葉山の四季

葉山の四季をお伝えしたいと思います。

会わずの別れ。

2014-05-04 21:02:32 | kaeruの「おくのほそ道」

 塚も動け我泣声は秋の風 (つかもうごけわがなくこえはあきのかぜ)

これは「金沢の段」におかれている句です。

 

芭蕉が金沢に着いたのは、≪金沢は七月中の五日也≫とある通り七月十

五日です。この地では一笑という俳人と会うことを楽しみにしていました。

≪一笑と云うものは、この道にすける名のほのぼの聞へて、世に知る人も

侍りしに、去年の冬早世したりとて、≫

一笑は十歳代から俳人として活躍し、芭蕉の門下に入ったのはこの旅の二

年前ほどでした。 <一笑という俳諧の道に熱心であるという評判が、いつと

はなしに広がって世間にも俳諧を通じて知る人があったものを、昨年の冬に

若死(36歳)してしまった>

 芭蕉は一笑の初盆の法要に招かれます。

 一笑の墓前にささげたこの句は慟哭の一句です。

 長谷川さんの文章より、

≪ふつう人の別れはまず出会いがあって次に別れるのですが、一笑とは出会っ

てもいないうちに別れていた、別れともいえないあっけない別れでした。≫

 一笑の死は元禄元年十二月六日で辞世の句として

 心から雪うつくしや西の雲    を遺しています。

コメント (2)
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