(はいいろの/ろぼうにつわの/ひとむぐら)
この句、「灰色の路傍」という、訳の分からないものを持って来たのが成功している。
つまり、石垣だろうか、アスファルトだろうか、コンクリートだろうか、時間が夕方だからか、曇天だからか、などと様々な「灰色」に思いを巡らさせ、読者に想像させるからだ。
この曖昧模糊とした「灰色」を、絵画で言えばキャンバスの背景として置き、一葎のツワブキ(石蕗)の黄金色を実にうまく引き立たせた。
(はいいろの/ろぼうにつわの/ひとむぐら)
この句、「灰色の路傍」という、訳の分からないものを持って来たのが成功している。
つまり、石垣だろうか、アスファルトだろうか、コンクリートだろうか、時間が夕方だからか、曇天だからか、などと様々な「灰色」に思いを巡らさせ、読者に想像させるからだ。
この曖昧模糊とした「灰色」を、絵画で言えばキャンバスの背景として置き、一葎のツワブキ(石蕗)の黄金色を実にうまく引き立たせた。
灰色の路傍に石蕗の一葎 豊春
大根干すラインダンスと一人笑む
声揃ふ手拍子揃ふ酉の市 稱子
落葉して一山軽くなりにけり
幸せはどこにでもある小春かな 章子
マフラーを背に流して荘年期
冬の虹晩年という未来あり 歩智
北風吹くや朝の庭の竹箒
朝食はパンとコーヒー新嘗祭 炎火
草紅葉足裏のタコ疼く風呂
熱海駅暖か帽子が群れていく 静江
青いまま銀杏祭りの大都会
小春日や油で揚げしパンの耳 洋子
立冬やテーブルクロス新しく
在るがまま瘤かかえおり冬の幹 正太
暮早しうたたねあとの渇きかな
今日も又同じ布団に足を入れ 遊石
木枯の公園を斜めに過ぎる
短日や繰り言のように編目解く 薪
青鷺の古老佇む文化の日
顔は春心は冬の色模様 空白
霜月や虫も野球も鳴き止みて
窯焚きの煙昇らせ憂国忌 雲水
攻め窯にコレルリ聞かす冬の山
(ねらしがま/ほうばもまじる/このはあめ)
穴窯における「煉らし」とは、1300度の最高温度に達してから、丸2日間、その温度を保ちながら焚き続けること。
燃料の薪の灰が作品に降り積もり、自然の釉薬(うわぐすり)となって、作品を彩る。色は、黒、赤、茶、灰色、緑、青などさまざま。
「木の葉雨」は、雨の如く降る落葉のこと。木の葉に降る雨ではない。
朴の木は、煙突のすぐそばにあり、煙突から出る炎に朴葉が焙られて燃えそうになることもあるが、実際に火が付くことはない。
煙突から、火の粉が飛び出ることは、全くない。何故なら全ての灰は、途中の作品に降り積もってしまうからだ。
攻め窯は、火力を上げて行くために、次々と薪を投げ入れる頃の窯。温度は、1300に近づく。外気温は、10度だが、窯焚きには丁度いい位だ。
アルカンジェロ・コレルリは、17世紀イタリアの作曲家で、ヴィヴァルディやバッハ、ヘンデルより2.30年、年長。彼の合奏協奏曲の中に、クリスマス協奏曲と呼ばれているものがあり、久し振りに聞いてみた。
火が入ると、生き物のように活動する穴窯。きっと作品の出来に良い影響を与えるはずだ。
温度計では1250度
蓋を開けると熱で火傷しそう
(こがらしや/みけみきまつり/ひいれがま)
今回で82回目の火入れ。一応、神棚には榊、お神酒、洗米、塩、海山のものを備えて、祝詞を上げる。全員が、地震や火災、怪我などの災害に遭わないように、祈るばかりだ。
これから72時間、不休の窯焚きが続く。今朝の散歩では、かなり強い風が吹いていた。風も冷たい。たぶん、木枯1号だろう、いやそうに違いない。
窯の中ほどの温度計は500度だが、
手前は600度はある。
(きんえんの/ はずのたばこや/ かんなづき)
禁煙して1年になる。未だに煙草を吸っている人を見かけると、吸いたくなる。実際、知り合いならば、貰って吸う。それでも一ト月に、そんなことは5回ぐらいだろうか。つまり、月5本は吸っている。
1年経って、「良く頑張ったね、1度きりだが煙草を一箱買って、吸ってもいいよ」ということになった。よせばいいのに、本当に買ってしまった。
しかし、買ってから一ト月になるが、まだ数本しか吸っていない。もう、湿気ていて不味いんじゃないか、と思う。捨てた方が良いかもしれない。
つまり、煙草に関して、完全に中毒症状から脱したのだろうか。次は酒だ。しかし、こいつだけは自信がない。
食用菊だそうだが、食べたことがない
育てていると、食べる気にならない
ブータンでは、切り花にさえしないそうだからすごい。
私達も見習わなくっちゃ!!!
(おちばかき/してはじまれり/かまじゅんび)
窯詰めが終わって、昨日から窯を焙(あぶ)っている。窯と作品の湿気を抜くための予備焚き、又は焙りとも言う。その前に、窯の回りの草刈りや半年間に溜まった落葉や埃を掃き清める。
4日間、100度程度で窯を焚く
夕べ火を止めてから12時間経っていたが65度あった
これは、今朝火を付ける前の状態
(かまたきの/けむりたたせて/ゆうこくき)
41年前の11月25日、放浪の途中の長崎の食堂で三島由紀夫の自決をテレビニュースで知った。
私は、この事件を誰かと話したくて、長崎の街をさまよった。勿論、見知らぬ土地で話し合える知人などおらず、誰かに話しかける勇気もなく、唯うろうろとさまよい歩いただけだった。
当時の私は、三島由紀夫を馬鹿にしていたのである。三島の作品や言動を見ていると、「彼は、とっくに死んでいるはずであり、生きているのはおかしい」と思っていたからである。
その三島由紀夫が、彼の信念に則り自決した。彼は、自分の思いを実行に移し、成し遂げてしまった。自決の仕方とか、場所とか、そんなことはどうでも良かった。実行したことに驚愕したのである。
ハナユズ(花柚子)
(かきすする/ たびのみなとの/ レストラン)
7,8年前のことだが、テニス仲間に誘われて、オーストラリアのケアンズに行ったことがある。午前中はテニス、午後から町を散策といったような呑気な旅だった。
ケアンズから、北へ数十キロのポートダグラスへレンタカーでドライブ。ポートダグラスは、田舎の小さな港町のはずだが、白いヨットがずらりと並び、洒落た大きなレストランもあって、オーストラリアの豊かさを実感した。
このレストラン、Googleで地図検索したらありました。「Lure restaurant &bar」ルアーと言えば、魚に似せた釣りの疑似餌を思い出すが、ルアーには、魅力、魅惑と言う意味もあるようだから、なかなか良い命名だ。このレストランの生牡蠣、殻付きで大きく魅力的だったことは言うまでもない。
のぶき(野蕗)
(ふゆばれや/ みがきおえたる/ こがしなべ)
気が付いた時は、すでに遅かった。全くしょうがない、又鍋をこがしてしまった。・・・・・ある時はやかんを焦がし・・・・ある時は魚を焦がし・・・・
最近は、ステンレスの鍋に替えて、丈夫になったので磨き甲斐がある。しかし、こびり付いた焦げを落とすのは、容易ではない。兎に角、根気よくやるしかない。
ところで、最近の「なんとか加工」の鍋やフライパンは、焦がしても簡単に剥がれるらしい。更に、オール電化のIHクッキングヒーターは言うに及ばず、最新式のガスコンロでも、タイマーが付いていたり、高温を感知すると自動停止装置が働いたりと、至れり尽くせりだそうだ。
「そういうのに買い替えたらどうか」と勧める方もいるが、「そんな便利なものを使うと、益々ボケが進むのではないか」と心配になる。
(つむまきに/ びがくのありて/ ふゆがまえ)
32年前のことである。一度も薪を割ったこともなく、薪の窯を焚いたこともないのに、穴窯を造り薪を割り始めた。今考えたら、全くの無謀な行為と言えるが、それが貴重な経験となり、今を支えているのは確かだ。
寄りかかる壁のない所に薪を積むのは、結構難しい。いいかげんに積むと、必ず崩れるのだ。何度か崩して、ようやく崩れない方法を発見した。
そして、上手く積むためには、美しく積む必要がある。美学というのは、自作ながら少しオーバーな表現で照れるが、意気込みとしてお許しいただきたい。
コダチダリア(木立ちダリア)、皇帝ダリアとも
(はぜもみじ/テニスコートにまいおりて)
テニスの起源は、4500年前のエジプトにまで遡る、という。そして、現在のローンテニスは、イギリスで考案されたらしい。
日本にも蹴鞠(けまり)というスポーツらしきものが平安時代にあったようだが、何故か普及しなかった。ところがどうしてか、ヨーロッパでは様々なスポーツが発達した。理由はやはり、経済的な豊かさと時間的余裕ではないか、と思う。
球技と一口に言っても、沢山ある。
○ネットに向かい合って、ボールを打ち合うテニス、卓球、バレー、バドミントン
○相手のゴールにボールを入れ合うサッカー、ホッケー、ハンドボール、バスケットボール。フットボール、クリケット、ラグビー、
○その他、ゴルフ、野球、ボーリング、ビリヤード、ゲートボール
よくぞこれだけ考え出したものだ、と感心してしまう。折角こんなに沢山あるのだから、一つくらいはやらないと損ですぞ。
私は、50才からテニスを始めた。遅すぎたことを後悔しているが、遅くとも始めたことには、感謝している。
ナンテン(南天)
(みせじゅうの/ とけいがうごく/ としのいち)
中小の小売店を守るための「大規模小売店舗法」が廃止されて、全国の商店街が疲弊してしまった。郊外に大駐車場を備えた大型店が続出し、日本全国の駅前商店街がさびれてしまったのだ。この法律は、日本を変えてしまった悪法だろう。これも、アメリカの圧力に屈したためだという。
今話題の、TPPにしても日本の将来をどうするのか、という大前提がない。工業は、産業廃棄物を大量生産して、国土を汚染するばかりなのであって、農業こそが、未来の日本を守る一番大事な産業だ、ということを政治家は無視している。
さて、壁にずらりと並んだ掛時計。勿論、ゼンマイ仕掛けの頃の時計のことだ。今では大型店に仕事を奪われ、掛け時計を並べる町の時計店は、たぶん日本から絶滅しただろう。
ウンシュウミカン(温州蜜柑)、早生蜜柑とも
(かまふうず/よくフクロウの/なくひなり)
回りを山に囲まれているからと言って、毎日フクロウが鳴いているわけではない。どういうわけか毎年冬になるとやって来て、鳴いている。留鳥だから1年中いるわけだが、子育ても終わっているし、国内を移動している途中なのかもしれない。
素人の私でも、フクロウ、ミミズク、アオバズク、コノハズクなど、見たことはなくとも名前だけはテレビなどで知っているから、鳴き声はインターネットで調べた。フクロウに間違いない。
私は只今、窯詰めの真っ最中で、24日から窯焚きの予定。だから事実は「窯詰やよく梟の鳴く日なり」とすべきだが、「窯封ず』の方が、窯詰めの終わった達成感と、これから始まるべき窯焚きへの期待感があるはずだ。
コブクザクラ(小福桜)
(うづみびや/かぜのおとにも/こころよせ)
埋火とは、消えないように灰の中に埋めた炭火のことで、現代では囲炉裏か茶道の炭だろう。しかし、最近の気密性の高い住宅では、一酸化炭素中毒で死亡することがあるから、注意が必要だ。
さて、この句。「埋火」というが、419回の「火事赤し」と同様、恋愛感情を指しているのではないのか。下司の勘繰りと言われるかもしれないが・・・・・そう解釈させる理由は、「心寄せ」にもあるし、「風の音にも」の「も」にもある。
つまり、ひそかにある男性に心を寄せている作者が、その切ない思いに沈みながら、風の音を聞いている。これで謎が解けたような気がするが、意味深長な句ではある。
アサギマダラ
こいつは、日本で唯一渡りをする蝶
信州から台湾まで
2000キロを飛ぶというからすごい。
しかし、今頃は四国か九州あたりのはずなのに
随分のんびりやさんだ。
これから、箱根を越えるのだが、
寒くならないうちに
早くお行き!!!