東京新聞の連載コラム「言いたい放談」。
今回は、先週行われたドラマ&映画「鈴木先生」をめぐる特別講義のことを書いています。
「鈴木先生」の特別講義
「大衆文化論」という授業で、登場人物と物語構成を軸にしてテレビドラマと社会の関係を考察している。教材は昨年放送され数々の賞を受けたドラマ「鈴木先生」(テレビ東京)だ。独自の教育理論をもつ中学教師(長谷川博己)が、悩みながらもリアルな問題と向き合っていく。特に鈴木先生の思考過程を心の声と画面上の文字で表現する手法が評判を呼んだ。
先日、原作者で漫画家の武富健治さん、河合勇人監督、山鹿達也プロデューサーに来ていただき、特別講義が行われた。一人の漫画家が生み出した作品が、多くの人たちの力でドラマ化され、さらに来年1月には映画も公開される。学生たちにはそのプロセスを学ぶと共に、“創造する人たち”のエネルギーみたいなものを感じて欲しかった。
河合監督は「(原作の)先生や生徒が熱い。キャラクターが汗をかいていることに共感し、 ぜひ映像化したいと思った」そうだ。また、武富さんは「ドラマでは漫画の過激な部分が削られると思っていたら、逆にそこが残っていました」と笑った。
そして山鹿プロデューサーの「今やテレビは安定した業界ではありません。でもドラマは後の時代にもずっと残る。予算や時間を理由に妥協したくありません」という言葉も印象に残る。このまま“朝まで生授業”でもいいかと思うほど刺激的な90分だった。
(東京新聞 2012.12.12)