一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

1755   西洋の魔女が闊歩す神無月   薪

2016年10月31日 | 

 アイルランドやスコットランドの、古代ケルト人が起源というハロウィン。キリスト教とは無関係で、新年と収穫を祝う祭りだそうだ。アメリカ経由で日本に伝わったそうだが、日本で現在のような大規模なイベントが始まったのはいつ頃からだろうか。

 今年は、お台場、渋谷など、東京大阪をはじめ日本全国でイベントが行われたらしい。お台場では10万人が集まったという。全国では、少なくとも数十万人が参加しただろう。お化け、魔女、悪魔、ゾンビ、狼男、フランケンシュタインなどで仮装するのも、人々のいたずら心、遊び心をくすぐるらしい。

 ニュースで、イラクのIS攻撃、人質となった市民や避難民の困窮する様を見た後に、馬鹿騒ぎとしか思えない群衆を見ると、思いは複雑である。

 俗説ではあるが「全国の神様が出雲に集まるので」10月を神の留守、神無月と言う。私と同様、作者もきっと複雑な思いで「神の留守」のハロウィンの群衆を見ていたのだろう。

ダイモンジソウ(大文字草)

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1754   秋の日や虎猫眠るボンネット   豊春

2016年10月30日 | 

 昨日10月29日、近畿地方で木枯が吹いた、という。本日午後4時の、我が家の外気温は、木枯は吹いていないが8℃。朝からストーブを焚いている。

 さて、作者の家の近くには、野良か飼猫か分からないが、虎猫がいるらしい。寒くなれば、日差しで暖められたボンネットで昼寝をしてするのだ。ボンネットは、猫の足跡が付いて汚れるから普通は嫌がられるが、優しい作者はきっと汚れるのを許しているのだろう。

又、出先から帰って、エンジン音に気付いた猫は早速やって来て、ボンネットでちゃっかり眠っていたりする。人間と猫の心温まる句である。

クサギ(臭木)の実

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1753   秋の蚊の御付きの如く忍び来る   まる

2016年10月23日 | 

「御付きの人」とは、身分の高い人のそばについていて、その世話をする人、と辞書にある。おとも、従者。男には男の、女には女の御付きだろう。

私は、身分も高くないし、一度も「御付きの人」を持った経験がないので、この句はとても新鮮に感じる。控えめな妻なら、御付きと言えなくもないが、そんな妻、探しても日本にはたぶんいないだろう。

身分の高いお金持ちの奥様に(作者は女性だから)、御付きの人が蚊なんて実に面白い。作者は、ストーカーや護衛も候補に考えたらしいが、ストーカーは恐怖を、護衛は政治家を連想して、面白くない。

「ラマンチャの男」のドン・キホーテとサンチョを思い出すが、サンチョが蚊なんて面白くて笑ってしまう。

キチジョウソウ(吉祥草)

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1752   澄み渡る晩秋の空宇宙まで   沙会

2016年10月22日 | 

 この句、秋晴れの空を眺め、宇宙まで思いを馳せて雄大だ。138億年前、ビッグバンによって生まれたという宇宙。拡大を続けるこの広大無辺の宇宙空間に、銀河や恒星は数知れず正に天文学的数字だ。

  この句に時間は言っていないが、夜に違いない。秋の四辺形、アンドロメダ座やぺガスス座、この頃は夜も更けるとオリオン座やスバルも上がって来る。北海道に来ている寒波が、そろそろ関東・東海地方にも降りてくるらしいから、そうなれば星座の観察には絶好である。

  ところで、星の観察に絶対お勧めの、実に有り難いサイト「stella theater lite」がある。星空に興味のある方は、是非ダウンロードしてご覧ください。現在の星空がどうなっているのか、1時間後、2時間後、明日は?などがすぐ分かる優れものです。

  ちなみに、唯今深夜2時半過ぎでは、薄雲が覆う空に下弦の月が明るく、星はほとんど見えない。

10月13日の十三夜の月

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1751   朝風のいとしさ知りぬ秋はじめ    いよ

2016年10月21日 | 

 「朝涼」という夏の季語、「新涼」という秋の季語がある。この句の季感は、それらに似ている。夏が終わりかけ、ようやく涼しくなってきた朝風に、作者はいとしさを知った、と言う。今まで知らなかったことを、初めて知ったのだ。

「いとしい」は、「いとおしい」から変化し、① かわいく思うさま。②恋しく慕わしいこと、と辞書にある。

 作者の朝風に対する愛しさは、様々な人生経験を経て、かつ老年に達することによって、初めて知ることができたのだろう。これこそ俳句が、作句する作者へ与えたご褒美と言えるのではないだろうか。

ヒオウギ(射干・檜扇)の種。ぬばたま、うばたま、むばたま(射干玉)

万葉時代より、種が黒いことから、黒髪・夜などにかかる枕詞

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1750   秋風に吹かれて黙すボブディラン

2016年10月18日 | 

 ボブディランが、ノーベル文学賞を受賞したが、彼は全くの無反応で連絡してこないらしい。貰うつもりがないのかもしれないし、どう対処すべきか考慮中なのかもしれない。そこで、彼に一言。

 あなたは、受賞する振りをして授賞式に出席すべきだ。授賞式の講演で、まず「風に吹かれて」などの反戦歌を好きなだけ歌い、それからこう言ったら良いだろう。

 世界から、核兵器だけでなく爆薬、爆弾、地雷など一切の爆薬製造、また戦闘機、戦車、大砲などの軍需製品の製造及び輸出を全て禁止するよう、世界各国に要請すべきだ。

 ノーベルは、発明した爆薬を製造、販売し莫大な富を得た人だ。今までに数千万どころか数億の人々が犠牲になり、今でもイラクやシリアなど世界中で人々が殺されている。武器の製造販売、輸出禁止が実行されるまで、私はノーベル賞を貰うことを保留する、と言ったら良いだろう。

ヨメナ(嫁菜)

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1749   蝋燭の明かりに慣れて十三夜

2016年10月16日 | 

 日本人が、月や星に興味を失いつつあるのは、世界各国と比較して日本の夜が明るすぎるからだ。街灯、ネオンサインなどの都会の明かりが多すぎる。

そこで、たまにはアースデイのライトダウンのように、我が家も蝋燭の明かりで夕食を食べることにした。時間と共にいつの間にか眼も慣れて、見えなかった料理がはっきりと見えるようになった。色まで分かるようになるのだ。

シュウメイギク(秋明菊)

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1748   菜虫取る防虫ネットをはね上げて

2016年10月14日 | 

  一週間前、我が家の小さな菜園に、ブロッコリーと白菜を植えた。虫にやられないようにと、初めてアーチの棒に防虫ネットをセットしたが、やはりいくつか虫に食われている。網をくぐって入ったとは考えにくいから、苗についていたのを見逃したのだろう。

 初夏からある唐辛子や紫蘇、トマトは、ほとんど食われていない。虫にも好みというものがあるようだ。

 ついでに、「蓼食う虫も好き好き」という諺を調べてみた。中国南宋時代の「鶴林玉露」という随筆集に、『氷蚕は寒さを知らず、火鼠は熱さを知らず、蓼虫は苦さを知らず、ウジ虫は臭さを知らず』とあるのが、原典だそうである。

 こういうのを調べると、本来の中国はすごいのだ、ということが分かる。漢字は作ったし、仏教、儒教、道教や焼き物、建築など様々な文化を日本に伝えた師匠である。

 今の中国は確かに様々な問題を抱えてはいるが、アヘン戦争や満州事変などのひがみがなくなれば、必ず私達の友人として「良い国」になる、と私は信じる。

ホトトギス(杜鵑草)

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1747   秋の暮待ちかね薪ストーブに火

2016年10月10日 | 

 外気温14度。なんとなく「うそ寒、やや寒、そぞろ寒、肌寒、秋寒」の晩秋の感がやって来た。

 今年は、2月から4月までほとんど毎日薪を割ったので、薪はたっぷり3年分はある。ストーブで薪を焚いている人なら分かると思うが、金はなくとも、薪がたっぷりあればリッチな気分で冬が過ごせるのだ。逆に薪がなかったら最悪。

 というわけで、本日夕方5時にムスタキを聞きながら薪ストーブに火入れ。去年の火入れを調べてみたら、10月6日でした。

スイフヨウ(酔芙蓉)

君君、数時間で色が変わるのは、何故?

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1746   秋の雲陸橋に凭れ貨車数う

2016年10月09日 | 

 小学生の頃、家から1キロほどの、回りに一軒の家もない山中の東海道線の陸橋で、電車を真上から眺めるのが好きだった。手すりに凭れながら、長い連結貨車の数を数えたりしていた。特に旅に憧れていたわけでもなかったから、今でもどうして好きだったのか、我がことながら不思議でならない。

 世には、蒸気機関車、ブルートレイン、新幹線などに集まる鉄道ファンが沢山いるが、同じ心境かもしれない。但し、いつのまにか卒業してしまい、今は全く興味がない。これも何故なのか不思議でならない。

ミョウガ(茗荷)の実

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1745   ノーベルも賞もけなして古酒旨し

2016年10月07日 | 

 リオのメダリスト凱旋パレードに、観衆80万人。平和の祭典のパレードだからいいけれど、私には戦時中の学徒動員の行進やヒトラーの演説に酔う聴衆と重なって見えてしまい、心底から喜ぶ気にはなれない。

 目的は何であれ、人が集まって大群衆になること自体に、私は不安や恐怖を感じてしまうのだ。朝の通勤電車から都会の駅から、一斉に人々が降りるのに違和感を感じるのは、やはり群衆自体が異常(非日常)だからだろう。

 非日常と言えば、祭りなどもその一つで、群衆は喜びや興奮を皆と共有し一体感を感じることによって、更なる喜びと興奮を得るのだろう。しかし、群衆の一員になりたがる心理が、どうしても私は共感できないし理解もできない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

↑ジンジャー、ハギ(白萩)

 

 

 

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1744   秋暑し午後一時から生ビール

2016年10月04日 | 

 大隅良典・東工大栄誉教授が、オートファジーの研究でノーベル医学生理学賞受賞。人殺しや戦争に使われてきたダイナマイトの発明で巨万の富を築いたスェーデン人の賞、と言うのが気に入らないが、それには目をつぶることにして、こじつけ祝いの生ビール。もう仕事にならない。

今日は、10月としては記録的な夏日。群馬県館林市で33度の真夏日。飲まずにはいられないが、気になるのは台風18号。

 産業革命以後から現在に至る科学は、いつか必ず人類を滅ぼすであろう、というのが私の持論。爆薬・原爆・原発・オイル・プラスチック・農薬・・・・・酔っぱらっていなくても、そう思う。

↑ママコノシリヌグイ、 ノコンギク↓

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1743   蚯蚓鳴く静寂飛び交う宇宙線   薪

2016年10月02日 | 

 ミミズ(蚯蚓)は鳴かない。鳴いているのは、ケラ(螻蛄)、通称オケラだそうな。「蚯蚓鳴く」の詳しい解説は、374回で書いたので、そちらもご覧下さい。

 もう一つ、太陽から来る宇宙線・ニュートリノは、私たちの体の中を1平方センチあたり毎秒660億個も常に通り抜けており、地球さえ通り抜けてしまう、という。ニュートリノの詳しい解説も、327回に書いたので、そちらをご覧下さい。

 さて、作者は、鳴かない蚯蚓を心で聞いているのかもしれないし、実際にオケラを聞いているのかもしれない。どちらにしてもその静寂の中を、660億個のニュートリノが飛んでいることに不思議を感じているのだろう。

↑ススキ(芒、薄)、タムラソウ(田村草)↓

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1742   東京都釣瓶落としとなりにけり   炎火

2016年10月01日 | 

 今、東京都が話題騒然。どこのテレビ局も百合子都知事の暴いた豊洲市場問題、東京オリンピック施設問題、政治塾立ち上げなどに多くの時間を使っている。

 この句は、そういった政治屋議員や公務員の馬鹿げた行政の不始末を揶揄しているに違いない、いわゆる「社会性俳句、時事俳句」といっていいだろう。但し、時間が経てば、何のことかさっぱり分からなくなる、とは思うが。

 ここで、東京都問題にどうこういうつもりはないが、一つだけ言わせてもらえば、オリンピックは東京以外でやって欲しかった。何故なら、東京一極集中が更に加速されるだけだし、首都直下型地震も危惧されているからだ。

タラノキ(楤木)の花

 

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