さて、私が気付いてみると、やはり祖父は困ったような深刻そうな顔をしていた。そうして段々と沈んだ顔付きになって行った。やはりそうだ、祖父は何かに苦しんでいるのだと私は感じた。
今回は彼の体全体の雰囲気も既に笑いの外にあった。自身の愉快感から、ふわっと解放された雰囲気でいた祖父の体は、今は何だか身を縮こませて膝を合わせ、脛同士も寄り添わせた様な、硬直した雰囲気の身体に変わっていた。私が見て取った祖父の様子は、彼の身に何が異状があった事は確かだった。再び子細に見直してみても、それは確かな事だった。その時、彼の口から漏れてきた声も、つつつ、くう、というような、人の一般的な笑い声とはまた別物の違った物だった。
「お祖父ちゃん、大丈夫!?。」
私は祖父の身を気遣った。怪我でもしたのかと思ったのだ。思わず彼の側に駆け寄ろうとした私に、2階の戸口から祖母の待ったの声が掛かった。
「姉さんを呼んで来ておくれ。」
私が見上げると、階段の上、降り口の、もうその場所に既に立っている彼女の姿があった。
「姉さん、お前のお母さんだよ。」
それは分かる。母の邪魔をしてはいけないのじゃ無いのかな?。私は躊躇した。そう祖母に尋ねると、彼女は急ぎだから今の場合はよいのだと答えた。
「急いで、緊急だと言うんだよ。」
彼女の矍鑠とした言葉に、私は慌てて台所へと駆け出して行った。
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