Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

土筆(214)

2018-10-03 09:06:37 | 日記

 「取り持ちホーちゃん、取り持ちホーちゃん、本当にいい子だったねぇ。」

祖母は盛んに孫をおだてました。内心一物が無いでもありません。

 『とりもち?』

蛍さんは祖母のこの言葉に一瞬困りました。彼女が分からない言葉だったのです。それで、最近聞き知ったばかりの言葉「鳥もち」を思い浮かべて、私はもうこの言葉を知っているんだと早合点しました。知識の取得を嬉しく思いながら、でも、と、

「鳥もちって、私が?」

そう疑問に思うのでした。疑問が湧く事で蛍さんの悲しんでいた気持ちが急に払拭されてしまいました。彼女は何故ここで、急に祖母の話の中に鳥もちが出てきたのかが不思議でならないのでした。しかも自分が鳥もちだなんて、思わず体を撫でまわして自分がねばついているかどうか調べてみたりするのでした。意味的な事で祖母の話が全然理解できない彼女は、何とか話を理解したいとあれこれ考えるのでした。

 『私は取り持ち?鳥もちで私が両親の中をくっつけた?』成る程、意味合いはそうなるのだろうかと、彼女は分かったつもりになりました。が、人の仲をくっつける時にもねばねばの鳥もちが使えるのかしら?!と驚くのでした。

 首を捻って彼女は再び考えてみます。確かに、さっき父にお母さんと遊んでくるよう言ったのは、彼女の中に両親の仲が良くなることを願う気持ちがあればこそでしたが、自分の手に鳥もちは無いし、祖母の手にも鳥もちは無さそうです。それでも、祖母の言葉の中に確かに「とりもち」は含まれていたのでした。


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