![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/4a/ab75ef4273dd4137df30ca00bfd20aad.jpg)
「週刊新潮」に、以下の書評を寄稿しました。
実相寺昭雄 『ウルトラ怪獣幻画館』
ちくま文庫 972円
原画ではなく幻画である。「幻」は「夢」と同じく実相寺監督が好きな言葉の一つだった。文庫オリジナルの本書は、監督自身が「ウルトラマン」や「ウルトラセブン」に登場する怪獣たちを描いた画文集だ。ジャミラもメトロン星人も美しく、そしてどこか切ない。
柴門ふみ 『結婚の嘘』
中央公論新社 1188円
著者は『東京ラブストーリー』などのヒット作で知られる漫画家。結婚から約40年を経て書かれた、遠慮のない結婚エッセイである。結婚は互助会という諦念と共に「妻の気持ちを逆なでする夫の言動」が披露されるが、その夫は『課長 島耕作』の弘兼憲史氏だ。
小川隆夫 『ジャズメン死亡診断書』
シンコーミュージック 2160円
その死から逆算でたどるジャズメンの人生。音楽ジャーナリストにして現役の医師という著者ならではの一冊だ。ジョン・コルトレーンの麻薬と酒と過度の煙草。慢性肝炎が原因だが、自殺願望の疑いもあるビル・エヴァンス。命を削った名曲の数々が聴こえてくる。
岩本 勉
『日本一よくわかる北海道日本ハム 強さの理由~なぜ常勝球団になれたのか』
プレジデント社 1404円
元ファイターズ投手の著者は、「ガンちゃん」の愛称で知られる野球解説者だ。かつて他球団の後塵を拝していたチームが、なぜ毎年優勝候補となるほどの変貌を遂げたのか。監督、選手、スタッフ、さらに球団経営の秘密にまで迫る。出色のプロ野球論であり組織論。
(週刊新潮 2017.04.13号)