碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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“何でもあり”の音楽バラエティーだったNHK「紅白」

2016年01月07日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評



日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今回は、NHK「紅白歌合戦」について書きました。


NHK「紅白歌合戦」
夜9時からの2時間45分で十分かもしれない

「紅白歌合戦」は本来、その年のヒット曲と人気歌手が集合する大型音楽番組だ。しかし今回、並んだ出場者に違和感を覚えた視聴者は多かったのではないか。

特にラストの近藤真彦も含め、白組26組のうち7組がジャニーズ系というのは異様だ。井ノ原快彦も「あさイチ」での貢献があるとはいえ、10年連続でジャニーズ事務所からの司会者起用は新鮮味に欠けた。

また、あちこちのヒットコンテンツの援用も今回の特色だ。まず、民放各局のヒットアニメのテーマ曲が歌われた。次に映画「スター・ウォーズ」の人気キャラクターも出現。ただし演出が凡庸で、サプライズ感もありがたみもありゃしない。先方は新作のPRになったが、「紅白」にとってどんな意味があったのか。

加えて恒例のディズニーショーだ。ミッキーのキレのいいダンスは見事だが、年始客に向けた東京ディズニーランドのプロモーションにしか見えなかった。そして、さらなるダメ押しが吉永小百合で、映画「母と暮せば」の宣伝とのバーターが露骨でゲンナリした。

今回の「紅白」は、音楽番組というより“音楽バラエティー”だった。今後は、本気で音楽番組としての原点に立ち返るのか。それとも、“何でもあり”の音楽バラエティーとしてカオスを深めていくのか。どちらにしても、夜9時からの2時間45分で十分かもしれない。

(日刊ゲンダイ 2015.01.06)


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