碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

【気まぐれ写真館】 ホテルニューオータニ ガーデンラウンジ  2017.08.03

2017年08月04日 | 気まぐれ写真館

西に住む友と、久しぶりの再会。

夕暮れのガーデンラウンジでお茶を飲む。

明朝、仕事で英国へ向かうという。

”東京トランジット”の貴重な時間。

「会おうよ」と立ち寄ってくれたことが嬉しい。


同じ年の生まれ。

同じ年の大学入学。

日吉の丘、三田の山という風景の共有。

卒業後は西と東で仕事。


そして今、就職した会社の経営者となった友。

大学で仕事をしている私。

違った場所にいるからこそ、どんな話もできる。

しかも、30年前に偶然出会ってから、互いに中身はほとんど変わっていないのだ(笑)。


楽しい時間は早く過ぎる。

次に会えるのは、いつになるのか、わからない。

それもまたよし。

よき旅を祈る。




80年代の原作を生かして、現代を描くドラマ2本

2017年08月04日 | 「北海道新聞」連載の放送時評



北海道新聞に連載している「碓井広義の放送時評」。

今回は、ドラマ「黒革の手帖」と「ハロー張りネズミ」について書きました。


「黒革の手帖」「ハロー張りネズミ」
80年代の原作を生かして現代を描く

ドラマ「黒革の手帖」(テレビ朝日―HTB)が好調だ。原口元子(武井咲)は銀座にある高級クラブのママ。しかし以前は派遣の銀行員だった。銀行が隠す不正な預金を横領し、それを元手に店をオープンしたのだ。

原作は1980年に出版された松本清張の同名小説で、これまでに何度もドラマ化されてきた。中でも13年前の米倉涼子主演作の印象が強い。同じ役を武井が演じると報じられた時は、「若過ぎる」とか「銀座のママのイメージと違う」といった声も聞こえたが、杞憂だったようだ。

普通のOL役では、やや浮いてしまうような武井の美貌が、夜の銀座という“異世界”で存分に生かされている。また衣装やメイクだけでなく、その落ち着いた立ち居振る舞いと表情で造形された「銀座で一番若いママ」が見事にはまった。

さらに今回のドラマ化のオリジナル部分として、亡くなった父親が残した借金のために、元子と母親が苦労した過去をきちんと描いている。そのため、悪女であるはずの元子に、見る側が“肩入れ”する余地が生まれた。脚本の羽原大介の作戦勝ちである。成功を収めたかに見える元子だが、この先に試練が待ち受けていることは必至で目が離せない。

瑛太主演「ハロー張りネズミ」(TBS―HBC)の原作は弘兼憲史の漫画。こちらも80年代の作品だ。やはり何度か映像化されているが、今回の演出・脚本は、「まほろ駅前番外地」(テレビ東京―TVH)や「リバースエッジ 大川端探偵社」(同)の大根仁監督である。

「あかつか探偵事務所」は、所長の風かおる(山口智子)、調査員の七瀬五郎(瑛太)と木暮久作(森田剛)という3人だけの小さな所帯だ。大手が請け負わない「こぼれ仕事」や「汚れ仕事」が回ってくる。

たとえば交通事故で娘を失った男(伊藤淳史)の依頼は、同じ事故で危篤状態の妻に、娘の元気な姿を見せたいというものだ。五郎たちは、その娘に似た女の子を求めて奔走する。また自殺した父親(平田満)の汚名を晴らそうとする娘(深田恭子)が現れる。こちらは前後編で、爆破シーンもある豪華版だ。深田の「謎の美女」ぶりも板についている。

瑛太の飄々とした演技が心地よく、また森田と山口も大根演出のおかげで、笑える“ヤンチャ感”が出ている。さらに情報屋がリリー・フランキー、平田満の右腕だった男が吹越満といったキャスティングも効いている。猥雑さや品のなさを作品の熱量に転化させる“大根ワールド”全開の一本だ。

(北海道新聞 2017年08月01日)