Reflections

時のかけらたち

しらかわホールで聴いたVíkingur Ólafsson – Bach: Goldberg Variations

2023-12-13 23:35:17 | music

12月10日

オラフソンは庄司紗矢香とのデュオを聴いてから、ソロを聴いてみたいとずっと思っていて
それがこの「ゴールドベルグ」をしらかわホールで聴けるようになり、心待ちにしていたコンサートです。

静かにテーマのアリアが始まり、たくさんのヴァリエーションを経て再びスタート地点かららせん状に
登った地点に戻って来る。ディアベッリの時のように、山を越え、流れに乗り、旅を終えて・・

キラキラした透明感のある美しさ、急流のようなテンポ、エネルギーが爆発するような命を感じたり、
1曲1曲が独立していて、そして全体の流れが一つの作品となって・・ 変奏曲は作品としてとても
難しい曲なのだと思います。

バッハって自分でもこれを弾いていたのだからどんなにすごい人なのだろうと、バッハ自身にも驚かされて
しまい、それに挑み表現する演奏家にもリスペクト。

聴いている間中、「今」「ここにいる」自分を感じました。この広い宇宙の中にいる私。そしてその音楽を共有
する人がいる不思議。いつもいろいろな人生のシーンを思い出したりするのですが、今回はひたすらバッハと
オラフソンの世界に浸り圧倒されました。

難曲を弾き終えて、鳴りやまない拍手にこたえてスピーチ。

「『ゴルトベルク変奏曲』の問題は、アンコールが演奏できないことです。この作品は“アリア“という太陽の周りを
回る30の惑星により宇宙が形成されていて、他のものが入りこむ余地がないのです」

まさしく、私を含む観客は「ゴルトベルク変奏曲」という太陽系宇宙を観ることができたのだと思いました。
一つ一つのとしての独立した宇宙を持ちながら全体としてアリアへの求心力を持ちながら回っていく音楽。

アンコールができないほど圧倒的な存在感の、そしてすべてのエネルギーを注ぎこまないと演奏できない曲。コメントに
納得です。他には日本のツアーを名古屋で終えることができて幸せとも。アイスランドと似ている部分がある日本に
親近感を感じているようでした。しらかわホールは多くの演奏家たちに評価されています。

インタヴュー記事でバッハの音楽を「未来に向けた手紙」とも語っていたオラフソン。

音響のいい、この規模感のコンサートホールでバッハを聴けたことは幸せでした。

Víkingur Ólafsson - J.S. Bach: Goldberg Variations, BWV 988: Aria (Official Music Video)

 

Víkingur Ólafsson – Bach: Goldberg Variations, BWV 988: Var. 13 (Official Music Video)

 

バッハ:ゴールドベルク変奏曲 BWV 988 - 第25変奏

 

ヴィキングル・オラフソン最新インタビュー:新作「J.S.バッハ:ゴルドベルク変奏曲」に込めた思いは?

 

Dec. 10  2023   Shirakawa Hall ,  Nagoya

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする