8月22日
内藤コレクション 写本 いとも優雅なる中世の小宇宙
またしても終了間近の展覧会に滑り込みです。
気になっていた西洋美術館での写本展でしたが、イタリア語の先生から中世にタイムスリップしてきたとの
ラインで、やっぱり西洋美術館に行きたくなって、時間があまりないので翌日行ってきました。
西洋美術館は長い間リニューアル工事をしていましたが、2年も前のことだったのですね。
若い頃、井上靖の「化石」を小林正樹監督が映画化されたのを見て、フランスのロマンの寺に行きたいと思ったことが
あり、「中世が見た夢」という美術紀行の本を買って、写真だけよく眺めていたことがありました。
内藤コレクションは断片的に見たことがあると思いますが、西洋美術館に寄贈された膨大な作品を一度に
見ることができました。
25日終了でしたが、それほど混雑していなくて、ゆっくりと見ることができました。
静かに教会音楽でも流れていたら、最高でしたが・・・
嬉しいことにほとんどの作品が撮影可でした。
内藤氏が初めて買った詩編集零葉 パリ又はアミアン 1250-60年
昭和7年2月5日生まれ。エール大付属病院勤務,札幌医大助教授などをへて,昭和51年筑波大教授。のち茨城県立医療大副学長。
56年筑波中毒センター(中毒110番)を開設,一時資金難で活動を中断したが,61年(財)日本中毒情報センターを設立した。
平成3年中毒症状治療のバイブルといわれる「中毒百科」を刊行。13年つくば中毒研究所所長。16年吉川英治文化賞。
東京出身。札幌医大卒。
まず最初に展示してあった最初に買った零葉。こんなに小さな字がよく書けるというくらい小さな字です。
印刷がまだなかった時代。まだ紙の技術もヨーロッパに伝達されていなかった時代に動物の皮に書いているのです。
ここから膨大な内藤氏の趣味のコレクションが始まったのです。
内藤先生はその作品の書かれた時代や場所などがわかるととても喜ばれたそうです。
ヨーロッパ各地から集められた作品。フランス、イングランド、オランダ、ドイツ、イタリア・・なかには
スペインに発注されたものもあり、ヨーロッパは一つのように思えます。文字と装飾の担当は別々で分業。
印刷技術導入前の人による一字一字の写本は伝わってくるものが大きいですね。空海展で空海の直筆を見た時も
歴史に触れたような感じがしました。
中世の空間に浸った夏の終わりのひとときでした。
カリグラフィも素敵でしたが、周りの装飾が時にレースのようで素晴らしかったです。ボビンレースのイングランドで
作られたものを思い出したりしていました。
人の手によって作られた貴重なコレクションでした。世の中ますます味気なくなってきましたが、静かな時間が流れて
行く貴重な一日でした。
美術展ナビ 【レビュー】 内藤コレクション 写本 - いとも優雅なる中世の小宇宙
晴れときどき展覧会 輝く写本で彩る人生 中世の画家に耳を傾ける 内藤コレクション
August 22 2024 The National Museum of Western Art (Ueno)
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