碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

NHK「オリバーな犬」映像作家オダギリジョーを見逃すな!

2022年09月29日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

NHK

「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」シーズン2

映像作家になったオダギリジョーを見逃すな!

 

1年ぶりの続編となる「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」シーズン2(NHK)がスタートした。前作同様、オダギリジョーが脚本・演出・編集を手掛け、自ら出演もしている。

警察犬係の警察官、青葉一平(池松壮亮)が担当するのがオリバーだ。しかし一平には、この犬が人間に見えるし、会話もできる。

ぐうたらで、飛び切りの毒舌家。酒好き、女好きなオリバーを演じているのがオダギリジョーだ。自分勝手な「おっさん犬」に振り回される一平が実におかしい。

11年前に失踪した少女(玉城ティナ)が遺体で発見され、しかも数日前まで生存していたことが判明する。物語は、この事件の謎解きが軸だ。

しかし、これはストーリーを追うドラマではない。オダギリ監督が力を入れているのは本筋から外れた、脇道のようなエピソード群だ。そのために、何とも豪華なキャスティングを行っている。

たとえば、雑誌編集長は松たか子だ。生活安全課の警察官に黒木華。そしてキッチンカーで働くのは松田龍平・翔太の兄弟である。

いずれも物語展開とはほぼ無関係な人物なのに、出演シーンの濃度が半端ではない。すでにオダギリジョーは、俳優に「彼の作品なら参加したい」と思わせる映像作家になっているのだ。

今回も全3話の短期決戦。夏の終わりを告げる、打ち上げ花火のようだ。見逃すことなかれ!

(日刊ゲンダイ「テレビ 見るべきものは!!」2022.09.28)

 


この記事についてブログを書く
«  【気まぐれ写真館】 発売初... | トップ | 『脚本力』の「新聞広告」が... »
最新の画像もっと見る

「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評」カテゴリの最新記事