N響 第1859回 定期公演 Cプログラム
2017年4月21日(金)NHKホール
指揮:ファビオ・ルイージ
ピアノ:ベアトリーチェ・ラナ
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲 第1番 ハ長調 作品15
ブラームス/交響曲 第4番 ホ短調 作品98
初めてファビオ・ルイージを聴いたのは2009年の都民劇場での
衝撃的なコンサートでした。指揮者でこれほどの感動は何十年ぶりという
感じでした。
ブログで調べてみたら最初に聴いたのもブラームスの4番でした。リヒャルト・シュトラウスも
すごく印象に残っています。最初の印象は色彩的。
2010年父が亡くなった時に聴いたサントリーホールでの忘れられないブラームス1,2番。
2011年にはメトの特別コンサートが同じくサントリーホールであり、ネトレプコとか指揮のジェームス・レヴァイン
とか降板する中でこういう時だからこそ行きたいと代役で来てくれた、多くのコンサートがキャンセル続きだった年の
感動的なコンサートでした。
2014年 友人のN響でチケットを取ってもらったカルミナ・ブラーナ。夏にはその友人と一緒に松本のサイトウキネンで見た
フォルスタッフの舞台。地方まで行ってコンサートに行ったのは初めてで楽しい思い出です。
ファビオ・ルイージはヒラリー・ハーンと同じように何か再びクラシック音楽の素晴らしさに
目を覚まさせられるようなそんな出会いでした。
今回もN響だったので、友人にお願いして近くの席を取ってもらいました。会計事務所をやっている友人も
忙しい中時間を作って来て、生の音楽で気持ちが晴れていく様だったと話していました。
私も最近コンサートでは寝てしまったりすることもあったのですが、今回は覚醒していました。
この天才がつむぎだす音楽を逃すまいといった感じ。
ベートーヴェンのピアノ・コンチェルトは永遠の時間の中にいるようで、もう終わらないのかと思ったくらい。
イタリアの若手の女性ピアニストが新鮮でした。
人間ってなんて素晴らしいんだろうと思いました。ちょっぴり夏の軽井沢で若い頃、当時晴山ホテルと言っていた
今ではプリンスが吸収してしまったホテルでのサマーコンサートを思い出しました。遠くからベートーヴェンの
ピアノ・コンチェルト2番が聞こえてきました。
いつも頭の中でいろいろな思いが渦巻いてしまうのですが、軽井沢の緑の空気を思い出しただけで
音楽そのものの中に没頭していました。
ブラームスは出だしから素晴らしく、ブラームス、ファビオ・ルイージ、N響のメンバーがひとつになって、
音楽を作り出していく。ファビオ・ルイージの指揮はメリハリがあって、そしてどこか現代的な
響きがある。ゆったりとしているところはもう終わらないのではないかと思うくらい。
4番は大作でどの楽章もクライマックスのような感じもする。でもこんなに心に響く2楽章は初めて。
涙が目の周りに溜まってしまいました。
ヨーヨー・マの文化は滅びないという言葉を思い出していました。
人間の素晴らしさと今ここにいる幸せを感じた一夜でした。
原宿からNHKホールに向かう途中の夕陽