日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。
今週の掲載分では、マツコ・デラックスの冠番組のひとつ、TBS
「マツコの知らない世界」について書きました。
マツコには人の話を
自在に引き出す力がある
自在に引き出す力がある
ゴールデンタイムでも見かけるが、やはりこの人には深夜がよく似合う。TBS金曜深夜0時50分からの「マツコの知らない世界」のマツコ・デラックスである。
毎回、ゲストと1対1でのトーク・セッション。しかも招くのはいわゆるタレントや有名人ではなく、あるジャンルの専門家だ。マツコは不案内な“知らない世界”であればあるほど、興味津々で相手の話を聞いていく。このシンプルなコンセプトこそが番組の魅力だ。
先週登場したのはカジノディーラーだった。日本にもカジノが出来ることを見越して、8年前にカジノスクールを開校したという人物だ。すでに卒業生は400人。マツコがすかさず訊ねる。「いまだにカジノがないのに、どうすんのよ?」。
また彼が校長を務めるカジノスクールのパンフレットを眺めて、副校長がなかなかの美女であることを発見。その瞬間、「この副校長とはデキてるんですか?」と突っ込む。相手との間合いの詰め方が抜群にうまいのだ。
今年を代表するベストセラーとなった阿川佐和子の「聞く力」を読むまでもなく、マツコには人の話を自在に引き出す力がある。それは相手に、「半端なタブーはないんだ」「本音を言ってもいいんだ」と思わせる力でもある。テレビの中で独特の自由な位置取りに成功した、
頭脳派・マツコならではの聞き技だ。
(日刊ゲンダイ 2012.12.18)