テレビ朝日「ドクターX」の最終回を見た。
この秋の連ドラにおける視聴率トップを維持してのゴールだ。
最終回は、いろんなことに決着をつけるわけだが、読後感としても悪くなかった。
そして、全体を通して米倉涼子センセイもよかったけど、あらためて岸部一徳さんの怪優ぶりに感心。
いや、怪優はもちろんホメ言葉です(笑)。
そこにいるだけで、これだけ“不穏な空気”を醸し出せる役者さんって、そうはいません。
70年代後半だから、もう30年近く前だけど、当時住んでいた渋谷
NHK近くの道で、よく一徳さんとすれ違った。
実は立ち話をしたこともあって、とてもいい人でした(笑)。
その後、自分でドラマをプロデュースした際、何度か一徳さんをキャスティングしたかったが、役柄などのこともあり、なかなかチャンスがなかったのは、今も残念。
今回、「ドクターX」のプロデューサーを、慶応SFC時代の教え子が務めていたのですが、一徳さんに関しては、ちょっと、うらやましかったです(笑)。
以下は、先月、日刊ゲンダイに書いた、私の「ドクターX」評。
「ドクターX」
「NO」と言えるヒロイン
米倉涼子の魅力
「NO」と言えるヒロイン
米倉涼子の魅力
テレビ朝日「ドクターX~外科医・大門未知子~」が好調だ。3回目までの平均視聴率は17.9%。キムタクの「PRICELESS」(フジ)もおさえ、堂々の連ドラ1位である。何がそんなにウケているのか。
ジャンルでいえばよくある医療モノ。また珍しいとは言えないスーパードクターだ。ところがヒロインの大門(米倉涼子)には大きな特徴がある。それが「断る力」だ。
勝間和代の著書で、彼女が手のひらをぐいと突き出した「お断りポーズ」の表紙を思い出すが、米倉はもっとクールだ。
フリーランスの医師として契約外のことはしない。道理に合わないこと、納得できないことは、相手が誰であれ、はっきりと拒絶する。「NO」と言える日本(by石原慎太郎)ならぬ、「NO」と言えるヒロインなのである。
そんな米倉センセイの立居振舞いが、医師や職員に患者を「患者さま」と呼ばせ、ひたすら“集客”に励む病院の経営陣との対比もあり、見る側をスカッとさせるのだ。
その断固たる「NO」を支えるのが外科医としての超絶スキルである。先週も味覚障害を引き起こす舌咽神経鞘腫(ぜついんしんけいしょうしゅ)の難しい手術を見事に成功させていた。
米倉の「(どんな手術も)私、失敗しないので」の決め台詞。自信を持って言える政治家が、今この国に何人いるだろう。
(日刊ゲンダイ 2012.11.14)