料峭やどれも海向く駅の椅子 正太
壷焼のなぜか男の匂いする
帰り道しかと料峭身八つ口 章子
別れとはあっけなきもの藪椿
背に受ける風の重さよ涅槃西風 遊石
料峭や我が世の旅の姿かな
強東風に抗う犬の太き声 豊春
喉嗄らし土産売子や春遅し
良く笑う女ばかりや梅日和 洋子
喝入れて雛を飾らん病み上がり
啓蟄や石斧のような石拾う 薪
するすると肝を抜かれし毛糸玉
料峭や地球儀を拭く六年生 炎火
春の雪デーサービスの長寿園
旅便りあふれる紙面春まぢか 稱子
動物園の海馬あかんべして立春
春寒し行く人なしの石畳 鼓夢
坂道に喘ぐ足弱寒の明け
イーグルが舞う足元に蕗の薹 静江
早春を胸いっぱいに身を清め
家を出て5時間後には雪の街 空白
冬歩き帽子とメガネマスク着け
梅二輪今朝の日差しに解かるる 雲水
鶯が誘う三時になさりませ