたい落つ  歩智

巣立鳥高校野球始まれり

 

野遊びの櫻花散る茣蓙の上     村上

古の強者共の墓地に花

 

気ぜわしや築地場外初ガツオ    余白

子等の声ウグイス混じる清水谷 

 

初蝶や彼岸なりせば父か母     雲水

白鷺も何か啄み野に遊ぶ

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1670   擂粉木も食べし勘定四月馬鹿   城太

2016年04月01日 | 

(すりこぎも たべしかんじょう しがつばか) 

 使えば使うほど、いつのまにか減ってゆく擂粉木(すりこぎ)や杓文字(しゃもじ。原料が木材ならまだしも、プラスチックの鍋返しやコーティング剤が塗ってあるフライパンなどは、無害とは限らないから使う気にならない。しかし、沢山売っているのだから、皆さん気にしないで使っているのだろう。

ミツマタ(三椏)

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