一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

1634   枯松葉センターラインを描きおり   鼓夢

2015年12月30日 | 

  歳時記に、「敷松葉」という季語はあるが、独立した「枯松葉」という季語はない。したがって、この句の季語は「枯」である。又、「名の木枯る」という季語があるが、よく知られている木の名を冠して、「欅枯る」などと使う。但し「枯れ松」などと使うと、「枯れてしまった松」になってしまうので注意が必要。

 さて、私はこの句から、沼津の千本松原の道路を想像したが、芭蕉の「笈日記」に

ごを焼いて手拭あぶる寒さかな  (注「ご」とは枯松葉のこと)

という季重ねの句があるが、芭蕉がこの句を聞いたら、きっと驚くだろうねえ。


1633   見逃してしまう薄さの初氷

2015年12月29日 | 

 昨日、梅が咲いているのに驚いたが、ようやく今日(29日)は、なんと今年の初氷が張っていた。去年が12月3日だったから、26日の遅れ。今年の冬は驚くことが多い。

 さて、それでも山の木々は、ほとんど裸になってしまった。小楢が少し残しているくらい。今日は、風もなく穏やかな冬日和だ。裸木の向こうに、動かない綿菓子のような雲がぷかりぷかり浮かんでいる。静かな何にもしない私の年の瀬である。

 ランドマークタワー


1632   年の暮松竹千両梅五輪

2015年12月28日 | 

 今日12月28日、正月に飾る松と竹を採りに、裏山へ行ってきました。今年生まれた竹を切ったら、小さな穴が開いていました。きっと中には虫が冬眠しているはずだ。来春虫が出てきたら、驚くだろうなあ。松には、まだ松笠が付いているのがあって、玄関先に飾りました。

さて、松と竹以外に、なんと意外にも、山道脇に千両がありました。万両なら分かるが、千両は珍しい。誰か捨てたのだろうか。それとも鳥が運んだのだろうか。

 家に帰って気付きました。なんと梅が咲いているではありませんか。CO₂による温暖化が問題になっていますが、こんなことはかつて経験のない異常事態です。

今年の暮は、なんとなんと、松竹梅が揃ってしまったんです。

マンリョウ(万両)


1631   初採りの七個と遊ぶ柚子湯かな   笑美子

2015年12月25日 | 

  古代中国の唐では、冬至を1年の始まりとし元旦としていた。つまり、唐の正月が冬至だ、という。冬至から夏に向かって昼間が長くなっていくのだから、正月とするのは当然のことだろう。

  冬至と言えば、「と」の付く食べ物、とうなす(南瓜)・豆腐・唐辛子・ドジョウなどを食べ、柚子湯に入る風習が全国に残っている。

 さて、浮かべた柚子を投げたり揉んだりするのは、風呂に香りが充満して、特に子供たちにとっては楽しい遊びでもある。柚子は、肌に優しい素晴らしい入浴剤でもある。


1630   順調に年老いてます十二月   さくら

2015年12月24日 | 

 近年、健康食品や健康サプリが大流行。大企業から中小企業まで様々な会社が、うんざりするくらい、売れ残りタレントを使ってテレビで宣伝している。断捨離、終活を目指している人々は、ついつい買っているのではないか。売れるから、宣伝するに決まっている。

さて先日、エナジードリンクなるカフェインを多量に含んだものを飲んで、中毒で死亡したニュースがあった。栄養ドリンクとは違うようだが、あんないかがわしい高価なものを喜んで飲んでいるとは、実に困ったものだ。

 かく言う私は、最近スロージューサーなる物を買った。コマツナなどの青野菜、やニンジンなどの野菜類、リンゴ、ミカンなどの果物をジュースにして飲んでいる。スロージューサーは、後始末が割と簡単で皆さんにお勧めである。種類は色々あるようだが、7,000円余りのもので十分間に合っている。


1629   早起きが擽っている冬休み   佳津

2015年12月23日 | 

(はやおきが くすぐっている ふゆやすみ) 

 くすぐって、くすぐったいところは、腋の下、首筋、足の裏、腿の内側・・・・・たぶん人によって多少違うかもしれない。

 冬休みで、おばあちゃんちにやって来た幼稚園児くらいの男の子が、朝早くおばあちゃんのベッドに潜り込んで、足の裏なんか擽ったんでしょう。日頃お父さんに擽られているから、くすぐったい場所は良く知っているに違いない。

さて、どこをくすぐられたんでしょうか。想像しただけでくすぐったくなってきました。

スイセン(水仙)


1628   猟犬の首をそろえて水を呑む

2015年12月21日 | 

 11月15日から、イノシシの猟が解禁になったらしい。土日になると、我が家近辺に猟友会のメンバーが集まり、岩戸山の山頂にかけて猟をする。

 首に、鈴とGPSの発信機を付けた数頭の猟犬が走り回っている。2,3日前にもイノシシの狼藉があったばかりだから、臭いがするのだろう。激しい息遣いの猟犬たちが、外流しのバケツの水をごくごく飲んでいる。

ヤブコウジ(藪柑子)


1627   とべらの実赤くはじけて海と空   幸子

2015年12月17日 | 

 今日、4人組の来客があった。「どういうお仲間ですか」と問うと、「美人仲間です」とのこと。「元・美人仲間ですね」4人の中に、伊豆高原にお住いの俳人幸子さんがおられ、とっさに掲句を教えていただいた。この句は、句会で特選をいただいたそうです。

さて、トベラ(海桐)は、初夏に白色五弁の芳香のある花が咲き、晩秋には球形の果実が熟して三つに裂け、赤い粘った種子を出すそうです。とべらの実の赤と海と空の青、空に浮かぶ雲の白とカラフルで絵画的、とても明るい句ですね。

クマザサ(熊笹) 


1626  冬の蜂とうとう年老いて死んだよ

2015年12月15日 | 

 707でも書いたが、二十歳の頃、旅先の与論島で「春歌」を沢山知っている青年に出会った。与論島のキャンプ場で3カ月ほど過ごす中、ギターの弾き語りで彼から様々な春歌を教えてもらった。その中に「ぼんぼの子守歌」があった。

 先日、ニュースで野坂昭如の訃報を聞いた時すぐに、彼が「ぼんぼの子守歌」を唄っていたことを思い出した。YouTubeで調べたらありました。勇気のある方は、「野坂昭如のぼんぼの子守歌」←良かったらお聞きください。

 ぼんぼの子守歌

ひとつ 昼間する炭鉱のぼんぼよ 

ふたつ 船でする船頭のぼんぼよ 

みっつ 道でする乞食のぼんぼよ 

よっつ 呼んでする芸者のぼんぼよ 

いつつ いつもするめおとのぼんぼよ 

むっつ 無理にする強姦のぼんぼよ 

ななつ 泣いてする別れのぼんぼよ 

やっつ 山でするきこりのぼんぼよ 

ここのつ 今度する義理あるぼんぼよ

とおで とうとう年老いて死んだよ


1625   柚子の香やしげるの幸福七か条

2015年12月14日 | 

漫画家・水木しげるが亡くなった。過去の私は、彼の漫画をほとんど読まなかったし、NHKでドラマ化されたのを見ても、特別好きになれなかった。

 ところが彼の「幸福の七ヵ条」を見て驚いた。私の考え方と全く同じだったからだ。第六条の「怠け者になりなさい」が、特に感動した。

 人間、好きではないことを、一生懸命努力したりすることほど、愚かな行為はない。そんな時は怠けなさい。しかし、好きなことは、とことんできるはずだ、とことんやりなさい。そうすれば必ず、そこそこには生きていける。

 今年の我が家の柚子は当たり年。早速摘んでポン酢を作ってみた。柚子の皮を剥いて刻み、中実は絞って鰹節と昆布を入れたポン酢の中に入れた。鍋もの、中華サラダのドレッシングなどに使うと、実に旨い。是非お試しあれ。


1624   前酒のホットワインや年忘れ

2015年12月11日 | 

 ヒルトン小田原で、テニスの忘年会があった。ロビーは、クリスマスムード満載で、沢山の様々なクリスマスグッズが並んで売られていた。私は、ドイツ流というホットワインを初めて飲んでみた。なかなか旨い。作り方を調べて、作ってみよう。

 帰って早速調べてみると、ホットワインには、シナモン・ブラックペパー・クローブ・コリアンダー・カルダモン・キャラウェイ・ジンジャー・ローズマリーなど様々なハーブなどを好みで入れるらしい。アルコールを飛ばせば、子供でも飲める、という。

フユイチゴ(冬苺)


1623   十二月八日の私自爆テロ

2015年12月08日 | 

  12月8日は、お釈迦様が菩提樹の下で7日間の坐禅の後、暁の明星をご覧になって、お悟りを得て仏になられた日、と言われている。その時、「草木国土、悉皆成仏」この世のあらゆるものは、仏心を持っている、と言ったという。仏教では、成道会(蠟八・蠟八会・蠟八接心ともいう)を日本各地の寺で修している。

 又、12月8日は、1941(昭和16)年、日本軍がハワイ・オアフ島・真珠湾のアメリカ軍基地を奇襲攻撃し、戦艦アリゾナなど戦艦11隻を撃沈、400機近くの航空機を破壊した。そして、3年6ケ月に及ぶ太平洋戦争が勃発した日でもある。

 又、1980年、ニューヨークでジョンレノンが暗殺された日でもある。

ジョン・レモン


1622   足湯にひとり北風小僧の寒太郎

2015年12月06日 | 

 最近、日本全国の温泉地に増えたものに「足湯」がある。駅や公園、ホテル、旅館など、様々なところにできた。それらは、ほとんど無料のようある。

 熱海駅には、「家康の湯」と名付けられた足湯がある。又、銀座通り近くには、温泉の蒸気で温泉卵を作ったりできる『小沢の湯』が道路わきにある。、

さて、去年(2014年)の初氷は、12月3日だった。先日はかなり冷え込んだが、それでも5℃程度。今年は暖冬らしく、少し遅れている。いつになるだろうか。

 「北風小僧の寒太郎」は、1972年NHK「おかあさんといっしょ」で田中星児」が初めて歌い、その後「みんなのうた」で堺正章が歌った。又、歌碑が松原湖水辺公園に建立されているという。

 


1621   静かなる一樹にひとり松手入れ   薪

2015年12月03日 | 

 

  夏の間に伸びた庭の木々を庭師が刈るのを「庭木刈る」。特に新芽が伸びきり、古葉が赤くなった松の枝を整えるのを「松手入れ」という。年末の感もあるが、いづれも実際は9月以降10月頃の仕事で秋の季語になっている。この句の松手入れは、きっと個人の家の庭で庭師は一人。脚立に登り黙々と鋏を使っていることだろう。

  私は、手入れをしない荒れた庭は庭で、それなりに面白く初冬の景色を楽しんでいる。夏の間は、山芋類や烏瓜などの蔓がはびこっていたが、ようやく成長が止まり葉が落ち始めた。そろそろ正月に向けて、年に一度の手入れをする時期になった。

 


1620    第231回  11月 岩戸句会                                                                 

2015年12月01日 | 岩戸句会

第231回  11月 岩戸句会                                     

 

立冬や願を持ちて我老いむ     洋子

人肌は誰の人肌燗をする

  

静かなる一樹にひとり松手入れ   薪

羅漢の膝に一円光る紅葉山 

 

滑らかな大根干さる町屋窓     豊春

風邪声に呼びとめられし朝の市

 

木枯しや見えないものに急かされて 稱子

繰り言を聞くもよしみや草の花

   

湯豆腐や爆破されたらどうするの  炎火 

請求書電気にガスに冬が来た

  

ギンナンが公園覆い人急ぐ     余白

自転車を前かがみ乗る冬の風

 

余生をば冬めく雲に託しけり    章子

北窓にパッとはじけるポインセチア

 

次はさて誰にあげよか貰い風邪   雲水

冬日向バリカンで刈る無精髭