Jun日記(さと さとみの世界)

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ダンスは愉し 21

2019-02-14 17:21:47 | 日記

 「別にあの人は彼氏じゃ無いんです。」

それに喧嘩した訳じゃ無くて…。と、鈴舞さんはいい淀みました。相手には彼女がいる、という事まで言ってよい物かどうかと迷ったのです。そんな鈴舞さんの答えと狼狽ぶりを真っ直ぐに見て取ると、レジのお兄さんは言いました。

「じゃあ僕が君の彼氏になってもいいわけだ。」

僕と付き合ってみないか?と、如何にも真面目そうな表情で、明るく笑った瞳で語り掛けられると、鈴舞さんは行き成りの事で驚きました。

 最初は断ろうと考えた鈴舞さんでした。目の前の彼が、同じ大学の校内でテキストやノートなどを持って歩いているのを、彼女は何度か目にした事が有るのですが、殆ど知らない相手です。同じ大学の学生なのだという事は分かっていました。ここでアルバイトしているのだろうと前々から思ってはいました。けれど、自分とは無関係な人と今まで思っていた人です。しかも客とレジ係としての会話しかしたことが有りませんでした。

『困ったな。』

そう思いながら、ふと、鈴舞さんの脳裏には大ちゃんの笑顔が浮かびました。『大ちゃんだって彼女がいるんだし、…』この機会に私も思い切って彼氏を作ってみよう。そう思うと、鈴舞さんはふん!とばかりに決意しました。

「お付き合いします。」

と、レジにいる彼に、彼女はハッキリと交際承諾の返事をするのでした。


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