Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

親交 18

2019-03-19 10:48:23 | 日記

 2人はにこやかに艦内を歩いていました。

「へぇ~、僕の故郷の星の近くの星団出身なんだね。」

「ええ、本とに、ご近所同士だから宜しくね。」

そんな会話を、宇宙船内を案内するミルと、新任の感応者で女性士官のシルは交わしながら和やかな雰囲気で船内施設を巡っていました。前日、艦長のクパックから指示を受けて、ミルは乗組員の皆が待ち焦がれていた新任のシルの世話をしているのです。勿論ミルも彼女が着任するのを待ちに待っていたわけです。各仕事施設を赴任1日目の昨日に回り、今日は余暇時間に利用できる施設を巡り始めていました。

 専門分野も有るのですが、乗組員は皆概ね宇宙船全般に及ぶ管理知識を持っていました。乗組員は各々の特性で一応の配属が決められていましたが、艦と名のつくこれだけの大きさの宇宙船になると、乗員の各々が興味の向くままに自由に知識や技能を伸ばす施設が十二分に備えられていました。レクリエーション施設の方が仕事施設より多いのがこの艦の特徴でした。単調なサイクルで過ぎる宇宙での日々に、飽きの来る乗員の精神面での快適さを1番に考えてあったからでした。その為スポーツ施設も多くあり、趣味の合う乗員同士のサークル活動も盛んでした。

 「今度僕のいるサークルを見にこないか?」

ミルは自分の参加している瞑想サークルへ、新任のシルを誘いました。瞑想する時に灯す神秘的な灯りや、今サークルで最も興味を集めているのが研究対象の惑星、地球の各地の宗教なのだという事や、その各宗教の違いなどについても、興に乗って目を輝かせて喋り出すのでした。そんなはしゃぎ加減のミルの様子に、

「サークルの話はまたの機会に。」

シルは微笑むと、笑顔を絶やさずにやんわりとミルの誘いを遮るのでした。


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