一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

2992 第319回 岩戸句会

2023年03月31日 | 岩戸句会

風やわらさあ春蘭を探しましょう    蠍

カステラをぶ厚く切りて花見せん

 

ものの芽や地底のマグマ母として    吟

春風も軽トラックに積み込んで    

 

ものの芽や乳呑み児胸に若きパパ    豊狂

木の芽雨榾木艶めく夕間暮

      

山椒の芽またひとりめぐり雨の朝    吠沖  

人影なきかあごめかごめ夕桜 

 

花の色常なる日々は奇跡なり      コトリ

春満月犬と私の長い影        

 

白木蓮午後五時という昏さにも     さくら

蒼蒼と田老産なる和布かな      

 

芽吹くときかすかな吐息あるような   おぼこ

つなぐ手に笑顔に花の散り止まず

 

ものの芽や子等の足音聴いており    心

フリージア一輪挿しが窮屈に     

 

歩かない老犬抱いて桜見る       マープル

踏切に鳴り出す鉦や夕桜

    

花吹雪笑顔のイカスラガーマン     ルパン

啓蟄や花壇の手入れいたしおり

 

ふらここや私心もゆーらゆら      黒薔薇  

ものの芽やほぐれほぐれて大和魂

      

ボタン押すバスの車内にバラが咲く   淡白

思い出は卒業日でのボタン取り

 

春疾風袴のすそも祝ひ舞        流水

春雨も思い出となる卒業式      

 

雄叫びのWBCや花も満ち       信天翁

花咲くを風の間に間に川の音     

 

春の夢なつかしき人に出会う旅     伊豆山人

ウグイスがベランダに来て声ならし  

 

枝垂梅酔心宴に誘われて        翠風

枝垂梅ライトアップに円舞曲     

 

青き踏む百人一首諳んじつ       釣舟

春雷や欹つ耳の二二ンが四      

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2991  春立てり波の潮目に吹く風に  吟

2023年03月09日 | 

 飛鳥時代から江戸時代まで、日本の暦は、いわゆる旧暦の「太陰太陽暦」だった。地球を回る月の運行は、29,5日なので、ひと月を29日、又は30日と決めていた。一方、太陽を回る地球の運行は、一年365,25日で春夏秋冬が決まる。従って、月の運行で一年を決めていると、季節が合わなくなっていく。その誤差を修正するために、閏月を設けなければならず、2,3年に一度、一年に13カ月の年があった。

 明治5年に明治政府は、太陰太陽暦を太陽暦に改めた。おかげで四年に一度の閏年だけで済むようになったが、太陽の運行による新暦の24節気と、月の運行による旧暦の節句とがあって混乱してしまった。

 未だに年賀状に「新春」と書くのは、旧暦では一年の始まりが立春の頃だったからだ。従ってこの句は、作者が旧暦の元旦を迎え、潮目や風に新年の神々しさを感じ取った句だ、と言えるだろう。

シキミ(樒)別名「シキビ」「ハナノキ」「ハナシバ」「ハカバナ」「ブツゼンソウ」「コウノキ」「コウシバ」「コウノハナ」「マッコウ」「マッコウギ」「マッコウノキ」

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2990  踏みしめる土の弾力ふきのとう   蠍

2023年03月07日 | 

 春は「苦味」と言われる。山菜の独活、蕗、楤の芽、土筆、蕨、芹、薇、三葉、筍、などには、苦味のもとになるポリフェノールやミネラルが豊富に含まれていて、体内に溜まっていた不要な熱や水分を軽減し、気分の興奮を落ち着けてくれ、新陳代謝を促進し、胃腸の働きを促すのである。

 さて、休眠していた草木は、春になって一斉に動き出す。芽や花が動き出すには、まず根から水や養分を吸い上げる。堆肥や根や霜柱によって浮き上がった柔らかい土は、更に盛り上がり弾力を増すのである。

 蕗は、日本原産で全国の山野に自生している。蕗の花である蕗の薹が咲いた後に、地下茎から葉が伸びる。花も葉もそして茎も食べられる春の山菜である。

ヤシャブシ(夜叉五倍子)

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2989  第488回 多留男会 二月

2023年03月05日 | 岩戸句会

踏みしめる土の弾力ふきのとう     蠍

手のひらに豆腐切る朝春隣       〃

      

春立てり波の潮目に吹く風に      吟

あんぱんのおへその上の桜かな     〃

 

カツカツと春風を行くハイヒール    心

春めくや貧乏ゆすり見せており 

 

料峭や幕府黒松魚付林         マープル 

屋台の枘コツンと嵌める梅三分     〃

 

真夜中に氷柱は牙を研ぐらしい     さくら

生国はどの辺ですか山の独活     

 

しほらしき薄氷なすがまま光り     黒薔薇 

ぽつんと人影小路に余寒かな

 

一羽来て一羽出て行く巣箱かな     伊豆山人

陽の当たるベンチをえらぶ梅見処   

 

マフラー巻くリボン結びのお地蔵さん  豊狂

春時雨日曜朝のヴィヴァルディー 

  

梅咲いた秒針コトリと動いた      ルパン

定置網後光差しけり春の湾 

 

春がすみピンクに染めて綿菓子に    吠冲

マスクとれいいえ私は花粉症      〃

          

早春の馬込百坂風の音         淡泊

早春の池上梅園老夫婦         〃

 

冬桜友美しく身罷れり         おぼこ

夫を看るそれも幸せ春隣

 

春寒の静かなる海眺めつつ       コトリ

満開のマンサク見上げ背伸びする   

 

梅咲かば香りほどけて鳥の声      信天翁

春の雪窓辺に踊り過ぎ行きぬ    

 

春麗富士の笠雲追いかけて       翠風

青空と河津桜の朝湯舟       

 

春浅き吹く風の色空の色        流水

吹く風に背を向けて行く浅き春    

 

その喧嘩櫟が買った春一番       釣舟

そろそろと高足蜘蛛の春動く     

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2988  老犬の屁の臭過ぎる四温かな  釣舟

2023年03月04日 | 

 老いてゆく12才の犬を見るのは悲しい。車が大好きなデンちゃんで、どこへ行くにも必ず連れて行くが、楽々乗れていた車に乗れず、ドスンと尻もちを付いてしまう。今までなかった下痢が増えた、などである。とんでもなく臭いおならもその一つ。但し、食欲が変わらないのが唯一の救いです。

 句会にこの句を出したら、「デンちゃんが可哀そう」と言われてしまいました。黙っていたけれど、「本当に可哀そうと思っているのは、面倒を見ている私だと思うよ」四温という季語に「デンちゃん、今日は暖かくて良かったね」という思いを表したつもりだったけれど、逆に、非情の飼い主と思われたようである。

 

 

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