万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

ダイクロイックガラスで演出する内部映像

2007-07-18 19:52:24 | 万華鏡ブログ
昨日ご紹介した「プル・ユアセルフ・トゥギャザー」の内部映像です。直径10cmほどの太めの筒の中にもダイクロイックガラスの装飾が施され、迫力のある独特な映像を見せています。
ミラーの第3面の部分にダイクロイックガラスが焼き付けられてあり、大きなマンダラ映像の周りを囲む映像の一部分として、手前のほうまで迫ってきます。花を焼き付けたフラワーシリーズの優美で可憐な色合い、流れるような映像とは一線を画して、ダイナミックな動きの感じられる力強い印象です。基本的には外部に使われた色をとりこんでのガラスオブジェクトですが、8ポイントの映像は、深淵の中から湧き上がってくるような、全くの別世界を見るようで、その濃厚な色模様に圧倒される感じでした。サイドリット(セルの横から光が入るタイプ)の万華鏡なので、そこに光を当てるとダイクロイックガラスの妖しい輝きが、また違う表情を見せてくれます。ペギーさんの創るオブジェクトの美しさには常々感動させられていますが、この作品では違ったイメージを持ちました。覗くほうの私達も、「いつもの美しさ」だけに安心せずに、作家さんの進む方向を見続けていったら、自分の万華鏡の世界を広げられるかもしれません。
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キテルソン夫妻ならではのガラスアート万華鏡

2007-07-17 21:54:44 | 万華鏡ブログ
昨日に続いてスティーブ&ペギー・キテルソン夫妻のパーラー型万華鏡で、タイトルは「プル・ユアセルフ・トゥギャザー Pull Yourself Together」です。立ち直れ!とか元気を出して!という意味かなと思いますが、作家さんはどんなメッセージを込めたのでしょうか。かなり大型で、圧倒的な存在感のある作品です。
2000年に発表した「プレーリーダンサー」という作品から、キテルソン夫妻はダイクロイックガラスを万華鏡製作のさまざまな側面に取り入れたシリーズを創り始めました。その同じライン上でも、新しい作品にはどこか、それまでとは違った表現を取り込み、そのテクニックを進化させてきたと言われています。
溶ける温度が微妙に異なるさまざまなガラスを使って、多くの色を重ねて焼き付けるのには何段階ものプロセスを経ることが必要だそうです。その一つ一つのプロセスを成功させなければ、次には進まない作業をこなし、デザインや色使いにますます磨きがかかってきています。スランピングとフュージングの技術、ダイクロイックガラスを使いこなす技量、しっかりと考えられたデザインテーマは、キテルソン夫妻の「アート」作品の特筆すべき素晴らしさだと思います。
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ダイクロイックガラスのパターンが美しい万華鏡

2007-07-16 20:08:34 | 万華鏡ブログ
スティーブ&ペギー・キテルソンご夫妻の2007年新作「Go With the Flow(流れのままに)」という作品です。彼らの基本的なスタイルは、ステンドガラスをスランピングという技術で2つの半筒に形成し、合わせて万華鏡のボディーを作ります。その基本形は変わらないまま、その製作技術を究め、新しい要素を取り入れて、毎年数種類の新作を発表しています。
特にパーラータイプは限定版の作品が多いのですが、万華鏡の筒と木のスタンドの組み合わせが何気ないように見えながらも、とてもよく考えられて創られています。全体的な姿が一つのデザイン性のある置物であることを意識しているのです。
この作品は、ダイクロイックガラスを多用した作品のなかでも、デザイン上の新しさを感じます。黒で玉虫色の光沢のあるガラスに、流れるような模様にダイクロイックガラスをフュージングしたデザインは、筒の上に思いのまま絵を描いているようです。色合いは決して派手ではなく、控えめな輝きが魅力的で、渋いけれど華やかさのある雰囲気です。ダイクロイックガラスの表情の面白さを、今までとは違った手法で表現しました。日本の着物にとても興味があるというペギーさんですが、何となくそんな影響もあるのかなと感じるような作品です。
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佐藤元洋さん 青いガラスの万華鏡

2007-07-13 17:17:48 | 万華鏡ブログ
佐藤元洋さんのコンベンションでの発表作品です。タイトルを伺うのを忘れてしまいましたが、宙(そら)を思わせる藍色のガラス、水の流れや泡を閉じ込めたような透明なガラス、青と緑の丸いオブジェクトセル…それらが表現するのは宇宙の中の地球という印象でした。
ガラスの透き通る美しさをそのまま万華鏡にするのは、中にミラーシステムがあるのでほとんど不可能ですが、佐藤さんの作品は、透明感のあるガラスとの組み合わせでその美しさを表現し、トータルな魅力を醸し出しています。万華鏡であるが故のいろいろな条件を一つ一つクリアーしながら、次の作品へのアイディアもどんどん生まれているとのことで、製作が間に合わないほどだそうです。これからも、ますます楽しみな作家さんです。
その佐藤さんの新作万華鏡展が、国立駅北口の「アートの庭」で7月17日から29日まで開かれます。昨年と同様、尾形かなみさんとの二人展だそうです。今頃最後の追い込みにお忙しいのではないかと推察しますが、とても期待しています!
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カラディモスさんの創るもうひとつのマンダラ模様

2007-07-12 22:08:07 | 万華鏡ブログ
ずらりと並んでいるのはチャールズ・カラディモスさんの2007年新作、限定版万華鏡「マンダラ」です。白と黒の2つのタイプしかないのですが、デザインのポイントとなっているマンダラ模様がカラフルで、全て異なるので、並んでいるととても華やかな印象を受けます。
アート表現の幅を広げる一つの試みとして、ガラスを細くカットしてマンダラ模様に並べて焼き付けるこのデザインに取り組むようになり、7月4日にご紹介したパーラー型の作品にも、今回ご紹介の手持ち型の作品にも焼き付けられています。
そして手前のほうに見えるのが、そのデザインを使った置物です。
オーソドックスなステンドガラスの万華鏡から始まって、スランピングによる造形を究め、今そこにフュージングによる装飾を加えているチャールズさんは、基本的なスタイルを貫きながら、いろいろなガラス工芸の可能性にチャレンジしていらっしゃるのだなあと思いました。
白、黒、それぞれ20個ずつの限定版ですが、全く同じものがないマンダラ模様と、当然のことながら、全く同じものがない内部映像ですので、それぞれが世界にひとつだけの一点ものといえますね。内部、外部ともお気に入りの作品を選ぶのが、とても大変です。
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ローラ・ワイルドさんの宝箱

2007-07-11 23:39:57 | 万華鏡ブログ
この万華鏡はローラ・ワイルドさんの「Lighthouse Treasures(灯台の宝物)」という作品で、一点ものです。今回のコンベンションのサイレントオークションでコレクターのもとに落札されました。
「灯台」というテーマで作られ、タイトルの通り、沢山の宝物が詰まっています。素敵な灯台の写真をコラージュしたボックスに、万華鏡と替えのオイルセルが5本と、好きなものを入れられる空のセルが1本入っているのです。
セルを入れ替えてさまざまな色模様を楽しめる「インターチェンジャブル」な作品です。コーディネイトされたボックスと万華鏡が素敵です。
ローラ・ワイルドさんの創る万華鏡はテーマ性のある作品が多いのですが、絵心のある方だなあといつも思います。素材の選び方に独特のセンスがあり、またテーマを表現する装飾も手作り・手描きで個性を出しています。
この作品は最新作のオープンエディションタイプ、「エリプス」シリーズを使っています。これと同じ組み合わせの作品はないけれど、「エリプス」シリーズには、沢山のバラエティーが準備されています。楕円形の筒、セルの横から光が入るタイプ、2ミラー8ポイントの映像が特徴で、多くのテーマに沿って創られています。外のデザインと内部の映像が見事にマッチしているところは、ローラさんのセンスが光るところです。
カリフォルニア生まれ、カリフォルニア在住のローラさんは、明るくきれいな色が似合う方で、見るからに明るい雰囲気を持っています。コンベンションではいつも、ご自分で創った万華鏡映像のデザインをプリントしたシャツを身につけていらっしゃるので、すぐに分かります。
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四角いフレームに合わせた万華鏡映像

2007-07-10 22:59:46 | 万華鏡ブログ
ジュディス・ポール&トム・ダーデン夫妻の「フォト・プレイ」の内部映像です。四角い写真のフレームに収まったこの万華鏡には、2ミラーシステムで、4ポイントの四角い映像が用意されましたが、彼らの作品としては珍しいと思います。
薔薇の花を大きく映し出した写真でしたので、ジュディスさんが選んだオブジェクトは薔薇の花を中心に、ピンクやローズ、グリーンなどでまとめられています。いつものことながら、外部のイメージを膨らませる、バランスのよい、きれいな映像です。
もうひとつ付け加えられた楽しみは、替えのセルです。こちらは4月26日にご紹介したものと同じように、一つのセルをふたつに仕切って、2つの色合いが混ざり合わないように、一つの映像の中で仕切りの効果を活かして、いろいろなバラエティーを提供するように作られています。濃いめの鉱物油を入れたセルの中で、各々のオブジェクトの動く速度の違いまで考慮した構成によって、いつもバランスのとれたきれいな映像が映りこむようになっています。
イメージス工房では、万華鏡のデザイン、オブジェクトセルの担当はジュディスさん、そして「ミラーマン」のトムさんは、ミラーのカットと組み立て、万華鏡の製作を担当します。豊かなアイディアを生み出すジュディスさん、完成度の高いミラーシステムやオイルセル製作をマスターしたトムさんのコンビネーションは抜群で、お互いを尊重しあう姿勢にいつも暖かさを感じるご夫妻です。工房の名のとおりイメージを膨らませて夢のある作品を作り続け、私達を楽しませてくれるのです。
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写真の中に万華鏡

2007-07-09 23:59:39 | 万華鏡ブログ
イメージス工房のジュディス・ポール、トム・ダーデン夫妻の新作万華鏡は、今年もまた大変ユニークなものでした。タイトルは「フォトプレイ」で、写真を使ったこのような額装の作品を数種類用意してありましたが、こんな万華鏡の演出はいかがでしょうかというアイディアの提案がユニークな新作でした。
額に納められた写真の上に、透明なアクリルの棚が付いているのが見えるでしょうか? 同じ写真が万華鏡の筒に使われているので、その棚に万華鏡をぴったり重ねるように置くと保護色のように、万華鏡が写真の中に入り込んでしまいます。また替えセルが付いているのですが(万華鏡の右上です。)、その外側にも写真の部分をそのまま使っているので、定位置にぴったりと重ねて置くと、写真の中に埋もれてしまいます(この写真では、分かり易いようにわざと少しずらして置いたところを撮りました。)
写真を飾った額に手を伸ばせば万華鏡があり、その写真のテーマに沿った映像が見られるというユニークな発想が面白いですね。万華鏡そのものは、オーソドックスな2ミラーシステムのものですが、いろいろなタイプの写真に合わせて、セルの中のオブジェクトを選び、映像を演出するのは、ジュディス・ポールさんのお得意とするところ。そしてその映像にも、新しい感覚が加わりました。次回ご紹介します。
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星空に思いを馳せる万華鏡映像

2007-07-07 15:52:47 | 万華鏡ブログ
依田さんご夫妻の「古代の天球儀」の内部映像もまた印象的です。「アンティキティラの機械」は研究の結果、太陽、月、惑星群の運行を正確に再現していることがわかったそうですが、依田さんご夫妻はこの万華鏡に古代ギリシャの人がみていたであろう星空を表現したいと考えました。周りに星のきらめく深い青の世界、そして中心には青い光を放つ6ポイントの映像が、美しく幻想的な変化を見せてくれます。
宇宙を表す青い世界は、2枚の鏡を閉じる第3面のカーブのついた青いポリカーボ板によるもので、少し光を通す状態になっています。そこに太さの違うガラスファイバーを垂直にあたるように、1本ずつその先端を90度に曲げて、たくさん貼り付けてあります。90度に曲げないと青いシートを光が貫かないからだそうです。さらに光源に工夫をして、赤、青、緑の光が星のきらめきのように瞬くようにしました。もっと宇宙の広がりを表現したかったとおっしゃっていますが、吸い込まれるような深さが感じられる映像でした。
もう一つのポイントは映像表現に添えられた音楽です。富田勲さんのシンセサイザーによる「三星のカノン」(パッヘルベルのカノン)は、壮大な宇宙ロマンを表現する作品で、覗いていると宇宙からの音楽を聴いているような気がしてきます。
オブジェクトセルはオイルセルですが、液体の機内持ち込み禁止ということで、現地でグリセリンを調達なさったとか。現地で組み立てる予定でしたが、ミラーの機内持ち込みも許可されない可能性もあるので、替えをスーツケースに準備しての渡米でした。セキュリティーチェックの方たちも、作品を覗いたらそんなことは絶対に言わないだろうと思いますが、今の世の中、万華鏡を飛行機に乗せるのは大変なのですね。
(この写真もアトリエロッキー万華鏡館の伊藤さんが撮影なさったものです。)
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古代の天球儀

2007-07-06 12:35:05 | 万華鏡ブログ
今年依田満・百合子ご夫妻が発表なさった作品は、古代へのロマンと畏敬を表現した壮大なテーマの万華鏡「古代の天球儀」です。この作品のアイディアは、昨年12月の朝日新聞の記事「アンティキティラ機械の復元」から生まれました。ギリシャ近海アンティキティラ島のあたりで見つかった難破船から約100年前に見つかった歯車式の機械は、紀元前2世紀頃のものとわかり、それを復元したところ、実は月の満ち欠けや惑星の動きを計算できる非常に精巧なアナログ計算機と考えられるとネイチャー誌に発表されたというものでした。 世界中にこの機械を研究している人たちがいて、古代テクノロジーの素晴らしさが解明されつつあることに心が動かされて、2200年前の世界を万華鏡で表現なさりたいと考えたそうです。
このアンティキティラ島の機械はオーパーツ(Out Of Place ARTifactS)の一つに数えられています。オーパーツとは、発見された場所や時代とそぐわない考古学的な出土品を主に指し、しばしば現代科学の水準を超えたり、その時代には存在しなかったはずの技術で作られたものが世界中に存在しています。この精巧な差動歯車機構という技術を使い、天体望遠鏡もなかった古代の人たちが創り上げたという機械への不思議と畏敬の念、その頃古代ギリシャの人たちが見上げたであろう星空を思って創作なさったのが、この万華鏡なのです。
復元された機械にできるだけ忠実に作るための40枚弱の歯車の調達には苦労なさり、それらをまた作動させるのに大変多くの時間を費やしたそうです。そのために今回、万華鏡の部分に割く時間が少なくなってしまったのが残念であること、さらに良い映像を生み出すアイディアがもうすでにあることを教えてくださいました。本当に多くのエネルギーをかけて生み出された作品なのです。ギアの動きの中にオブジェクトケースの動きも合体されており、手でノブを回すと回転が伝わり、映像の変化を楽しみます。アクリルのボディーには細かい目盛りや古代のことばが正確に彫りこまれてあり、中で動く歯車の動きと合わせて、美しい機械の印象です。傾けて万華鏡を見ますが、垂直に立てると彫り込まれた3つの円に光が当たり浮き上がって見える仕組みになっています。この作品は7月18日から24日まで新宿伊勢丹6階で催される依田ご夫妻の万華鏡展で展示されますのでお楽しみに。明日は内部映像の秘密に迫ります!
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