一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

1700   第238回 6月岩戸句会

2016年06月30日 | 岩戸句会

ゆきゆきてゆきつく先も四葩かな   歩智

荒梅雨や光る銀色鯔の子ら

 

御仏の優しき里の田植かな      侠心   

この森は一と葉も動かず梅雨闌ける

 

荒梅雨やゴキブリホイホイ建ち上がる 薪

頼朝塚へぽつりぽつりと野の薊

 

ハイボール霜降りの肉夏野菜     炎火

荒梅雨やアラビアサハラタクラマカン

  

荒梅雨や二人して見る生命線     洋子

雑巾をざぶざぶすすぐ梅雨晴間

   

自販機に礼を言われる梅雨晴間    豊春

荒梅雨や水脈曲げ行けり定期船

 

更衣ポチの身体は細見なり      海人

藍浴衣裾の乱れにときめいて

     

梅雨晴間隅田の波に身を委ね     鼓夢 

荒梅雨茶ばしらの立つ朝一煎

 

夏座敷小面ふかく翳りあり      章子

荒梅雨や妹口ずさむアベ・マリア

  

紫陽花や窓一面に雨の地図      一煌

艶やかに新色ルージュさくらんぼ

 

花柘榴落ちて路上のウィンナ蛸   余白

梅雨寒や家内の腰も痛かりし

 

追ひかける子らをかわして夏の蝶   稱子

紫陽花の色に疲れや遍路径 

 

方丈記の付箋を増やす梅雨の月    雲水

どの犬も合羽着ている梅雨の町

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1699   ゆきゆきてゆきつく先も四葩かな   歩智

2016年06月26日 | 

 さてこの句、作者はどこへ行ったのであろうか。そして、どこに辿り着いたのであろうか。作者は何も言っていないが、唯行き先のどこもかしこも紫陽花が咲いていて、到着地にも紫陽花が咲いていた、ということだけは分かる。

 従って、私達読者はそれぞれに、自分の経験の中から好きな道筋と好きな到着地を想像することはできる。作者は、「紫陽花の景勝地など、あなたの大好きな場所を、ご自由にご想像下さい」と言っているのである。

四葩とは、花弁が四枚あることで、アジサイ(紫陽花)のこと。

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1698   京鹿子都忘れて鄙の庭

2016年06月21日 | 

(キョウカノコ ミヤコワスレて ひなのにわ) 

 ミヤコワスレ(キク科シオン属)の名の由来は、鎌倉時代に承久の乱に破れた順徳天皇が北条家によって佐渡島に流された際に、この花を見て心を慰め、都恋しさを忘れたとの伝承による、という。

 京鹿の子(バラ科、シモツケソウ属)の由来は、調べてもさっぱり分からない。

「鄙」とは、①都市部から離れた地(辺鄙)、②つまらなく卑しい(野鄙)③自分のことをへりくだっていう語(鄙見)だそうである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

↑ミヤコワスレ、キョウカノコ↓

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1697   荒梅雨や亡き子の合羽着て出づる  二郎

2016年06月19日 | 

 親と同じ体格になった子が亡くなり、子の合羽を着て荒梅雨に出て行く。作者の思いは如何ほどであろうか。

 さて、伊東市富戸で、「ヒポクラティックサナトリウム」を運営している石原結實医師の著書『日本人はもう55歳まで生きられない 少食が健康長寿のコツ』によると、

 世界屈指の長寿大国である日本だが、決して誰もが長生きできるわけではない。医師数は約31万人になり、ガンに対する研究や治療法は格段に進歩したとされているのに、2015年のガン死者数は36万人を越えている。また、1945年の終戦直後は数百人しかいなかった糖尿病患者も、今や予備軍を含めて2,000万人以上に激増。現在1年間に医療費40兆円超が費やされ、医師たちも過酷な労働に耐えて懸命な治療をしているのに、このような状況だ。

 さらに、親よりも子が先に亡くなる「逆さ仏」現象が起こっているという。石原医師によると、「早死に」「逆さ仏」現象は今後着実に増加するという。又「不妊症」に至っては、今や6組に1組のカップルが悩んでいると言われているため、人口減少から日本の国力が加速的に減衰していくことは免れないという。 

カサブランカ

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1696   夜ならばジーン・ケリーに梅雨の朝    照れまん   

2016年06月16日 | 

 映画、「雨に唄えば」の名シーン。雨の中であんな風に踊ってみたいと思うが、朝はちょっと恥ずかしい。かといって、夜でも踊れるわけではないのだが・・・(掲句への作者自身のコメント)

 

 さて、今年3月26日に、作者の俳句ブログが1年振りにアップされた。気が付いたのが今日だから、私は彼のブログを3か月見ていなかったことになる。

ところどころ若木に代はり花の道      照れまん

銀舎利や死が近づけば花眩し     照れまん

余韻余白余生余命予後余寒         照れまん

この3句の後に、「安心して下さい、何とか息をしておりますよ!!」と、作者は言っているが、この3句は、「若者に託す」「生への感謝」「生死の現実」など、作者自身の死の予感が主題である。

 とにかく、会ったこともない彼から学ぶことが多かった。気休めに「頑張って」などという気はないが、いづれにしても彼の予感が外れることを切に願う。

 熱海からのスカイツリー

こんなに鮮明なのは

カメラのせい?、空気のせい?

 

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1695   手の平に来て啄める巣立鳥

2016年06月13日 | 

 ヤマガラ(山雀)は、鳥の中では人懐っこいと言われているが、実際はなかなか警戒心が強く、親しくなってくれない。原因はたぶん、この私にあるのだろう。聞くところによると、根気よくやれば手の平のヒマワリの種を食べに来るらしい。そこで、巣立鳥ならどうだろうか、と思い数日試みてみた。さすが親鳥ではないが、来た来た、予想通り巣立ち鳥がヒマワリを食べに来るではないか。

いつでも、そして誰にでも、手の平のヒマワリを食べるように手なずける。それには、夏は蚊に刺され、冬の寒さにも負けず、丈夫な体で、根気よく続けなければならない。しかし、それが大問題だ。私は、飽きっぽく、根気がないから。

 今話題の都知事くらいの、身勝手な厚かましさと図々しさで、根負けしない精神力が必要かもしれない。

↑ 色の濃い山雀のお母さん?と 色の薄い娘? ↓

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1694   青鳩や礁を浮かべ海しずか

2016年06月09日 | 

  丹沢山地に住むアオバト(青鳩)は、ミネラルを補給すべく、遠く大磯の照ヶ埼海岸の岩礁に飛来し、岩礁の窪みに溜まった海水(忘れ潮)を飲むという。全国の森林に生息する青鳩でありながら、照ヶ埼海岸以外に海水を飲みに来る例がないというから、実に不思議な行動である。

 10~50羽、時には100羽の群で飛来し、旋回を繰り返しながら様子を伺い、ある時一挙に岩礁に降りる。滞在は長くても1分に満たぬわずかな時間である。鷹に襲われたり、海が荒れていると溺れ死んだり、命がけの水飲みだという。

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1693   蓬干す笊に加わる桜の実

2016年06月07日 | 

  (よもぎほす ざるにくわわる さくらのみ) 

 梅雨入り前の晴天は、野草の乾燥には貴重な時間である。ヨモギ、ドクダミ、スギナを摘んで、大ザルに広げてテラスに干す。そこへ突然、山桜の実が笊の中に落ちた。迷惑ではあるが、山桜の実の意を汲んで、しばらくはそのままにしておく。などと書いていたら、東海地方が4日、関東甲信地方が5日に、なんと梅雨入りしてしまった。

「ひるおび」の森さんの天気予報によると、気象庁の梅雨入りの予報や宣言は、かなり難しく、しばしば訂正される、という。長期予報では、今年の6月は雨が少なく、7月は全国的に雨が多いらしい。さて、当たるかどうか。

初胡瓜

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1692   軍曹に悲鳴の上がる更衣

2016年06月06日 | 

 突然、台所で女の悲鳴。女は湯呑を洗っていて、軍曹殿に触ってしまったのだ。私は数日前から、台所の流しの中に軍曹がいることは知っていた。当然、そっとしておいた。

軍曹とは、アシダカグモ(タカアシグモとも)のことである。蜘蛛の生態に詳しい人達から、敬意を込めて「軍曹」と呼ばれている、という。何故なら、「軍曹」が家に2,3匹いると、半年でゴキブリがいなくなるほどのゴキブリハンターだからである。

 ゴキブリを選ぶか、クモを選ぶか・・・・「どちらもいや」では話にならない。

「ヤマちゃん」と呼んでいる、ヤマガラ(山雀)です

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1692   夏めくや髪結い上げてハグをして   沙会

2016年06月04日 | 

 先日のNHKの「ためしてガッテン」で、体の痛みが驚くほど軽くなったり、認知症の症状がピタリと止まる、癒しのホルモン「オキシトシン」を体内に発生させる方法をやっていた。オキシトシン効用の先進国スウェーデンでは、幼児教育にも取り入れているそうである。

 その方法は、実に簡単。親しい人同士で、背中や腕などをさすってあげたり、ハグをするなど。医学的にはタッチケアというが、いわゆるスキンシップである。

 さてこの句、お嬢さんがおめかしをして出掛けるのであろうか、髪を結い上げて「さあ、行ってらっしゃい」とハグをしてあげたのだから、結婚式のスピーチはきっとうまくいくに違いない。

シロバナウツギ(白花空木)

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1691   第237回 5月岩戸句会

2016年06月03日 | 岩戸句会

SLの汽笛にはしゃぐみどりかな   薪    

山の霧どこか綻び忍び音す

 

芝桜青き空まで競り上がり      海人

忍び音や娘の仕草妻に似て

   

覚めてなほ昼寝の国に返りたし    章子

花瓶みな紫陽花となる友の愛

 

白魚と言われし指も今どじょう    歩智

ジーンズの裾をくるくる折って初夏

  

紫陽花の藍を盗みて絵の具とく    洋子

万緑や女だらけのカフェテラス

  

初夏の風皮膚感覚を呼び醒ます    炎火

忍び音に忍びの術の黒い猫     

  

蟇百匹組んず解れつ春うらら     侠心

薫風をはらみてガウチョ闊歩する

    

鯉の口そろいてあきし夏の雲     豊春

忍び音に機械唸なる山仕事

 

庭の木に琵琶の実熟し眺むだけ    余白

忍び音を聞くこともない馬込かな               

 

一山の四葩ふるわす護摩太鼓     稱子

肌で知る雨の気配や濃紫陽花

 

酔って出て箱根空木の花零す     雲水

薫風や阿弥陀の耳朶に金かすか

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1690   SLの汽笛にはしゃぐみどりかな  薪

2016年06月02日 | 

  緑、新緑、万緑、緑陰などの季語「みどり」は、初夏の若葉の緑をいう。一方、草青む、青葉、青嵐なども「みどり」である。青海苔、青梅、青菜、青物、青大将、青蛙、青リンゴ、青竹、青畳、青信号など、同じ「みどり」でも、用例は「青」の方がはるかに多い。

 さてこの句、新緑の「みどり」の中を、大井川鉄道のような蒸気機関車に乗っているらしい。文法的には、「みどり」がSLの汽笛を聞いてはしゃいでいることになっている。

 読者は、魔法にかけられたように、はしゃぐはずのない「みどり」が、子供のようにはしゃいでいる、と感じてしまうのだ。

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