碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

週刊新潮で、NHK大河ドラマ「真田丸」についてコメント

2016年01月17日 | メディアでのコメント・論評



及第点が出た
堺雅人「真田丸」初陣

「幸村も年をとったなあ」

古くからの時代劇ファンならそう思ったかも・・・。

今年の大河ドラマ「真田丸」(NHK総合)がスタートした。好調が続く朝ドラに対し、大河は2010年の「龍馬伝」以降、年間平均視聴率は、6作連続で20%を下回っている。

そこで時代は戦国期、主役は誰もが知る真田信繁(幸村)にして、原作・脚本には三谷幸喜を、「新撰組!」以来12年ぶりに起用。

大河で真田家を描くのは初めてだが、「やはり30年前の池波正太郎原作『真田太平記』と比べてしまいますね」とは上智大学の碓井広義教授(メディア論)である。

「真田太平記」は大河ドラマが近現代ばかりを扱うようになった80年代半ば、時代劇大河ファンのために水曜日に放送された“NHK新大型時代劇”のひとつ。

そこで幸村を演じたのが、今回幸村(堺雅人)の父を演じている草刈正雄(63)。

「父役は丹波哲郎でしたから重みは違うが、草刈のとぼけた感じは親しみやすい。ファンが語れる材料を仕込む三谷流ですしょうね」(同)

そういえば「新撰組!」でも土方歳三の兄役として、往年の土方役者・栗塚旭を起用していた。

「三谷ギャグも抑えられていて第2回も観てみようという気持ちにさせる出来だったと思います。主人公の子供時代からダラダラと辿るよりも危機的な教協から始まるのもいい」(同)

ただし物語のスタートが武田家滅亡が迫った天正10(1582)年というのも、「真田太平記」とまったく一緒。これも三谷流?

(週刊新潮 2016.01.21号)


・・・連続ドラマは2回目が重要。

さて、今夜の”三谷流”は、どんなふうでありましょうか。

【気まぐれ写真館】 冬のヨコハマ

2016年01月17日 | 気まぐれ写真館

書評した本: 村上春樹 『ラオスにいったい何があるというんですか?』ほか

2016年01月17日 | 書評した本たち



「週刊新潮」の書評欄に書いたのは、以下の本です。

鈴木宗男 『ムネオの遺言~逆境から立ち上がる37の方策』   
講談社ビーシー 1000円

波乱の半生を語る自伝だ。鈴木宗男という政治家は何を考え、いかに行動してきたのかが分かる。特に、秘書として支えてきた中川一郎の自死とその後の顛末が興味深い。平成29年4月、著者の公民権停止が解ける。本書は遺言どころか、堂々の闘争宣言である。


入江泰吉記念奈良市写真美術館:編 『回顧 入江泰吉の仕事』
光村推古書院 4104円

戦前の「文楽」に始まり、未発表のスナップ写真、代表作の奈良大和路、晩年の「万葉の花」まで、入江泰吉の世界が一望できる写真集だ。“耐えて待つ”を信念とした入江だからこそ撮ることのできた逸品が並ぶ。生誕110年にふさわしい机上の回顧展である。


村上春樹 『ラオスにいったい何があるというんですか?』
文藝春秋 1782円

「何があるのか?」と問われた作家は、「その何かを探すために」行こうとしていると答える。それが旅行というものではないかと。「ノルウエイの森」を書いたミコノス島。2年間生活したボストン。旅から持ち帰ったものは、いくつかの光景の記憶だけだ。


佐藤 優 『官僚階級論~霞が関といかに闘うか』  
モナド新書 994円

なぜ官僚が存在するのか。官僚とは何なのか。本書は現政権を支える官僚階級を放置すれば、「戦争とそれによる国家的破滅は避けられない」という強い危機感から生まれた。マルクス、ハーバーマス、柄谷行人などを援用しながらの思想的・哲学的アプローチだ。


門田隆将 
『日本、遥かなり~エルトゥールルの「奇跡」と邦人救出の「迷走」』

PHP 1836円   

イラン・イラク戦争でのテヘラン空爆やイエメン内戦。現地の邦人が命の危機に直面した時、日本はどのようにして彼らを救ったのか。いや、救わなかったのかをリアルに描くノンフィクションだ。120年前の出来事と対比しながら、この国の現在のあり方を撃つ。

(週刊新潮 2016.01.14号)