またその内に、あなたの気に入っているその話を聞かせてもらう事にするわと、シルはにこやかにミルを言いくるめると、ミルの今迄見聞した地球の状態について聞き出すのでした。
「独自の文化や遺跡、見る者はかなり多い惑星だよ。」
ミルは機嫌良くシルの話に応じてくれました。ミルの話を聞きながら時折質問も交えて、シルは未だ見ぬ地球人の生活や文化などをイメージして行くのでした。時折ミルの心に浮かんで来る風景などもシルは脳裏に浮かべてみるのでした。ふと、シルは疑問に思いました。ミルの脳裏に霞の様な雲に隠れた部分を感知したからでした。
「ミル、何か私に隠し事をしたいの?」
シルは端的に彼に尋ねてみました。こういった何かしらのスクリーンで遮られる思考がある場合、そこにはその人の隠し事が潜んでいるのでした。その先迄深く踏み込んで相手の思考が読めない事はないシルの能力です。が、こんな場合無理に読もうとしないのがシルでした。自分が艦隊の皆から優遇されている分、彼女もまた自分以外の人に対して寛容なのでした。彼女は相手が嫌がる隠し事の暴露を自分の興味本位に任せて無理にしようとは決して思わないのでした。
「僕にだって隠しておきたいプライベートな部分が有るんだ。」
ミルは苦しそうな笑いを作ると、これ以上は詮索しないでくれるとありがたいよ。と、シルの能力の停止を希望するのでした。シルもにこやかに分かったわと返事をすると、ミルはほっとしたように吐息をついて、安堵したようにシルに感謝の微笑みを浮かべたのでした。「思いがけずしなければいけない出来事も有るものさ。」彼はそう言うと何かしらの任務が有る事を彼女に匂わせるのでした。そこでシルは意味深にニヤリと笑い、万事了解の相槌を打つのでした。
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