碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「最高の教師」 松岡茉優の緊張感のある演技が光る

2023年08月23日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

「最高の教師~1年後、私は生徒に■された」

松岡茉優の緊張感のある演技が光っている

 

松岡茉優主演「最高の教師~1年後、私は生徒に■された」(日本テレビ系)が、9月2日から第2章に突入する。

主人公は高校教師の九条里奈(松岡)。事なかれ主義だった彼女は卒業式の当日、担任クラスの生徒に突き落とされ、命を奪われた。

しかし、なぜか1年前にタイムスリップ。「2周目の人生」を生きながら生徒たちと真剣に向き合い、自身の死の真相を探っていく。

その設定から、「ブラッシュアップライフ」を想起したりもするが、こちらは学校が舞台のサスペンスドラマだ。

しかも、いじめやスクールカースト、貧困家庭の問題など社会的なテーマを取り込んでいる。

友だちから疎外されることに怯える生徒や、親の借金に苦しむ生徒などを救ってきた九条。松岡の緊張感のある演技が光っている。

また、第2のヒロインともいえる存在感を示したのが、九条と同じく「2周目」を生きる生徒、鵜久森(くぐもり、芦田愛菜)だ。

1周目で壮絶ないじめを受けて自殺した彼女が、自分の「生きる意味」を見出す展開は見事だった。今年の春まで現役の高校生だった芦田が役柄に込める思いまで伝わってきた。

しかし先週、鵜久森は何者かに呼び出され、もみ合った末に転落死してしまった。

九条は自身の死に加え、鵜久森の2度目の死についても背負うことになる。最高の教師は、最高の卒業式を迎えることが出来るのか?

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2023.08.22)