碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「東京サラダボウル」奈緒のレタス頭は・・・

2025年01月15日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

奈緒×松田龍平

「東京サラダボウル」

レタス頭も

ただのファッションではなさそうで・・・

 

ドラマ10「東京サラダボウル」(NHK)は、ひと味違う警察ドラマだ。

鴻田麻里(奈緒)は東新宿署・国際捜査係の刑事。外国人による事件と向き合うが、国籍に関わらず困っている人を放っておけない。特徴はレタスを思わせる緑色の髪だ。

有木野了(松田龍平)は警視庁・通訳センター所属の中国語通訳人。対象者の事情には関心を示さず、淡々と仕事をこなす男だ。

立場も性格も異なる2人が、まるでバディのような形で案件に取り組んでいく。

初回では行方不明となった中国人女性を探し回った。その過程で麻里は有木野が持つ捜査能力に気づく。実は元刑事だったのだ。

「どんなに被疑者に寄り添おうとしても彼らは必ず嘘をつく。それに警察官だってクズはいる」と有木野。そんな彼の過去も徐々に明らかになるはずだ。

一方、「裏側に何かあっても、自分の目で見たこと以外は信じたくない」と言う麻里も、何かしら事情を抱えている。レタス頭もただのファッションではなさそうだ。

麻里によれば、東京都の外国人居留者は約68万人。この数字は、たとえば船橋市や静岡市の人口より多い。

東京は人種が溶け合う坩堝(るつぼ)ではなく、違う人たちが混在するサラダボウルなのだ。

麻里と有木野、この異色コンビを通じて普段は見えない、または見ようとしない東京の断面が露呈してくるかもしれない。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2025.01.14)


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