映画100選。第15回。
52年作品。モノクロ作品。
監督・脚本・黒澤明
出演・志村喬、金子信雄、関京子、小田切みき、伊藤雄之助
お恥かしながら、そんなに黒澤作品は観ていないのです。
「七人の侍」「用心棒」「羅生門」「赤ひげ」「隠し砦の三悪人」と、有名な時代ものは観たのですが、はっきり言ってそんなに感動しなかったのです。
それは時代劇という分野があんまり好きでないのが理由でしょうが、そんなことで黒澤作品にはなかなか箸が進まない状態で、たまに気が向いたら観るようにしてたのです。
とはいってもこの「生きる」は別格中の別格です。確か19歳くらいに観たのだけど、大変感動したのを憶えています。
まだ観た事無い黒澤作品を借りようかと思ってたのだけれど、「生きる」を観直してみることにした。確認したかったのだ。あの感動は本物だったのか?と。およそ10年振りに観るのである。
あらすじ~
市役所に勤める渡辺勘治は毎日の役所仕事に無気力に過ごしていたが、ある日自分が胃癌で余命が少ないことを知り、自分の無意味な人生に愕然とする。歓楽街であらゆる快楽に興じるが実感が湧かない。しかし奔放に生きる部下の小田切とよと出会い力強く生きる姿に心を動かされる。そして市民の為の公園を造るという使命を抱え、最期に生きることの意味を取り戻す。
52年なので、古臭さは否めない。それは映像や音声の技術的なものであり、演出や演技、脚本などのことではない。
DVDになったとて、セリフがあまりに聴きづらいのが難。白黒なのがあまりに残念。と嘆いても仕方なし。
主役は志村喬。お馴染みの三船敏郎は出演すらしてない。
志村も黒澤作品の常連だが、完全な主役としては本作品のみになるだろう。
平凡な公務員が一気に絶望の淵に落とされるも生死を賭して仕事に打ち込む主人公を狂演。
あざといほどの気色悪さ、苛立つ物言いも全て完璧なる演技力によるものである。
死期が近いほどにやせ細っていく設定に、減量して演じた。ヤクザもお偉いさんも黙らす悲哀の表情はずっと目に焼きつくほどのインパクトである。
志村喬の演技もいいが、やはり黒澤明の演出は天下一品。まずレントゲン写真から物語が始まるのである。
そして一人息子の回想。そこから歓楽シーンと、とよとの憩い。そこでハッピーバースデーシーン。新しい人生の誕生が始まると思わせて、いきなり葬式シーン。この急激な展開が素晴らしい。
ここから市役所の面々が語りだし、主人公の功績が露わになる。その前に、公園建設を訴えた婦人達が無言の焼香をするのだけど、あそこで泣いた。主人公が何をしたのか全て伝わる場面だから。
そして役所員たちは無謀にも公園を完成させた故人を見習い、役所仕事へ全力で取り組もうと誓うが、次の日から以前と全く変わらない状態になるという皮肉たっぷりのユーモラスな展開。だけど最後は公園の子ども達が楽しく遊んでいるシーンで全てが救われるという憎過ぎる演出には拍手を送るしかなかろうか。
こんな大傑作なので、タイム試が選ぶ、全世界の50年代の映画でトップ1になりました。
多くの映画ファンは異論はないでしょう。個人的には日本映画では最高傑作だと思います。
ほとんど日本映画観ないですけど、これに匹敵する作品ありまかすね?あったら教えて欲しいくらいです。
普遍のテーマの生と死について考え、そして素晴らしい演技と演出に感動出来る素晴らしい映画に出会えただけで、生きる意味があるのかもしれません。
オススメ度(映画評価)・☆☆☆☆☆
52年作品。モノクロ作品。
監督・脚本・黒澤明
出演・志村喬、金子信雄、関京子、小田切みき、伊藤雄之助
お恥かしながら、そんなに黒澤作品は観ていないのです。
「七人の侍」「用心棒」「羅生門」「赤ひげ」「隠し砦の三悪人」と、有名な時代ものは観たのですが、はっきり言ってそんなに感動しなかったのです。
それは時代劇という分野があんまり好きでないのが理由でしょうが、そんなことで黒澤作品にはなかなか箸が進まない状態で、たまに気が向いたら観るようにしてたのです。
とはいってもこの「生きる」は別格中の別格です。確か19歳くらいに観たのだけど、大変感動したのを憶えています。
まだ観た事無い黒澤作品を借りようかと思ってたのだけれど、「生きる」を観直してみることにした。確認したかったのだ。あの感動は本物だったのか?と。およそ10年振りに観るのである。
あらすじ~
市役所に勤める渡辺勘治は毎日の役所仕事に無気力に過ごしていたが、ある日自分が胃癌で余命が少ないことを知り、自分の無意味な人生に愕然とする。歓楽街であらゆる快楽に興じるが実感が湧かない。しかし奔放に生きる部下の小田切とよと出会い力強く生きる姿に心を動かされる。そして市民の為の公園を造るという使命を抱え、最期に生きることの意味を取り戻す。
52年なので、古臭さは否めない。それは映像や音声の技術的なものであり、演出や演技、脚本などのことではない。
DVDになったとて、セリフがあまりに聴きづらいのが難。白黒なのがあまりに残念。と嘆いても仕方なし。
主役は志村喬。お馴染みの三船敏郎は出演すらしてない。
志村も黒澤作品の常連だが、完全な主役としては本作品のみになるだろう。
平凡な公務員が一気に絶望の淵に落とされるも生死を賭して仕事に打ち込む主人公を狂演。
あざといほどの気色悪さ、苛立つ物言いも全て完璧なる演技力によるものである。
死期が近いほどにやせ細っていく設定に、減量して演じた。ヤクザもお偉いさんも黙らす悲哀の表情はずっと目に焼きつくほどのインパクトである。
志村喬の演技もいいが、やはり黒澤明の演出は天下一品。まずレントゲン写真から物語が始まるのである。
そして一人息子の回想。そこから歓楽シーンと、とよとの憩い。そこでハッピーバースデーシーン。新しい人生の誕生が始まると思わせて、いきなり葬式シーン。この急激な展開が素晴らしい。
ここから市役所の面々が語りだし、主人公の功績が露わになる。その前に、公園建設を訴えた婦人達が無言の焼香をするのだけど、あそこで泣いた。主人公が何をしたのか全て伝わる場面だから。
そして役所員たちは無謀にも公園を完成させた故人を見習い、役所仕事へ全力で取り組もうと誓うが、次の日から以前と全く変わらない状態になるという皮肉たっぷりのユーモラスな展開。だけど最後は公園の子ども達が楽しく遊んでいるシーンで全てが救われるという憎過ぎる演出には拍手を送るしかなかろうか。
こんな大傑作なので、タイム試が選ぶ、全世界の50年代の映画でトップ1になりました。
多くの映画ファンは異論はないでしょう。個人的には日本映画では最高傑作だと思います。
ほとんど日本映画観ないですけど、これに匹敵する作品ありまかすね?あったら教えて欲しいくらいです。
普遍のテーマの生と死について考え、そして素晴らしい演技と演出に感動出来る素晴らしい映画に出会えただけで、生きる意味があるのかもしれません。
オススメ度(映画評価)・☆☆☆☆☆