日経MJ(流通新聞)に連載しているコラム「CM裏表」。
今回は、広瀬すずさんが出演している、「東京ガス」のCMについて書きました。
東京ガス
「エネファーム 父さんの若い頃は」編
「エネファーム 父さんの若い頃は」編
父と娘の会話 「今」切り取る
今年のマイベスト邦画は是枝裕和監督『海街diary』だ。鎌倉の古い家で暮らす姉妹の物語。特に“平成の原節子”ともいうべき長女役の綾瀬はるかと、腹違いの妹である広瀬すずが印象に残った。
成長していく少女ほど、はかないものはない。今という時間にしか映しこめない輝きがスクリーンの広瀬にはあった。
そんな娘と深夜の食卓で2人きり。聞いてみたいこともあるはずなのに、「父さんの若い頃はなあ・・」と、かつてモテたという得意の話を口にしてしまう。それでも優しい娘は聞いている。スマホを手放さないところが今どきだけど。
ただ、いつもと違うのは、父の話の中に新たなエネルギーシステムが出てきたことだ。ちょっと見直す娘。でも、“努力の話”に転調した途端、席を立ってしまう。これまたリアルで苦笑いだ。
今や“平成の国民的妹”であり、“究極の末娘”でもある広瀬すず。来年はどんな表情を見せてくれるのだろう。
(日経MJ 2015.12.21)