okiさんから頂戴したチケットでBunkamura「レンピッカ展」を観てきた。いつもながらokiさんに感謝!
実は今までタマラ・レンピッカに対してアールデコの申し子的なイメージを持っていたのだが、作品の変遷を辿るうちに意外に多様なアプローチを見せていたことを知った。最盛期のファッショナブルで時代の先端を行くような強い女性像も、キュービズムやロッソ・フィオレンティーナなどのマニエリスムの影響もあるようだと知ると、なるほどこうなるのか、と納得できたりする。
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タマラ・レンピッカ《緑の服を着た少女》
独特の肖像画はなにやら官能的な雰囲気を漂わせ、彼女自身がセルフイメージに拘るったり、同性愛だったり、結局は自己愛の反映だったのではないかと思える。レオノール・フィニとも重なる部分が感じられるし、恐らく当時の「時代」的なものも多く影響を与えたのだろう。
さて、今回の展覧会で一番気に入ったのは、いかにもアールデコといった作品ではなく、《帽子を被る女》だった。
無駄のないエレガントな作品で、大きな水玉の帽子が強いアクセントとなっている。背景の濃薔薇色と黒の衣装、裏地の光沢ある黄緑は薔薇色の補色。灰色の手袋と薄紫の本(バッグ?)が薔薇色と黒の調和を奏でる。そして、何と言っても、この女性の個性を強調するのが帽子から見える前髪の赤毛である。彼女の静かで伏目がちという古風な佇まいが、わずかに覗く赤毛によりインパクトのある現代性を獲得する。この大きな帽子はレンピッカ自身が作らせたものらしい。解説にはティツィアーノ《イザベラ・デステの肖像》を示唆している。
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タマラ・レンピッカ《帽子を被った女》 ティツィアーノ《イザベラ・デステ(マントヴァ公夫人)の肖像》
確かに、当時のマントヴァ公の宮廷でイザベラが流行させた髪飾「zazara」をヒントにしたものだろう。だが、私にはもっと似通ったモデルが脳裏に浮かんだ。ジュリオ・ロマーノ(Giulio Romano (c.1499-1546))が描いたイザベラの息子フェデリーコ2世(ゴンザーガ)の妻《マルゲリータ・パレオローガの肖像》(1531)である。←リンクした画像を拡大してみると、ねっ、前髪が印象的でしょう? レンピッカってルネサンスよりマニエリスム寄りのような気がするのだ。
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ジュリオ・ロマーノ《マルゲリータ・バレオローガの肖像》
ロンドンのクイーンズ・ギャラリーで観た時、画面から立ち上がる妖気に思わずたじろいでしまった作品である。フェデリーコがモンフェラート公爵位を狙った政略結婚らしいので、もしかして画面から漂う妖気はそのせいかもしれない(^^;;
さて、ローマのカラヴァッジョ展レポートは忘れたわけではない。実は、今回はルドヴィーシ天井画の長い前振りなのである(^^;;;
実は今までタマラ・レンピッカに対してアールデコの申し子的なイメージを持っていたのだが、作品の変遷を辿るうちに意外に多様なアプローチを見せていたことを知った。最盛期のファッショナブルで時代の先端を行くような強い女性像も、キュービズムやロッソ・フィオレンティーナなどのマニエリスムの影響もあるようだと知ると、なるほどこうなるのか、と納得できたりする。
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タマラ・レンピッカ《緑の服を着た少女》
独特の肖像画はなにやら官能的な雰囲気を漂わせ、彼女自身がセルフイメージに拘るったり、同性愛だったり、結局は自己愛の反映だったのではないかと思える。レオノール・フィニとも重なる部分が感じられるし、恐らく当時の「時代」的なものも多く影響を与えたのだろう。
さて、今回の展覧会で一番気に入ったのは、いかにもアールデコといった作品ではなく、《帽子を被る女》だった。
無駄のないエレガントな作品で、大きな水玉の帽子が強いアクセントとなっている。背景の濃薔薇色と黒の衣装、裏地の光沢ある黄緑は薔薇色の補色。灰色の手袋と薄紫の本(バッグ?)が薔薇色と黒の調和を奏でる。そして、何と言っても、この女性の個性を強調するのが帽子から見える前髪の赤毛である。彼女の静かで伏目がちという古風な佇まいが、わずかに覗く赤毛によりインパクトのある現代性を獲得する。この大きな帽子はレンピッカ自身が作らせたものらしい。解説にはティツィアーノ《イザベラ・デステの肖像》を示唆している。
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タマラ・レンピッカ《帽子を被った女》 ティツィアーノ《イザベラ・デステ(マントヴァ公夫人)の肖像》
確かに、当時のマントヴァ公の宮廷でイザベラが流行させた髪飾「zazara」をヒントにしたものだろう。だが、私にはもっと似通ったモデルが脳裏に浮かんだ。ジュリオ・ロマーノ(Giulio Romano (c.1499-1546))が描いたイザベラの息子フェデリーコ2世(ゴンザーガ)の妻《マルゲリータ・パレオローガの肖像》(1531)である。←リンクした画像を拡大してみると、ねっ、前髪が印象的でしょう? レンピッカってルネサンスよりマニエリスム寄りのような気がするのだ。
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ジュリオ・ロマーノ《マルゲリータ・バレオローガの肖像》
ロンドンのクイーンズ・ギャラリーで観た時、画面から立ち上がる妖気に思わずたじろいでしまった作品である。フェデリーコがモンフェラート公爵位を狙った政略結婚らしいので、もしかして画面から漂う妖気はそのせいかもしれない(^^;;
さて、ローマのカラヴァッジョ展レポートは忘れたわけではない。実は、今回はルドヴィーシ天井画の長い前振りなのである(^^;;;