庭戸を出でずして(Nature seldom hurries)

日々の出来事や思いつきを書き連ねています。訳文は基本的に管理人の拙訳。好みの選択は記事カテゴリーからどうぞ。

仕事との付きあいかた

2007-02-14 13:30:45 | 自然
今朝の愛媛新聞に、私の好きな元解剖学者の養老孟司が良いことを書いていた。

「・・・好きな仕事は、お金を稼ぐ仕事とは違う。それならお金を稼ぐ仕事は、別にやらなければならない。そういう立場だと仕事に客観的になる。好きでやっているのではないから、自分の思い込みが少ない。命がけではないから、ダメめだと思えばさっさと身を引ける。引け時を誤るのは、仕事上では最大の危険の一つである。・・・」

自然に関することごとと長年付き合っていると、自ずとこのような考え方に帰着するのかもしれない。私も長いこと風に吹かれているうちに、およそこの通りの仕事観・趣味観を持つに至っている。

どうしてそうなるのか・・・簡単に言うと、お金になる仕事は社会の中でするものであり、趣味を含めたお金にならない仕事は自然の中でするものだからである。そして、社会での仕事は常に人為的に作られたもので大概どこかに無理を伴い、自然はあらゆる無理を簡単には許容しないからである。

西から風が吹いている時に、自然の力を借りてまっすぐ西に進むことはできない。海の風読みならジグザグにタックを繰り返しながら少しずつ上っていくしかないし、空の風読みなら飛行速度から風速分を差し引きながらゆっくり進むしかない。

文中、養老は“命がけ”に触れ、“さっさと身を引く”と言っているが、自然相手の世界では、これはきわめて当たり前の、生き延びるために必要な基本姿勢なのだ。


コメント
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