ワグネルと白茶のかほり秋うらら 吠沖
村神様ぽっちゃり気味の菊人形
山脈が包むくらしや秋の暮 さくら
道草の子らは物知りバッタ追う
労いのことば互いに十三夜 おぼこ
深秋や耐心とだけ亡母の文
倒れたるかかしに案山子指を差す 流水
振り向けば道の向こうに秋の声
赤とんぼくるくる頭まわしおり ルパン
廃校は三年後とか霜降りる
波しぶき白く躍りて秋の川 信天翁
友来たり栗飯炊きて和む夕
漆黒の毛髪曼荼羅冷まじや マープル
黒子のように同居の蜘蛛いる十三夜
この富士は北斎ブルー秋の暮 吟
大花野仔犬も我も内弁慶
帯祭り富士の笠雲秋の暮 翠風
秋風蓬莱橋天女渡り
順天に病も駅伝も任せとけ 伊豆山人
蘭の花背伸びしながら秋をゆく
十三夜家族のみ知る隠し鍵 蠍
主なき庭に届けり十三夜
夜半の秋古書洋楽美酒少し 黒薔薇
老し蝶日のあるうちに静かに舞う
秋祭り笛と太鼓に神宿る 淡泊
ハナミズキ実も葉も染めて日が暮れる
メロンパン臍曲がり屋の十三夜 豊狂
悪筆を個性と自慢豆名月
末っ子も古希を過ぎたり芋を掘る 釣舟
試し呑む今年の梅酒十三夜