5月17日、ついにこの日が来ました。
熊川哲也主催のKバレエカンパニー公演「海賊」がなんと青森市文化会館で行われたのです。
熊哲は出ませんが、あの「ロイヤルの至宝」と謳われた、稀代のプリマドンナ吉田都が出演したのですよ!
吉田都は、世界最高のバレエ劇団の英国ロイヤルバレエ団に10年もの間、トッププリンシパルとして在籍。
しかし去年に同じロイヤルバレエ団出身の熊川哲也と意気投合し、Kバレエに電撃移籍しました。
それは松坂大輔がレッドソックスに移籍したのとは遥かにレベルの違う、世紀のビッグニュースでした(その頃はバレエに興味がなかったので最近知ったんですけどね)
その世界最高峰のバレリーナを、このクソ田舎の青森で観れるなんて、まさに奇跡。
観る前から、「この日の為に生きてきた」と思ってたんですが、観終わった後も、その言葉どおりに心から思いました。
開演前に客層を見ると、99%女性でした。友人と行ったのですが、若い男は5,6人程。予想はしていたけど。
笑ったのが、男子トイレに行ったら電気が付いてなかった。男客が来ないと思ったのか?
そんな中、遂に開演。
古典バレエ「海賊」のおおまかなストーリー
第一幕
難破した海賊たちが辿り着いた先のギリシャで、少女メドーラ(吉田都)と海賊のリーダーのコンラッド(スチュアート・キャシディ) は恋に落ちる。
しかし、奴隷商人たちにメドーラやグルナーラ(松岡梨絵)が連れ去られてしまう。
そこでコンラッド、アリ(橋本直樹)、ビルバンド(ビャンバ・バットボルト)は、変装してメドーラたちを救出する。
第二幕
救出された少女たちは楽しく海賊たちと暮らすが、元の家に帰りたいと請う。
コンラッドは奴隷商人たちから盗んだ財宝を彼女たちに分け与えようとするが、それに気に食わないビルバンドが、コンラッドを裏切り、メドーラをトルコ王に売り渡そうとする。
第三幕
メドーラとグルナーラは王の手に渡るが、コンラッドとアリはまたもや救出しようと戦う。
彼女たちを救ったものの、仲間の裏切りを知り、コンラッドはビルバンドを殺そうとするが、ためらい、許してしまう。
しかしランケデムはコンラッドに銃を向け、銃弾が放たれるが、アリがコンラッドを庇い、死んでしまう。
ビルバンドを始末し、コンラッドとメドーラは一緒になれ、そして、新たな航海に出たのであった・・・。
こんな感じの話を生オーケストラを従え、踊りのみで表現する。
第一幕から超豪華なセット。荒波の大海から、キンピカの宮殿まで、文化会館には驚きの大規模なセットにまず驚く。
そしてKバレエのプリンシパルによる超絶ダンス。艶やかな衣装も美しい。
そして吉田都。世界最高峰の舞。あきらかに他とは違う、やわらかな舞。本当にやわらかい動き。
男性バレリーナたちの異常な跳躍力に感動。松岡梨絵の見せ場では割れんばかりの拍手を誘った美しいダンス。
感動の中第一幕終了、そして休憩。
ここまででもすばらしかったが、まだ序の口であった。
第二幕は海賊の男たちと、少女たちのバレエ合戦形式みたいなもの。
バレリーナたちみんなが脇によって、ひとりひとり踊って交代していく。
まだランクの低い団員の踊りも素晴らしいが、やはり素人目にも分かるほど、トップバレリーナたちの踊りは凄すぎるのである。
特に影の主役のアリは一番目立つ程の見せ場を作る。吉田都が出ない他の場所の公演では、アリ役は熊哲がキャスティングされるほどの役柄。
ちなみに熊哲は青森の前の北海道公演で靭帯損傷し、他の公演がキャンセルになってしまった。
青森はもともと出ないから問題ないけど、早く治って欲しい。
バレエは格闘技並に怪我が多いハードな芸術舞踏。都さんも腰に爆弾を抱えながらも、いつでも最高の踊りを舞ってくれる。
メドーラとアリやコンラッドとのパドトゥ。男と女。男はダイナミックでパワフルなダンス。
女はしなやかで美しいダンス。そして男と女の融合のダンス。バレエはどちらも楽しめる。
橋本やキャシディの空飛ぶダンス。文字通り本当に宙を舞っている。文句なしである。
感動に次ぐ感動。鳥肌全開。
そして本日の主役、吉田都の本領発揮。
決して細身のバレリーナ体型ではない都さんが、何故に世界のトップであり続けたのか。その理由をまざまざと見せ付けてくれた。
関節を感じさせない緩やかで柔らかい流線的動作。小柄な体全てから発せられるオーラ。
そして、本公演最大の見せ場、都さんの連続40回転(推定)。
連続スピンしながら舞台奥から少しづつ前に進んで行く。そして舞台最前でピタリと決める。もうこれは人間技ではないと感じた超絶スピン。全くブレない機械的だが人間の限界の技術をみた。場内拍手の嵐。そんな中次々と物語が進むが、それどころではない。もう泣くしかないのである。泣く以外の感情が排除されたのである。ダンスで泣くなんてことがあるのだろうか?あるんです。だって都さんだから!これが世界最高峰です。こんなものこのクソ田舎で見れてしまっていいんですか?ずっとそんな気持ちに駆られながらも舞台はクライマックスへ。
第三幕ではトルコ王に売られたグルナーラとメドーラが再会。しかしヒーロー参上で救出。オリジナル脚本ではアリは死なないそうだが、熊哲アレンジにより、アリが壮絶な死を迎える。熊哲アリを輝かせるオリジナル展開。それもまた良し。
そしてコンラッドとメドーラは結ばれ、めでたしめでたし。
場内感動拍手拍手。そして鳴り止まない拍手に答え、何度もカーテンコール。僕はいてもたってもいられなくなり、スタンディングオベーション。恥かしかったけど、本当にスタンディングオベーションしたかったのだ。そして思った。「生きてて良かった」と。
初めてのバレエで、世界最高峰を実感してしまったのは、ある意味罪であった。これから演劇、ミュージカル、コンサートなど、いろいろ行くと思うけど、これ以上の感動を得ることは不可能だと感じたからである。
たった8000円で「生きてて良かった」と感じられるのは、これは奇跡だし、ストイックにバレエに打ち込んだ熊哲、都さん、Kバレエに感謝してもしきれない想いでいっぱいです。「今までの不運が全て報われた」とも感じたし、また観る為に、生きようと思いました。
ちなみに、酒のつまみに都こんぶを買って帰りました。
熊川哲也主催のKバレエカンパニー公演「海賊」がなんと青森市文化会館で行われたのです。
熊哲は出ませんが、あの「ロイヤルの至宝」と謳われた、稀代のプリマドンナ吉田都が出演したのですよ!
吉田都は、世界最高のバレエ劇団の英国ロイヤルバレエ団に10年もの間、トッププリンシパルとして在籍。
しかし去年に同じロイヤルバレエ団出身の熊川哲也と意気投合し、Kバレエに電撃移籍しました。
それは松坂大輔がレッドソックスに移籍したのとは遥かにレベルの違う、世紀のビッグニュースでした(その頃はバレエに興味がなかったので最近知ったんですけどね)
その世界最高峰のバレリーナを、このクソ田舎の青森で観れるなんて、まさに奇跡。
観る前から、「この日の為に生きてきた」と思ってたんですが、観終わった後も、その言葉どおりに心から思いました。
開演前に客層を見ると、99%女性でした。友人と行ったのですが、若い男は5,6人程。予想はしていたけど。
笑ったのが、男子トイレに行ったら電気が付いてなかった。男客が来ないと思ったのか?
そんな中、遂に開演。
古典バレエ「海賊」のおおまかなストーリー
第一幕
難破した海賊たちが辿り着いた先のギリシャで、少女メドーラ(吉田都)と海賊のリーダーのコンラッド(スチュアート・キャシディ) は恋に落ちる。
しかし、奴隷商人たちにメドーラやグルナーラ(松岡梨絵)が連れ去られてしまう。
そこでコンラッド、アリ(橋本直樹)、ビルバンド(ビャンバ・バットボルト)は、変装してメドーラたちを救出する。
第二幕
救出された少女たちは楽しく海賊たちと暮らすが、元の家に帰りたいと請う。
コンラッドは奴隷商人たちから盗んだ財宝を彼女たちに分け与えようとするが、それに気に食わないビルバンドが、コンラッドを裏切り、メドーラをトルコ王に売り渡そうとする。
第三幕
メドーラとグルナーラは王の手に渡るが、コンラッドとアリはまたもや救出しようと戦う。
彼女たちを救ったものの、仲間の裏切りを知り、コンラッドはビルバンドを殺そうとするが、ためらい、許してしまう。
しかしランケデムはコンラッドに銃を向け、銃弾が放たれるが、アリがコンラッドを庇い、死んでしまう。
ビルバンドを始末し、コンラッドとメドーラは一緒になれ、そして、新たな航海に出たのであった・・・。
こんな感じの話を生オーケストラを従え、踊りのみで表現する。
第一幕から超豪華なセット。荒波の大海から、キンピカの宮殿まで、文化会館には驚きの大規模なセットにまず驚く。
そしてKバレエのプリンシパルによる超絶ダンス。艶やかな衣装も美しい。
そして吉田都。世界最高峰の舞。あきらかに他とは違う、やわらかな舞。本当にやわらかい動き。
男性バレリーナたちの異常な跳躍力に感動。松岡梨絵の見せ場では割れんばかりの拍手を誘った美しいダンス。
感動の中第一幕終了、そして休憩。
ここまででもすばらしかったが、まだ序の口であった。
第二幕は海賊の男たちと、少女たちのバレエ合戦形式みたいなもの。
バレリーナたちみんなが脇によって、ひとりひとり踊って交代していく。
まだランクの低い団員の踊りも素晴らしいが、やはり素人目にも分かるほど、トップバレリーナたちの踊りは凄すぎるのである。
特に影の主役のアリは一番目立つ程の見せ場を作る。吉田都が出ない他の場所の公演では、アリ役は熊哲がキャスティングされるほどの役柄。
ちなみに熊哲は青森の前の北海道公演で靭帯損傷し、他の公演がキャンセルになってしまった。
青森はもともと出ないから問題ないけど、早く治って欲しい。
バレエは格闘技並に怪我が多いハードな芸術舞踏。都さんも腰に爆弾を抱えながらも、いつでも最高の踊りを舞ってくれる。
メドーラとアリやコンラッドとのパドトゥ。男と女。男はダイナミックでパワフルなダンス。
女はしなやかで美しいダンス。そして男と女の融合のダンス。バレエはどちらも楽しめる。
橋本やキャシディの空飛ぶダンス。文字通り本当に宙を舞っている。文句なしである。
感動に次ぐ感動。鳥肌全開。
そして本日の主役、吉田都の本領発揮。
決して細身のバレリーナ体型ではない都さんが、何故に世界のトップであり続けたのか。その理由をまざまざと見せ付けてくれた。
関節を感じさせない緩やかで柔らかい流線的動作。小柄な体全てから発せられるオーラ。
そして、本公演最大の見せ場、都さんの連続40回転(推定)。
連続スピンしながら舞台奥から少しづつ前に進んで行く。そして舞台最前でピタリと決める。もうこれは人間技ではないと感じた超絶スピン。全くブレない機械的だが人間の限界の技術をみた。場内拍手の嵐。そんな中次々と物語が進むが、それどころではない。もう泣くしかないのである。泣く以外の感情が排除されたのである。ダンスで泣くなんてことがあるのだろうか?あるんです。だって都さんだから!これが世界最高峰です。こんなものこのクソ田舎で見れてしまっていいんですか?ずっとそんな気持ちに駆られながらも舞台はクライマックスへ。
第三幕ではトルコ王に売られたグルナーラとメドーラが再会。しかしヒーロー参上で救出。オリジナル脚本ではアリは死なないそうだが、熊哲アレンジにより、アリが壮絶な死を迎える。熊哲アリを輝かせるオリジナル展開。それもまた良し。
そしてコンラッドとメドーラは結ばれ、めでたしめでたし。
場内感動拍手拍手。そして鳴り止まない拍手に答え、何度もカーテンコール。僕はいてもたってもいられなくなり、スタンディングオベーション。恥かしかったけど、本当にスタンディングオベーションしたかったのだ。そして思った。「生きてて良かった」と。
初めてのバレエで、世界最高峰を実感してしまったのは、ある意味罪であった。これから演劇、ミュージカル、コンサートなど、いろいろ行くと思うけど、これ以上の感動を得ることは不可能だと感じたからである。
たった8000円で「生きてて良かった」と感じられるのは、これは奇跡だし、ストイックにバレエに打ち込んだ熊哲、都さん、Kバレエに感謝してもしきれない想いでいっぱいです。「今までの不運が全て報われた」とも感じたし、また観る為に、生きようと思いました。
ちなみに、酒のつまみに都こんぶを買って帰りました。