碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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週刊新潮で、米倉涼子主演『家政婦は見た!』についてコメント

2014年03月09日 | メディアでのコメント・論評

ワケあり家政婦
「米倉涼子」が稼いだ視聴率17%

開局ウン周年!と民放各局が盛り上がる中、咋年2月から始まったテレビ朝日の55周年記念期間も、今年3月末で終了する。

その3月最初の日曜日、スペシャルドラマ主演を飾ったのが米倉涼子(38)。専ら「視聴率女王」と評判で、

「元々モデル上がりでパッとしなかったのが、04年、テレ朝で松本清張原作『黒革の手帖』に主演。鬼気迫る悪女を飄々と演じ、いい化学変化を起こした。今やテレ朝の“契約社員”」(コラムニスト・丸山タケシ氏)

特に12年、13年の続編共に大ヒットした『ドクターX~外科医・大門未知子~』は、テレ朝の年間視聴率2冠に大貢献した。で、今回は『家政婦は見た!』。あの主演・市原悦子、清張原作の人気シリーズだ。

12年の年末にも、55周年記念第1弾『熱い空気』で米倉が主演したが、市原版と違い、ワケあっておかっぱのカツラにそばかすのブスメイクで美貌を隠し、派遣先の不幸を楽しむ性悪役。

これで前回18.6%、今回17.4%を稼ぎ出し(ビデオリサーチ調べ、関東地区)、

「旧来の『家政婦』ファンと、テレ朝×米倉ドラマのクオリティに期待する視聴者を取り込んだのでしょう」(メディア論の碓井広義上智大教授)

好成績にシリーズ化も予想されるが、懸念もある。

「清張原作の前回と違い、今回はオリジナル。資産家の前に隠し子だという女性が現れ、相続争いの中、彼女が誘拐される。家政婦も巻き込まれるが、それは女性の自作自演だった、とのオチが見え見え。最後まで引っ張りましたが、今後もこの内容では、厳しいかも。また『ドクターX』含め、いい作品は続けて欲しいですが、キャラもの続きによるイメージの固定化は本人も避けたいでしょうね」(芸能ライター・上杉純也氏)

蜜月期間はいつまで?

(週刊新潮 2014年3月13日号)

週刊ポストで、朝日新聞の「報道姿勢」についてコメント

2014年03月09日 | メディアでのコメント・論評

日本の恥を海外に広報する
「ご注進メディア」朝日新聞の罪

いま中国・韓国への批判本や雑誌記事が売れるのは、朝日新聞が歪んだ反日的報道を繰り返してきたからだ──そう指摘した本誌記事が反響を呼んでいる。外国に日本が悪いと告げ口する朝日の「ご注進報道」はどこまでエスカレートするのか。

そもそも慰安婦問題も、朝日の記者がわざわざ出かけていって、強制性の有無という観点からは信ぴょう性に欠けると言わざるを得ない証言を掘り出したものだった。そして現在、東南アジアの慰安婦たちを探すことで、さらに朝日は問題を拡大しようとしている。

こういった朝日の報道について識者はどう見るのか。上智大学文学部新聞学科の碓井広義教授(メディア論)はこう批判する。

「ここ1年の朝日の報道を振り返ると、刺激的な言葉じりをとらえてフレームアップし、海外のメディアがその報道を受けて報じ、さらに海外の反応はこうだと報じる姿勢が強まっている。こういう報道姿勢はマッチポンプのそしりを免れない。“外圧”に頼らない正面切った報道ができないのなら、読者離れはますます進むと思います」


しかし、朝日はますます海外メディアの威光を借りた報道に走っている。昨年5月に朝日は、「ネットメディア界の黒船」と呼ばれるハフィントンポストの日本参入に参画し、日本語版サイトを立ち上げた。はっきりいって日本語版の評判は芳しくないが、ハフィントンポストは欧米では絶大な影響力をもち、朝日の記事がますます世界に拡散していく環境が整っている。

ネット上では「火のないところに煙は立たぬ」をもじって、「煙のないところに火をつける」と揶揄されている朝日新聞だが、そろそろ読者も気づき始めている。国民や読者の目線に立って正面から正々堂々と論じ、批判するメディアに生まれ変わらなければ、新聞に明日はない。

(週刊ポスト 2014年3月14日号)