花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

「ジョルジュ・ド・ラ・トゥール展」(1)

2005-03-10 22:59:48 | 展覧会
国立西洋美術館で3月8日(火)から始まった「ジョルジュ・ド・ラトゥール展」を観てきました。
http://event.yomiuri.co.jp/latour/index.htm

この(1)は花耀亭の「わたくしごと」ばかりなので、読み飛ばしていただいた方が良いかもしれません(^^;;;

花耀亭がラ・トゥール作品をそれと知って観たのはベルリン絵画館が初めてで、「豆を食べる男(真作)」と「聖セバスチアヌス(模作)」でした。でも、前者は地味でカラッチ的な写実表現だなぁ…と思い、CARAVAGGIO的なニュアンスをあまり濃厚には感じませんでした。
ところが、次に観たのがロレーヌ博物館で、この時『蚤をとる女』を観て、「これは凄いっ!」と、漸くラ・トゥールの真価に目覚めた訳です(^^;;。静かな夜の帳の中で、ロウソクの灯りを受けながら女が蚤取りに集中しています。表現スタイルは少し違っていても、その光と闇の描写はCARAVAGGIOを断然思わせました。静けさや赤い椅子にはベルリンのフェルメールを想起させるものもあります。

興味を持つようになってから美術館で出会う機会も多くなり、「昼の情景」と言われる写実的人物描写卓越した作品群、「夜の情景」と言われるロウソクの灯りに浮かび上がる内省的な作品群、その昼と夜とが入り混じる作品もあることを知りました。更に、真作、工房作、模写作品が入り混じり、一時期忘れ去られたられた画家ラ・トゥールの埋もれた歴史の闇の深さが想像できます。

フランスの絵画史の中に埋もれていたラ・トゥールの再発見・再評価はドイツ人美術史家へルマン・フォスに負うところ大です。そして、何とあのCARAVAGGIO再評価の立役者ロベルト・ロンギもラ・トゥール再評価の一旦を担ったようで、それもルーアンの『聖セバスチアヌス(模写)』で注目を促したとのことです。私的にはロンギがルーアンに出かけたのはもちろんCARAVAGGIO『円柱のキリスト』を観るためだと断言しますけどね(笑)

「わたくしごと」ばかり書いてしまったので、「ラ・トゥール展」(2)は展示作品リスト中心に書きたいと思います。