デュッセルドルフはノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館だけでなく、クンストパラスト美術館も良い所蔵作品に恵まれている。
クンストパラスト美術館(常設展示館)
中でもルーベンス《ヴィーナスとアドニス》やジョヴァンニ・ベッリーニの三翼祭壇画《プリウリ祭壇画 Pala Priuli (Madonna with Child, two Saints, Monks, and donor》は見逃せない。
ジョヴァンニ・ベッリーニ《プリウリ祭壇画(Pala Priuli)》(1506-1510)
さて、恒例になった(?)「私的2008年度展覧会ベスト10」の参考にしようと『美術の窓』チェックをしていたら、静岡アートギャラリーで「珠玉のヨーロッパ油彩画展-バロック美術から十九世紀へ」があることを発見。それに静岡県立美術館では「ヨーロッパ絵画-バロックから近代へ」などという収蔵品展までやっている。ということで、もちろん行ってきた(笑)。特に静岡県立美術館の粒揃いの作品やロダン館に、日本の地方都市の美術館も頑張っているのを知ることとなった。
まずは静岡県立美術館「ヨーロッパ絵画-バロックから近代へ」から。展示内容はパウル・ブリルやクロード・ロランからモーリス・ブラマンクに至る風景画であり、展示作品数は少なくとも質的に満足できたことが嬉しい。それに、風景画にとって「陽光=光」が如何に重要な構成要素であるのかも再確認できたしね。
クロード・ロラン《笛を吹く人物のいる牧歌的風景》
特にクロード・ロラン《笛を吹く人物のいる牧歌的風景》は夕陽の美しさとともに水面から立ち上る靄(大気)まで感じさせる作品だ。奥行きのあるゆったりとした風景は古代ローマ風の建物や人物たちの佇まいとともに、風に乗り流れてくる笛の音まで聴こえるようで、思わず風景の中に誘い込まれそうになる。
風景画と言えばもちろんヤーコブ・ファン・ライスダールもありで、《小屋と木立のある田舎道》は高い空に立ち上がる雲が、ハーレム風景だなぁ、と思わせる。小屋の崩れそうな生垣にもささやかな陽光が注ぎ、池の水面につつましく映しだされる。空の色に比べ小屋と木立が暗いだけに、明るい後景へと続く曲がった道など、わずかな光の表現が奥行きとぬくもりを感じさせる。さり気を装っているけれど、熟練の構図と見えた。
で、クロード=ジョゼフ・ヴェルネは海洋を得意とする画家らしく《嵐の海》はさすが海の描写が上手い。泡立ちうねる波の透明な質感などリアルで、かなり海を観察しているなぁと感心。構図はなんだかターナーを想起。って言ってもターナーはずっと後の時代だけどね(^^;
ところで、海で思い出したので脇道紹介してしまうのがライスダールの《Rough Sea at a Jetty(荒い海の桟橋で)》(キンベル美術館)。ライスダールにしては珍しくも海主題だったし、その描写の上手さにも驚いたのだった。
ヤーコブ・ファン・ライスダール《Rough Sea at a Jetty》(1650頃)キンベル美術館・所蔵
静岡県立美術館はこの他にもコローやモネなど良い絵だなぁと思わせる作品が並び、わざわざ静岡まで行った甲斐があったと思う。
で、ロダン館でも発見あり!ということで続く(^^;;;
クンストパラスト美術館(常設展示館)
中でもルーベンス《ヴィーナスとアドニス》やジョヴァンニ・ベッリーニの三翼祭壇画《プリウリ祭壇画 Pala Priuli (Madonna with Child, two Saints, Monks, and donor》は見逃せない。
ジョヴァンニ・ベッリーニ《プリウリ祭壇画(Pala Priuli)》(1506-1510)
さて、恒例になった(?)「私的2008年度展覧会ベスト10」の参考にしようと『美術の窓』チェックをしていたら、静岡アートギャラリーで「珠玉のヨーロッパ油彩画展-バロック美術から十九世紀へ」があることを発見。それに静岡県立美術館では「ヨーロッパ絵画-バロックから近代へ」などという収蔵品展までやっている。ということで、もちろん行ってきた(笑)。特に静岡県立美術館の粒揃いの作品やロダン館に、日本の地方都市の美術館も頑張っているのを知ることとなった。
まずは静岡県立美術館「ヨーロッパ絵画-バロックから近代へ」から。展示内容はパウル・ブリルやクロード・ロランからモーリス・ブラマンクに至る風景画であり、展示作品数は少なくとも質的に満足できたことが嬉しい。それに、風景画にとって「陽光=光」が如何に重要な構成要素であるのかも再確認できたしね。
クロード・ロラン《笛を吹く人物のいる牧歌的風景》
特にクロード・ロラン《笛を吹く人物のいる牧歌的風景》は夕陽の美しさとともに水面から立ち上る靄(大気)まで感じさせる作品だ。奥行きのあるゆったりとした風景は古代ローマ風の建物や人物たちの佇まいとともに、風に乗り流れてくる笛の音まで聴こえるようで、思わず風景の中に誘い込まれそうになる。
風景画と言えばもちろんヤーコブ・ファン・ライスダールもありで、《小屋と木立のある田舎道》は高い空に立ち上がる雲が、ハーレム風景だなぁ、と思わせる。小屋の崩れそうな生垣にもささやかな陽光が注ぎ、池の水面につつましく映しだされる。空の色に比べ小屋と木立が暗いだけに、明るい後景へと続く曲がった道など、わずかな光の表現が奥行きとぬくもりを感じさせる。さり気を装っているけれど、熟練の構図と見えた。
で、クロード=ジョゼフ・ヴェルネは海洋を得意とする画家らしく《嵐の海》はさすが海の描写が上手い。泡立ちうねる波の透明な質感などリアルで、かなり海を観察しているなぁと感心。構図はなんだかターナーを想起。って言ってもターナーはずっと後の時代だけどね(^^;
ところで、海で思い出したので脇道紹介してしまうのがライスダールの《Rough Sea at a Jetty(荒い海の桟橋で)》(キンベル美術館)。ライスダールにしては珍しくも海主題だったし、その描写の上手さにも驚いたのだった。
ヤーコブ・ファン・ライスダール《Rough Sea at a Jetty》(1650頃)キンベル美術館・所蔵
静岡県立美術館はこの他にもコローやモネなど良い絵だなぁと思わせる作品が並び、わざわざ静岡まで行った甲斐があったと思う。
で、ロダン館でも発見あり!ということで続く(^^;;;