さて、どこから書き出したらよいのだろう。金曜日から土曜日にかけて、ブログに書きたいことが色々とあり過ぎたので困ってしまう。取りあえず「ボルゲーゼ美術館展」記念講演会から行こうと思う。
土曜日、東京都美術館で岡田温司氏の講演会「作者を探せ!-ボルゲーゼ美術館とふたりの目利き」を聴講した。
講演内容をざっくりと下記に要約するが、実は図録を読んだら、そのままの論文が掲載されていた。なので、興味のある方は図録を購入して読んでね(^^;;
今回の(1)は講演内容を、講演会(2)は講演会で知ったジョルジョーネのコレッジョやカラヴァッジョへの影響についての私的感想をまとめたい。
■□■ 講演内容の要約 ■□■
ルネサンスからバロック期にかけても、絵画に書名の無い作品や、誤って作者名が伝わった作品が存在し、その作者を鑑定することは難しいことであった。世にモレッリ方式と言う絵画鑑定方式を確立したのがジョヴァンニ・モレッリ(1816-1891)である。モレッリは大学で解剖学を修めたという経歴から、描かれた人物の耳や手先などの細部にこそ画家の無意識の個性が表れているとし、自らの方式を用いた作者特定に乗り出す。その方式を発表した著作は当時、一大センセーションを巻き起こしたようで、フロイトも興味を示したとのこと。
多数の作品を自らの方式で鑑定したが、中でも有名なのが、ドレスデンにある《眠れるヴィーナス》である。何とジョルジョーネ作と鑑定したのはモレッリだったのね!この鑑定は現代でも支持されている。しかし、耳や手先も見えないヴィーナスを一体どうしてジョルジョーネ作品と鑑定できたのか?
ジョルジョーネ《眠れるヴィーナス》ドレスデン国立絵画館
どうやらモレッリは全体の構図や、ヴィーナスの背景である風景画を詳細に観察し、他のジョルジョーネ作品との共通点から類推したようだ。即ち、人物の細部観察を主とするモレッリ方式を自ら裏切ったことになる。耳たぶや指先など、モレッリ方式というものは事後的に機能していたのではないか?
モレッリの一世代後に登場するもう一人の目利きがロベルト・ロンギ(1890-1970)である。(ああ、ようやくロンギが登場♪)ロンギはピエロ・デッラ・フランチェスカやカラヴァッジョ作品を特定し、埋もれていた画家を現代に蘇らせ、再評価の立役者となる。
ロンギはモレッリ方式を「物質主義的」「美学的には無用」などと批判している。ロンギの鑑定の根底にあるのは「比較」という方法だった。その画家の他の作品、同時代の画家たちの作品との比較だ。
例えば、ボルゲーゼ美術館にあるフラ・バルトロメオ《聖家族》を特定したのはロンギである。聖ヨセフの衣襞、表情、背景など、他のバルトロメオ作品との「類縁関係」から類推して行く。ところが、おもしろいことに、モレッリ嫌いのロンギが「モデルが同じばかりでなく、頭蓋の丸いふくらみや、くさびのように押し込まれた眼窩..(省略)..の配置にも、著しい一致が見られる」と、まるでモレッリ方式まがいなのだ。
フラ・バルトロメオ《聖家族》ボルゲーゼ美術館
モレッリは鑑定を「絵画の科学」にまで高めるため、理論上は解剖的な細部の観察に力点を置こうとした。これに対してロンギは感性的で美的な知覚の復権を唱えた。だが、いざとなると、ロンギもモレッリ的な細部に目を向けざるを得ない。細部と全体、観察と印象、その連続の中のいくつかの保留点で、作者が顔を覗かせているからだ。はからずも、モレッリはロンギを、ロンギはモレッリを実践していたのだ。(図録論文から引用多々ですみません。誤要約もあったらすみません。/汗)
岡田先生は著作からの印象では難しそうな方かも、などと予想していたのだが、ツンツン髪でエネルギッシュにお話される姿に、おお、ロッカーみたい(褒め言葉です)と嬉しくなった。ステージでジャンプしてくれないかなぁ(^^;;;
土曜日、東京都美術館で岡田温司氏の講演会「作者を探せ!-ボルゲーゼ美術館とふたりの目利き」を聴講した。
講演内容をざっくりと下記に要約するが、実は図録を読んだら、そのままの論文が掲載されていた。なので、興味のある方は図録を購入して読んでね(^^;;
今回の(1)は講演内容を、講演会(2)は講演会で知ったジョルジョーネのコレッジョやカラヴァッジョへの影響についての私的感想をまとめたい。
■□■ 講演内容の要約 ■□■
ルネサンスからバロック期にかけても、絵画に書名の無い作品や、誤って作者名が伝わった作品が存在し、その作者を鑑定することは難しいことであった。世にモレッリ方式と言う絵画鑑定方式を確立したのがジョヴァンニ・モレッリ(1816-1891)である。モレッリは大学で解剖学を修めたという経歴から、描かれた人物の耳や手先などの細部にこそ画家の無意識の個性が表れているとし、自らの方式を用いた作者特定に乗り出す。その方式を発表した著作は当時、一大センセーションを巻き起こしたようで、フロイトも興味を示したとのこと。
多数の作品を自らの方式で鑑定したが、中でも有名なのが、ドレスデンにある《眠れるヴィーナス》である。何とジョルジョーネ作と鑑定したのはモレッリだったのね!この鑑定は現代でも支持されている。しかし、耳や手先も見えないヴィーナスを一体どうしてジョルジョーネ作品と鑑定できたのか?
ジョルジョーネ《眠れるヴィーナス》ドレスデン国立絵画館
どうやらモレッリは全体の構図や、ヴィーナスの背景である風景画を詳細に観察し、他のジョルジョーネ作品との共通点から類推したようだ。即ち、人物の細部観察を主とするモレッリ方式を自ら裏切ったことになる。耳たぶや指先など、モレッリ方式というものは事後的に機能していたのではないか?
モレッリの一世代後に登場するもう一人の目利きがロベルト・ロンギ(1890-1970)である。(ああ、ようやくロンギが登場♪)ロンギはピエロ・デッラ・フランチェスカやカラヴァッジョ作品を特定し、埋もれていた画家を現代に蘇らせ、再評価の立役者となる。
ロンギはモレッリ方式を「物質主義的」「美学的には無用」などと批判している。ロンギの鑑定の根底にあるのは「比較」という方法だった。その画家の他の作品、同時代の画家たちの作品との比較だ。
例えば、ボルゲーゼ美術館にあるフラ・バルトロメオ《聖家族》を特定したのはロンギである。聖ヨセフの衣襞、表情、背景など、他のバルトロメオ作品との「類縁関係」から類推して行く。ところが、おもしろいことに、モレッリ嫌いのロンギが「モデルが同じばかりでなく、頭蓋の丸いふくらみや、くさびのように押し込まれた眼窩..(省略)..の配置にも、著しい一致が見られる」と、まるでモレッリ方式まがいなのだ。
フラ・バルトロメオ《聖家族》ボルゲーゼ美術館
モレッリは鑑定を「絵画の科学」にまで高めるため、理論上は解剖的な細部の観察に力点を置こうとした。これに対してロンギは感性的で美的な知覚の復権を唱えた。だが、いざとなると、ロンギもモレッリ的な細部に目を向けざるを得ない。細部と全体、観察と印象、その連続の中のいくつかの保留点で、作者が顔を覗かせているからだ。はからずも、モレッリはロンギを、ロンギはモレッリを実践していたのだ。(図録論文から引用多々ですみません。誤要約もあったらすみません。/汗)
岡田先生は著作からの印象では難しそうな方かも、などと予想していたのだが、ツンツン髪でエネルギッシュにお話される姿に、おお、ロッカーみたい(褒め言葉です)と嬉しくなった。ステージでジャンプしてくれないかなぁ(^^;;;
チラシによると2/7にも講演会が、またカラヴァッジョの映画上映が1/23にもあるようですが、Juneさん行かれるのかな?
しかし講演内容が図録論文と同じとはひどい話ですね。
調布のコミュニティセンターでも長谷川等伯や小野竹喬の展覧会にちなんで講演会があるのですが、講演会聞くと展覧会招待券もらえるんですよ!
それはそうとJuneさん、イタリアのカラヴァッジョ展に行かれる予定は決まりましたか?忙しい二月ですね。
で、講演会場でも映画の宣伝をしていました。okiさんはいらっしゃるのですか?都美講堂の椅子は座り心地がイマイチなので、2時間ちょいの映画にはキツイかも(^^;;。私は映画館で再チェック予定です。
ところで、講演会は図録よりも画像説明が多いし、分かりやすかったです。もちろん、別テーマだったらもっと嬉しかったですけどね(^^;
で、調布は講演会でチケットが貰えるなんて良いですね!okiさん、ぜひGETを(^_-)-☆
えーっと、ローマ行きは2月ではなく、もっと先になりそうです。仕事状況が厳しくて...(涙)