一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

2077  蜩に射干確と開きけり

2019年07月22日 | 

(ひぐらしに ひおうぎしかと ひらきけり) 

  今年のヒグラシ(蜩)の初鳴きは、7月20日だった。この9年間で最も遅い記録。この一と月余り、オホーツクからヤマセが吹き、気温が低い。おかげで、我が家のキュウリ(胡瓜)も生育が悪い。そして、未だに梅雨が明けていない。

逆に去年は、6月中に梅雨が明けたから、初鳴きが最も早かった。以下、蜩の初鳴きした日。 

2019.7.20

2018.7. 2

2017、7、 6

2016、7、 4

2015、7、10

2014、7、10

2013、7、 7

2012、7,14

2011、7,13

ヒオウギ(射干、檜扇)

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2076   梔子や月下に雫は詩を詠む  裕

2019年07月11日 | 

(くちなしや げっかにしずくは うたをよむ) 

 この句、本来は「梔子や月下に雫(の)詩を詠むが正しい。つまり、作者が詩を詠むのである。ところが、作者は、あり得ない「は」に替えてしまった。クチナシの露の雫が、月の光を受けて輝いている。そして、その雫が詩を詠んでいる、という意味に替えたのだ。

 さて、こんな嘘を言って良いのだろうか。俳句では、「こうであらねばならぬ」などということはない。問題は、面白いかどうか、この句のように面白かったらそれで良いのだ。

クチナシ(梔子)

 

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2075  誉められて居心地悪しさくらんぼ  梨恵

2019年07月05日 | 

 

「誉めて育てよ」と一般的によく言われる。しかし、「あいつをダメにしたければ、誉めて誉めて誉めちぎれ」という諺もある。ということは、きっと問題は、その誉め方にあるのだ。

 この句の場合、きっと「歯の浮くような」誉められ方をされたのだろう。つまり、心にも思っていない嘘なのに誉めていたのだ。又は、本音で誉めたとしても、聞いた本人が嘘だと判断しているのだ。

  いずれにしても、人に誉められた時、誉めている人の言葉が本音かどうか、又自分が素直に喜んで良いかどうかを、ちょっと立ち止まって考える必要がありそうだ。

ヤマアジサイ(山紫陽花)

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2074   茄子漬の紺に艶あり我に艶なし  海人

2019年07月03日 | 

 採り立ての茄子は、そのままで深紫の艶がある。漬物にした時、そのままの色と艶を維持するためには、塩やミョウバンをよくすり込み、釘や鉄卵を入れると、酸化を防止してくれる、という。

 さてこの句、うまく漬かった茄子の「艶」を見て、作者は自分には「艶」がないという。そこで気になったのが、昔から日本人は「艶(つや、えん)」という言葉をどのように解釈し扱ってきたのだろうか。次の五解説から、我々読者は、どんな「艶」を選択すべきだろうか。単なる表面的なツヤではないとすれば、そこには作者の謙遜や自虐、コンプレックス、トラウマなど深層心理から出てきた可能性がある、と思うのは考え過ぎだろうか。

1 あでやかで美しいこと。なまめかしいこと。

2 情趣に富むさま。美しく風情のあるさま。

3 しゃれているさま。粋(いき)なさま。

4 思わせぶりなさま。

5 中世の歌学や能楽における美的理念の一。感覚的な優美さ。優艶美。妖艶美。

カワラナデシコ(河原撫子)

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2073   第274回 6月岩戸句会

2019年07月01日 | 

茄子漬の紺に艶あり我に艶なし     海人

父の日や豆のつまみと文届く

  

糸蜻蛉油膜のごとく発光す       炎火

午前五時芦の湖湖畔七変化

       

梔子や月下に雫は詩を詠む       裕 

浮浪雲梅雨の晴れ間は鉢に涌く

 

半夏生母は弱音をはかぬもの      洋子

梅雨晴間四つ葉のクローバー見つけたり

  

草匂ふ遊ぶでで虫雨の中        イヨ

栗の花垂れて月夜の静かかな

 

木洩れ日ゆるるひっそりと破れ傘    一煌

金糸梅光集めて白い蝶 

   

なんとなく声を落として夕蛍      沙会

こころもち向き合うように燕の巣

 

空中に留まる如し親燕         豊春

道草の一年生や梅雨晴間

    

梅雨寒や我だけ歳を感じるか      鞠

幽玄のすべてを照らす梅雨の月

 

廃屋を奥に匿して枇杷熟れる      薪

沖縄のシーサー睨む梅雨の空

   

犬右手傘は左手梅雨に入る       歩智

手水舎のインスタ映えや四葩浮く

 

シューベルト一辺倒の野バラかな    さくら

五月雨雲住み慣れし町離れたり

 

あじさいの千の雨粒千の色       稱子

麦秋の富士の黒々夕深む

 

梅雨篭り午後のオセロのモノトーン   美部

梅雨だからホームで涙いいでしょう

 

鉄路旅青田茶畑雲低し         余白

剃刀で空を切り裂きツバメ飛ぶ

 

こんな夜も珠にはあるか梅雨の月    貴美

庭先のゴーヤ負けるな暴れ梅雨

 

腹膨れ藪蚊畳に休みをり        雲水

担々麺食べに行こうか青葉寒

ハンゲショウ(半夏生、半化粧)、別名カタシログサ(片白草)とも

  

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