一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

171    2月  第174回 岩戸句会

2011年02月28日 | 岩戸句会

春一番坂ジグザグに郵便夫      鼓夢

光る風土留めの杭の新しさ

 

出席の返事すぐ出す春の虹      洋子

 牡丹雪感激詩的俳句的 

 

春耕や烟のように灰を撒く      薪

春の陽にふわり苗床蒸しあがる

 

忘れ癖互いに笑ふ日向ぼこ      稱子

 漆黒の箱根連山春の月

 

武士の黒き具足に梅一枝       正太

慈母となれ狂気孕みし春の猫

 

古稀すぎてバレンタインのチョコ四つ 歩智

 梅三分咲きましたよと見舞状

 

うかれ猫ハードロックの夕べ哉    炎火

梅の山ナップザックの色の列

 

石仏の眉に冬日やガンダーラ     侠心

 薄氷割りて漱ぐや川の水

 

春めける女となりて座りをり     雲水

退屈な犬がをりけり百千鳥

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170    アリババの魔法は効かず黄砂降る

2011年02月28日 | 

以下は、「アリババと40人の盗賊」の話の要約。

『貧乏な青年アリババは、山で薪を拾っている最中に四十人の盗賊たちが奪った宝を隠しているのを偶然目撃した。隠し場所の扉を塞ぐ岩が「開けゴマ」の言葉と共に開き、「閉じよゴマ」の言葉と共に閉じていく。その一部始終を見ていたアリババは早速隠れ家に忍び込み財宝を手に入れ家に帰った。

かくしてアリババは大金持ちになったが、アリババからその理由を無理矢理聞き出した大金持ちで強欲な彼の兄がその隠れ家に忍び込んだ。ところが、宝に夢中になって扉を再び開ける合言葉を忘れてしまい、戻って来た盗賊たちに見つかり、バラバラに切り刻まれて殺されてしまう。

アリババは、兄の死体を持ち帰り仕立て屋の老人に縫い合わせてもらい葬儀を行った。一方、宝と死体が持ち出されたことに気付いた盗賊たちは、もう一人の犯人を捜していた。そしてアリババにたどり着いた彼らは彼を殺そうとするが、逆に聡明な女奴隷モルジアナの機転で返り討ちにされた。モルジアナはアリババの息子の妻となり、盗賊たちの財宝はアリババ達の手で貧しい人たちに分け与えられた。』

さて、現在のイラク辺りで発生したメソポタミア文明は、4大文明の中でも最古と言われている。今から、およそ5500年前のこと。そんな歴史ある国が、イラク戦争によって、推定65万人の死者を出し、未だにテロなどの内紛を続けていることには、本当に心が痛む。

 

緑溢れる輝かしいメソポタミア文明が滅び砂漠化したのは、焚き木を取るために木を伐採したためだという。私達現代人も同じ轍を踏んでいるような気がしてならない。何故ならば、石油も金属などあらゆる資源の枯渇が迫っているからだ。

 

この句は、8年前の戦争勃発した頃のものである。

 

 

 

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169   子に何か残し風船凋みけり

2011年02月27日 | 

 子供が幼稚園ぐらいのことではなかったか、と思う。仕事から家に戻ると、部屋の隅にヘリウム入りの風船がしぼんで畳に落ちていた。もう浮力はない。風船の口をどんなに強く締めても、ヘリウムは、その微細な隙間から少しづつ逃げるらしい。

 

 子供の成長とは、子供らしさがなくなることかもしれない。大人に近づくのだから当然であるが・・・・・この時も、何となく大人っぽい仕草か、口の聞き方に「ほー」と、私は感心したのだと思う。

 

風船が、子供に何かを与え、自らは凋んで役目を終えたのかもしれない。再びヘリウムガスを入れられることなく、捨てられる運命の風船・・・・・

 

余談だが、年に2,3回やって来る孫が、「うんこ」にはまっていて、紙に「うんこ」の絵を書いては喜んでいる。私が「うんこ」の話をすれば、笑い転げてくれる。

 

それから数カ月して、再びやって来た孫に、「うんこ」の話をしたら、「おじいちゃん、何つまらないこと言ってるの」と言う感じで、完全に無視された、という話を聞いたことがある。子供は、日々細胞分裂して、成長を続けている。

 

 

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168   噂には悪女なりしや梅見酒

2011年02月26日 | 

「悪女」の定義であるが、私はこう思う。①美人であること。②何をやらせても機転がきき、愛想が良いこと。③男性に好かれていること。④それ故、多くの女性に嫉妬されていること。⑤本当かどうか定かではないが、様々な良からぬ噂が立っていること。

 

そんな「悪女」を目の前にして、酒を飲むのもなかなかオツなものだ。皆さんの視線を集めて、梅に負けてはいないのだから大したものだ。

 

ネットで調べると、中島みゆきに「悪女」という歌があるし、悪女研究所などもあって、世の中なかなか面白い。

 

 

 

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167   春風に吹かれておりぬ仔犬の耳

2011年02月25日 | 

デンの耳は、生まれてしばらくは寝ていた。3か月目頃、耳が寝たり立ったりしながら、両耳が揃って立った。

 

仔犬の頃、やたらに大きいと思っていたデンの耳は、体の成長とともに、自然に収まったのだ。つまり、耳は最初から大きく、後に余り成長せず、体は耳より後に成長する。

 

 この句は、デンの耳がようやく立ったころの句である。春風に、耳は踏ん張り切れずにフラフラしているのである。だから、下五は字余りだが、仔犬でなければならない。

 

 犬は、ボール遊びが大好きだ。投げれば必ず追いかけて咥える。しかし、咥えたボールを離さないことがある。そんな時に、ボールを取る方法は、耳に息を吹きかけるのだ。耳が痒いらしくて、必ずボールを離す。

 

 

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166   廃校の時計の生きてさくら草    昌子

2011年02月24日 | 

気のせいかもしれないが、最近廃校の句が多いような気がする。少子化が原因で、廃校が多いということだろう。

 

余談だが、全国で問題になっている少子化対策は、果たして本当に必要なのだろうか?

 

私見であるが、例えば日本の人口問題であるが、明治初期の3,000万人くらいに減らすべきと考える。今の4分の1程度である。

そうなれば、経済規模・電気・ガス、石油、車・汚染・ゴミ・食糧生産などは4分の1に減らせるし、所有できる土地や家の広さなど、暮らしのゆとりは4倍になるはずだ。

 

そういう考えに立つと、有難いことに日本の人口は、現在自然に減りつつあるのだ。

私達、団塊の世代が死んでしまえば、高齢化問題もかなり解決され、若者たちにゆとりが生まれる、というわけだ。これは、世界人口にも同じことが言える。

 

さてこの句、廃校の時計が動いているらしい。駆動はたぶん電力だから、単に電源が切られていない、ということだと思うが、原因はともかく、作者は、だーれもいない廃校の時計が動いていることに着目し、「時計が生きている」と言う。勿論、鉢植えか地植えか分からないが、サクラ草もまた生きているのである。鉢植えならば、誰かが水遣りをしているのだろう。

過疎地の廃校を宿泊施設にしたり、作家がアトリエにしたり、有効活用のニュースも時に聞こえる。

 

 

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165   春寒や乞食姿の出来上がる   

2011年02月23日 | 

 うーむ、この句の意味が瞬時に分ったら、あなたの読解力は、大したものである。

 

私なんぞ、最初、乞食婆(こじきばばあ)と読んでしまい、「婆さんが酔っぱらった」のか、と勘違いした。しかし、間違えたお陰で気付いたのであるが、俳句としては、姿より婆のほうが面白い。

 

 後で、この句の作者が初代中村吉右衛門と分かって、なーるほど。芝居とか歌舞伎のことですか?とようやく納得。

 

 さて、私は歌舞伎にはとんと疎いので、吉右衛門さん自身が「乞食」を演じたのか、他の役者が演じたのか、が分からない。

 

誰か、この演目や内容をご存じでしたら、お教え下さい。是非一度観てみたくなりました。

 

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164   僧坊に一字大書の春があり

2011年02月22日 | 

私は、禅を多少やったことがある。とは言っても例えれば、それは鼠が地球を齧ったようなもので、お話にならない。

 

さて、禅宗の寺には、必ず掛軸が掛かっている。その時は、確か「春水満四澤」だったと思う。

 

 家に戻り、この軸で何か一句を得ようとして考えているうちに、五字では長すぎるので、「四澤」だけでどうだろうか?しかし、それでもまとまらず「春」一字に辿り着いたというわけ。僧坊も最初は「禅堂」だったが、間口を広げてみた。

 

 つまり、事実と違うのだが、そんな掛軸があってもいいんじゃあないか、いやきっと日本のどこかにあるはずだ、という想像を勝手に信じ始めていた。

 

 

 

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163   乳を吸う仔犬三匹日脚伸ぶ

2011年02月21日 | 

13年前、突然やって来た野良犬「モモ」が、子供を3匹産んだ。1時間半に1匹づつだから、3時間あまりかかった。初産だったが、臍の尾も噛み切ったし、体を舐めてきれいにしてやるし、立派な母親ぶりだった。新しい飼主に、仔犬を引き渡すまでの2か月余り、実に楽しくも大変な経験をさせてもらった。そんな中で、一番困るのは、引き取り手を探すことなのだ。

 

 こんな寒い時に産まなくてもいいのに・・・などと思うのは、人間の勝手。この逆境を生き抜くものが、子孫を残せるのだ。

 

 というのも1年前、別の野良犬クーロが野天の落葉溜りに7匹も産んだ。見に行った時、既に1匹は、母犬の下敷きになり、死んでいた。その後、空き家の縁の下に引越して育てていたが、2ヶ月後、結局生き残ったのは、4匹だった。運もあるが、生まれた途端、厳しい生存競争が始まっているのだ。

 

 クーロの子供4匹のうち一番体が大きかったのが、今私の手を焼かせている「デン」である。きっと、丈夫に違いない。

 

 

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162   紅ほのか小店の奥の梅一輪  つねひごろ

2011年02月20日 | 

俳句で「花」というと桜を指すが、「梅」を指していた時代もあったようだ。不思議なことではあるが、熱海、湯河原には、有名な梅園はあるが、いい花見の場所がない。

 

さて掲句は、一幅の絵画の世界のような、時代後れの骨董店に入り込んだような感じがする。薄暗い店舗を背景として、まるでスポットライトを浴びているように、店の奥に紅ほのかな梅が一輪、花瓶に活けられている。

 

例えば、「こんにちは」と声を掛けたら、どんな主人が出て来るでしょう。あなたならどう想像しますか?

 

 

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161   外界もうかれも知らずペルシャ猫

2011年02月19日 | 

ある春の夜、あるお宅へ伺った。あるマンションのライティングも暗めな広い一室。初島あたりにイカ釣舟の明かりが見えた。

 

下関から取り寄せての「河豚パーティー」である。ひれ酒に心地よく酔って1時間ほどしてから、白いソファーに白い猫がいるのに気付いた。飼主に聞くと、この毛足の長いペルシャ猫は避妊してあり、今までにこの部屋から一歩も外へ出たことがないという。

 

 気が付かなかったのは、一度もにゃんとも鳴かなかったからだが・・・・そうですか。そういう飼い方もあるんですね。

 

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160   観音に似たる観音守あたたか    敦子

2011年02月18日 | 

 観音は、「観世音菩薩」「観自在菩薩」「救世観音」とも言う。地蔵菩薩は男性形が多いのに対し、観音菩薩は女性形が多い。

 

 どこの寺か分らないが、参詣客の多い大きな寺だろうと推測できる。観音様を守る観音守。男か女かも分からないが、いづれにしても気品のある美しい人なのだろう。

 

 季語の「あたたか」は、あくまで気温の暖かではあるが、この句の場合下五が「守あたたか」と「句またがり」なっているせいだろう。観音守も作者の心も「あたたか」なのだ。つまり作者が、「観音守があたたかだ」ということを、強調したかった。そんな風に観音守を想像すると、見えてくる・・・

 

あたたかや観音に似る観音守

 

 こうしてしまうと、意味が変わるのがわかる。単なる言葉の順番なのだが、いわゆる組み合わせも重要なのだ。

 

 

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159   牛丼を食ひて二月の街に出る    徳子

2011年02月17日 | 

 今に始まったことではないが、狂牛病、鳥インフルエンザなど動物の病気と食料や生命への不安感が世界に蔓延している。最近では、宮崎での29万頭も殺処分された口蹄疫が新しい。

 

牛の飼料に牛骨粉を入れたり、全く動けないゲージに閉じ込めて鶏を飼うなど、自然界と異なる人間の身勝手な飼育法なども病気を誘因しているはずだ。

 

数年前にアメリカの牛肉の輸入が禁止され、チェーン店の牛丼が二月には店頭から消えた。これは、その時の句だ。だから作者は、手軽に作れる牛丼を、家で食べてから街へ出たのである。今年の句会だったら誰も採らなかったかもしれないが、作者が当時の時代をうまく捕らえたことが功績である。

 

「牛丼を食ひに二月の町に出る」では、いかにも通俗的でいけない。この句の作者は、国産和牛の霜降りの牛丼を食べたはずだと、私は根拠なく確信する。

 

 

 

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158   山里の白梅夜気を匂はしむ   章子

2011年02月16日 | 

昨年の猛暑が嘘のように、今年の冬は寒く雪も多い。温暖化が叫ばれているが、こういう寒い冬もあるのだから、ものごとは単純ではない。杉花粉は去年の10倍という。

 

さて、そんな一喜一憂の世相を笑うかに、今年も梅の季節がやってきた。夜ともなれば、まだまだ寒さの厳しい二月。

 

姿も色も見えないが、ほのかに梅が匂っている。白梅としたのは、作者のよく知っている身近な梅なのだろう。「梅が夜気を匂わしむ」という表現が巧み。

 

 

 

今回の積雪は、10センチ。

思っていたほどではなかった。

 

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157   鳥の名を一つ憶えし二月かな

2011年02月15日 | 

ヒマワリの種を置いた餌台にやって来るのは、ヤマガラ(山雀),シジュウカラ(四十雀)、イカル(斑鳩)ガビチョウ(画眉鳥)、ソウシチョウ(相思鳥)

 

ガビチョウとソウシチョウは、数年前から現れた新種である。無論、在来の日本の鳥ではない。ペットとして輸入され,飼われたものが放たれ、増えてしまったのだ。東京では、インコ、カナリヤなども沢山飛んでいるそうだから、只今外来種が全国展開しているらしい。

 

 これは、実に迷惑な話で、日本古来の鶯などが減ってしまう可能性もあるのだ。鳥の名を憶えて喜んでいるのではない。嘆いているのだ。

 

 

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