こんな場所でも休憩出来るのだと信じられない気持ちでしたが、私が登山道を進む内に、岩に寄り添い人が休んでいる様子を何人か見て来て、内心そろそろ休憩したくなった所で、
「こんな所でも休憩できるんですね。」
と、岩に寄り沿った人に質問して声を掛けると、そこに居た人がにこやかにそうですと言い、
「どうぞここで休憩してください。」
と自分がいた場所を空けて登って行ってくださいました。
どうやら順繰り順繰りに、皆そうやって入れ代わり立ち代わりして休憩していたようです。私も後から来た同じツアーの新婚さん夫婦に同じように声をかけられて、同じようににこやかに応対し、場所を譲って登山道に復帰しました。
絶壁を登ると、割合平坦な頂に出ました。そこをまた鎖に沿って超えて行くのです。尾根というのでしょうか、その尾根に達した頃、丁度朝日がウルルの壁に差し込み、登山者の後方に出来た自身の長い影が岩肌に映ります。私は前を行く人から後方を振り向くよう促されて、自分達の影が長く伸びて赤茶色のウルルの壁に投影されているのに気付きました。その事を教えられて、
「ここで自分の影を写真に撮るといいですよ。」
そう言われました。先の人から後の人へ、この位置で順に岩に映る自分達の影の事を云い伝えるようです。私は撮影しようか如何しようかと迷いましたが、バックからカメラを取り出して撮影する間も惜しいような気がしました。次に来た人に影の事と撮影の事を申し送りをすると、せっせとその先を急ぎました。頂上までどの位なのでしょう、この時の私は先の見えない登山に時間的な大事を取って、唯々先を急ぐ気持ちで一杯でした。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます