万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

ガラスから聞こえる「森の音」

2007-07-30 18:02:03 | 万華鏡ブログ
先月ギャルリーヴィヴァンで開かれていたI.K.A.展招待部門で初出品された中里保子さんの「森の音」という万華鏡です。素晴らしい万華鏡作品が多い中、その個性的な豊かな表情がとても印象的でした。
今回の展覧会のテーマが「音」だったそうで、それを実際の音ではなく、ガラスで表現したいと考え、そのアイディアが「森の音」になりました。この作品を見たとき本当に、森を吹き抜ける風、木々のそよぎ、葉の音、森のなかの生命の息吹などを感じました。
本体のガラスは、模様が大変美しく、イメージにぴったり。森の中に息づく生命を感じませんか。この素材は、ガラスメーカーの定番外のもので、偶然できた色の混ざり具合が気に入ったそうです。このように面白いと思ったガラスからイメージを膨らませることもよくあるとおっしゃっていました。
本体を横から支える積層ガラスの部分は、左右不均等な造形ながらバランスがとれていて、刻まれた細い流れるような線が、風というか、空気の流れを感じさせます。万華鏡本体のガラスの重量を感じさせない軽やかな取り付け方にこだわったそうですが、万華鏡の下の空間が、透明な台の部分を含め、全体的な姿に大きな効果をもたらしていると思います。積層ガラスは、ガラスを重ね合わせて接着し、表面をつるつるに磨いたり、切り口を加工したりして、ガラスならではの美しさを見せる技法だそうですが、中里さんは素手の感触でその加工をなさるそうです。傷だらけになった手を拝見して、その大変な作業を想像いたしました。この涼やかな作品は、そのような作業を経て生まれてきたのです。次回は内部映像です。
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