一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

2156  背のまろき己れを糺す風の萩  仁

2020年09月18日 | 

 夜明けの庭に出てみると、ようやく咲き出した萩が、昨夜の雨に崩れて地に触れている。けれども蜜蜂や花蜂、蝶が舞っている。

 年を取ると、ついつい猫背になってしまう。猫背は、心臓や胃、内臓に悪いことは周知しているから、背筋をピンと伸ばすのが良いのだが、気が付くと猫背になっている。崩れ萩を見て、作者は猫背の己を顧みる。我が人生を顧みる。そして身を糺す。

ヒルガオ(昼顔)

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2155  台風の余波は遠くのわたしにも  雲水

2020年09月11日 | 

この2,3年の台風は強力で、日本列島各地に多くの被害を出している。去年の15号、19号は、本当に恐ろしかった。

今回の10号は、九州地方を襲った。920HP以下と強力で特別警報を出すクラスだったが、上陸接近する頃には勢力がやや衰え、特別警報を出すには至らなかった。原因は、9号が同じコースを通り、海水をかきまぜて海水温を下げたからだ。

 強力台風発生の原因である地球温暖化は、人間の活動によって排出された温室効果ガス、二酸化炭素などが主因となって海水温を押し上げている、というのが大方の意見のようである。

  いずれにしても、これからの台風は大型、強力となって、東海、関東地方に上陸するに決まっている。明日は我が身だ。

   国別の二酸化炭素排出量を調べると、中国がダントツの1位、アメリカが2位、インド、ロシアに続いて、日本は5位である。

国別 二酸化炭素排出量(2017年)

1      中  国             28.2%

2      アメリカ             14.5

3      インド              6.6

4      ロシア              4.7

5      日 本           3.4

6      ドイツ           2.2

7      韓 国           1.8

8      カナダ      1.7

9      インドネシア        1.5

10     メキシコ            1.4

ヒメギボウシ(姫擬宝珠)

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わたくしは死んではいけないわたくしが死ぬときあなたがほんたうに死ぬ 和宏

2020年09月07日 | 短歌

 この短歌の本意は、「あなたは今、私のこころの中に生きている。私が死ぬ時、あなたも本当に死ぬのです。」  この短歌の「死んではいけない」は、わたくしではなく「あなた」に掛かっているのだと思う。

 これは、NHK「こころの時代」の「コロナの時代を読む」に登場した永田和宏さんが、亡き妻の河野裕子さんに詠った短歌。

 「あなたを愛するということは、あなたを愛することだと思っていたが、実際は、あなたのお陰で私が一番輝いていた、ということのような気がします。」

アゼリア

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2153  熱の夜天の河から船を出し  裕  

2020年09月05日 | 

 作者は、熱を出してうなされていたのだろう。宮沢賢治のジョバンニとカンパネルラは、銀河鉄道の夜汽車に乗ったが、この句の作者は、銀河の船に乗ったという。

 さそり座からいて座、たて座、わし座、はくちょう座からカシオペア座までの船旅だ、銀河を進む船は、一体どんな船だろうか。豪華客船だろうか、帆船だろうか、それとも手漕ぎの渡し船だろうか。いずれにしても、是非乗ってみたいなあ。

ムクゲ(木槿)、宗旦木槿、底紅木槿とも

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2152  岩戸句会 8月

2020年09月04日 | 岩戸句会

八月の簾の外の影法師        鞠

一筋の水涼風の奥へ奥へ

 

敗戦日五才の姉におぶわれて     パピ 

家採れの極小ゴーヤチャンプルー  

   

熱の夜天の河から船を出し      裕

しらたまを井戸で仕立てて天の川

 

嵐前ゆらりゆらりと芋の茎      洋子

夏惜しむショートカットにして下さい

 

にわかなる稲妻ありて豪雨つれて   イヨ

コロナ禍のマスクの辛さ秋はじめ

 

クレーンがのろのろ掴む炎暑かな   薪

夏雲や運慶仏の力瘤

 

新涼やこの風今日の贈り物      凛

今朝の空ひとりじめして蝉絶唱

 

桃冷す産毛に宿る虹の泡       海人 

ちっぽけな地球見下ろす銀河かな

 

あれやこれ時効にしよう生ビール   さくら

現し世にゆっくり戻る午睡覚め

 

妻の留守蜩鳴きて飯を炊く      豊春

竹樷の奥にカンナの浄土あり 

 

径あれば只真直ぐに秋日傘      沙会

酔ふてみる芙蓉に負けぬ紅の頬

 

送り火に映える面影母に似て     貴美

天の川最後に見たのはいつの日か

 

境内に指ほどの穴蝉しぐれ      炎火       

ガラケイの歩数は三十猛暑かな 

 

炎天や救急セットの赤チン      歩智

エアコンのきいてる部屋に鬼やんま

      

 

恐ろしや蝉飛ぶ姿母心        余白

猛暑日に幼児明るく水遊び

 

ことさらに祈りに近き花火かな    稱子

蟷螂の斧高々と青山河

 

きりぎりす男が歌う女唄       雲水

寝転んで大銀漢の尾を掴む

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2151  一筋の水涼風の奥へ奥へ  鞠

2020年09月03日 | 

 一筋の川、渓流、せせらぎ、又は小川の水が、涼風の来る川下へ流れてゆく、つまり、平野の川下から涼風が山へ吹いてくるのだ。水は下り、風は登る。風と水は全くの逆方向。

 しかし、「奥へ奥へ」という言葉に違和感を感じて、考え直してみる。つまり、川上から涼風が吹いて来るのだ。水源のある山の方角から、吹き下ろしの涼風が吹いて来る。水と風は同じ方向なのだ。これで納得です。

サルスベリ(百日紅)

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2150  敗戦日五才の姉におぶわれて  パピ

2020年09月01日 | 

  敗戦日に、五才の姉が赤ん坊を負ぶっている、という。作者本人の回想と思うのが自然だが、負ぶわれているのは人形か他の何かかもしれないし、最近のことかもしれない。いづれにしても、戦争の記憶が色濃く残っているのだろう。

 私たち日本国民は、先の第二次世界大戦の終結を、敗戦記念日か終戦記念日と呼ぶべきか、意見が別れている。ここでは、八月十四日は、ポツダム宣言を受諾した敗戦日、八月十五日は、天皇が戦争の終結を国民に告げた終戦日、ということにしておく。

 作者によると、終戦日はまやかしで、敗戦日と呼ぶべきだと思っている、という。又、戦後のことではあるが、作者本人が姉に負ぶわれたそうです。

ミソハギ(禊萩)

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